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痴漢考  作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
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第8話〜セクシャル・ハラスメント 傍観者

前回の記事では少し横道に逸れてしまいましたが、今回は再びメインテーマである「痴漢」や「覗き魔」に関する考察へと話を戻したいと思います。

これからお話しするのは、わたしがかつて身を置いていた施設での、少し苦い実体験です。当時の劣悪なプライバシー環境や、目の前で起きたショッキングな出来事、そして咄嗟に動けなかった自分自身の葛藤について、素直に振り返ってみようと思います。

なぜわたしがこれほどまでに「卑劣な行為を許せない」と強く思うようになったのか、その原点とも言えるエピソードです。拙い文章ではございますが、どうか最後までお付き合いいただければ幸いです。

 さて、長々と体験談みたいな拙い文章を書進めて参りましたが、ここらで再びメインテーマである痴漢考、覗き魔さゆについてのお話に戻りましょう。

 早速ですが、わたしはかつて、『小規模多機能型居宅介護施設』と呼ばれる施設で、他の患者さんたちとの共同生活をしていた時期がございます。

 その施設では、基本的に朝からA型やB型の作業所に通い、夕方戻ってきたら、宿直の職員さんが作るお夕食を食べて、あとはお洗濯や入浴を各自熟(こや)して、或いは自室に戻って自由時間を過ごすというものでした。

 わたしはその施設にいて、プライバシーに関して非常に非条理を感じて辛い思いをしておりました。なにしろ、部屋に鍵を掛けるのも許されず、独立した更衣室ごないので、共用部でもある洗面所で脱ぎ着しなければなりません。お風呂に入っていたって、街着えてなのか、服を脱いでバスルームに入ってきて来てしまう同居人が居る程です。

 わたしは兎に角困っておりました。

 とまあ、そんな状態の共同住宅なのでありますが、そこでわたしは大変な光景を目にしてしまったのです。

 身体障害をお持ちの同居者なのですが、その高齢男性が夕食の後片付けをしている女性職員のお尻を、後ろから撫で回しているではありませんか!

 え?!わたしら咄嗟に動けませんでした。職員さんは明らかに嫌がっております。

 わたしは行動を起こさなくてはならない立場におりました。だって他にひとはいないのですもの。

 しかし、わたしの心には迷いがありました。

━━もし、職員さんの同意があった上での行為だったらどうしよう?

━━犯罪を指摘したところで逆上されて、わたしにも職員さんにも物理的被害があったらどうしよう?

━━職員さんは寧(むし)ろ悦んでいるのではないか?

━━この変態男性はここを追い出されたら他に行く場所も能力もないのではないか?

 などと、あれこ)考えてしまってどうにも身体が固まってしまったのです。

 これって、わたしも共犯みたいなものじゃね?傍観してるだけだし……。そう考えて一歩踏み出そうとした時でした。

 性被害を受けている職員さんご本人が男の手を強く叩き、その男性を鬼のような目で睨みつけたのです。それに怖気づいたのか、人間の心を取り戻したのかわその患者さんは高笑いしながら自室へと消えてゆきました。

 そして、その場で一番居心地悪くて面もくないいたたまれない立場なのはわたし自身のよう(感じられたのです。それぇも何とか声を絞り出しました。

「管理人さんに報告した方がいいですよ」とか、「警察呼びます、」

 だとか言ったような気がいたします。かま、職員さんは何事もなかった照れ笑いよような寂しそうな顔をしていたのです。

 結局、その女性職員さんはしばらくしてからお仕事を、辞められてしまいました。管理人に報告したかどうかもわかりません。お話する機会もありませんでした。

 結論として、わたしはあの時、強く行動しなければならなかったという事実だけが残りました。痴漢とか強姦とか許せません。

 だからこそ動くべき時には躊躇(ためら)わず、とにかく行動しましょう。

 というわけで、こん

な感じの結論でよろしいですか?なんか長々とすみませんでした。


   【次に続く】

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回綴ったエッセイは、過去の苦い記憶や、どうしても消えない後悔と向き合いながら書き進めたものです。目の前で起きた理不尽に対して、ただ恐怖と迷いに足すくみ、何もできなかったあの瞬間の情けなさは、今でも胸の奥に刺さったまま残っています。

「あの時、声を出していれば」「自分が立ち向かっていれば」という悔しさは消えませんが、だからこそ、同じような過ちや傍観を二度と繰り返さないための誓いとして、この文章を締めくくらせていただきました。

障がいや高齢、住まいといった複雑な事情が絡み合う現場だからこそ、曖昧にされがちなハラスメントやプライバシーの問題が存在します。この拙い体験談が、痴漢や過剰な干渉といった問題について、少しでも一人ひとりが考え、行動を起こすきっかけになれば幸いです。

温かくお付き合いいただいた読者の皆様に、心より感謝申し上げます。

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