~瑞輝・高校初登校~
本編の人の主人公瑞輝の話です!
快活だが自由過ぎる少女瑞輝とそれに振り回される周囲の苦労話の始まり始まり。
「行ってきます!」
玄関先で、我が家の愛犬雪とわたしが忘れていたお弁当を届けてくれた妹の奏に高らかに告げて玄関を潜り、外へ飛び出す。
朝日が眩しくて気持ちの良い天気だ。
春一番、桜の季節!
と言いたいところだけど、実際には入学式の頃って桜が散り始めて3~4割り方葉桜になってるのよね。
少し残念!
「おはよう、瑞輝。今日も元気そうだね」
わたしが家の敷地を出るとウチの塀に背中を預けた状態で、隣に住む幼馴染の裕司が立っていた。
「おはよう、裕司。何でウチの前に立ってるの?」
「いや、瑞輝が間違って中学の方に行かないか心配だったからね。あと、今日が楽しみ過ぎて寝れなくて朝寝坊するかもしれないと思ってね」
「ちょっと、わたしそこまで信頼ないの!?」
「あると思う?」
「うぐぅッ!前科があるだけに否定できない!」
「でしょ?」
未だに小学と中学の失敗談を持ってくるとは……!
流石、幼馴染だけあって油断ならん。
「そうだけど、わたしだってそこまで子供じゃないよ?」
裕司はいつもわたしを子供扱いするんだから。
まあ、助かってる面も多いから強くは言えないんだけど……
「ゴメンゴメン。弁当は持った?今日からは学校給食は無いからね」
「大丈夫!今さっき奏が届けてくれたから!」
「案の定弁当忘れてたんだ……奏ちゃんも苦労するね」
「しっかり者の妹でお姉ちゃんは大変誇らしいです」
「そりゃあ、ここまでうっかり者の姉がいればしっかりもするよ。僕も他人のこと言えないけど」
「裕司と奏はわたしが育てた」
そう思うと誇らしいものもあるよね。
「バカ言ってないで早く行こう。初日から遅刻とかしたくないからね」
わたしが渾身のドヤ顔で言うと、裕司は呆れたように言って歩き出す。
「はーい。じゃあ、わたしを学校までエスコート宜しくね☆王子サマ」
「うわ、何、その思わず殴り飛ばしたくなるその笑顔」
「失敬な!美少女にせがまれて言うセリフじゃないわよ!?」
「自分で美少女とか言う?言っちゃう?それに関しては『瑞輝だし』としか言い様がない」
「もう!失礼しちゃうわね!まあ、それも『裕司だし』としか言い様がないわね」
裕司とは幼稚園児からの付き合いでかれこれ10年以上になる。
そりゃあ、お互い好きに言い合える仲にもなる訳だ。
わたしと裕司はいつも通りくだらない話をしながら、高校までの15分ほどの道のりを歩いた。
「こうして改めて見ると感激するねー」
これから毎日通う事になる校門の前に立ち、わたしは素直な感想を漏らした。
「そう?」
横に立つ裕司は相変わらずドライだ。
「だって、あれだけ苦労して入試突破して通うことが出来るんだよ?感慨深くもなるって」
「そりゃあ、瑞輝はそうだろうね。あれだけ必死こいて勉強してたんだから。僕としては安全圏だったしね」
「チッ……!この優等生めが!」
「まあまあ、瑞輝がどれだけ努力したかは分かってるつもりだから、気持ちは分かるよ」
「でしょ」
中学3年になって、本当に必死こいて勉強したんだから。
横にいる裕司や雪に勉強見てもらって……
志望動機は一番家に近いから。
面接では流石にそこまで素直には言わなかったけど。
「僕としては、『雪と一緒にいる時間が少しでも長く欲しいから』って理由で一番近くの高校に受験を決めた瑞輝がそこまでするとは思ってなかったよ。正直、当時の瑞輝の成績から考えると大分偏差値高めだから無理だと思ってた」
「ふっふん!愛は不可能を可能にするのです。わたしの雪愛を舐めてもらっては困る」
「ホントに瑞輝は雪のこと大好きだよね」
「そりゃあもう!強くて可愛くて賢い自慢の兄ですから!」
物心ついたときから、いや……
それ以前から雪にはお世話になってきたのだ。
嫌いになれよう筈がない!
ああ、一刻でも早く帰宅して雪のモフモフした体に抱きついて柔らかい腹毛に顔を埋めたい。
「僕も雪のことは好きだし、尊敬してるけど瑞輝のそれは最早異常の一言に尽きるね」
「むう、わたしを変態みたいに言うわね」
「まごうことなき変態でしょ。シスコンでブラコンでケモナーという三重苦の」
「別にケモナーって訳じゃ無いんだからね!わたしは雪が好きなの!」
「そこまで行くと最早尊敬するよ」
呆れたように裕司に言われたが今のわたしは気分が良いので気にならない。
そんな会話をしながらわたしたちは校門を潜り、無事に初登校を果たした。
次も瑞輝の話です。
クラス分け~1年時の攻略キャラとの出会いの話になります。




