卒業された聖女様ですわ
病院に到着するとそれぞれに患者さんを紹介され次々と治療していきます。
病室を渡り歩くので1人の聖女様に護衛騎士が2人付いてくれて順番にユーリン様が見に来てくれるのですわ。
護衛騎士の1人は勿論お兄様です。お兄様にはミカエル様が付いているのでもう1人の騎士と4人で回る事になりましたわ。ミカエル様はあくまでもお兄様のお付きという事らしいので。
私はお兄様が触ってくる手をバシバシとさりなげく叩き落としながら患者さんをを診ます。お兄様が私を後ろから抱き締めようとするとミカエル様が阻止してくれますわ。そんなやりとりをもう1人の騎士が首を傾げてみています。
そうですわよね。何をしているのだろうと意味が分かりませんよね。私の護衛に当たってしまって本当にすみません。
私が治療する患者さんは内臓が悪い人ばかりですわ。きっと薬も効かないのでしょう。でも私が治してその効果がどのくらい効くのかは分かりませんわ。だって初めての治療ですもの。できれば完治して頂きたいものですわ。
「アイラ聖女、どうかしら?疲れていない?」
ユーリン様がやって来て私の肩をポンポンとしてきましたわ。ふふふ。これ、ユーリン様の労りのサインですわ。こうされると嬉しいですの。少しだけお母様と重ねてしまっているのかもしれませんわ。
「はい。大丈夫ですわ」
「他の2人は力をもう使い果たしてしまって休憩中なの。アイラ聖女も休憩しない?」
「私はまだ大丈夫ですわ。割り当てられた患者さんはあとお1人なので終わりましたらエミリー聖女とサフィー聖女が出来なかった方々を私が治療しますわ」
2人はまだ10歳ですもの。聖力の量もそんなに無い筈ですわ。
「そんなに治療したら貴方が倒れてしまいます。無理はいけませんよ?」
「私、聖力沢山ありますのでご心配は要りませんわ」
そう言って私は自分受け持ちの患者さんを終わらせて2人の聖女様が治療する筈だった方達も終わらせました。
どうしましょう。私、全然疲れていませんわ!どれだけ聖力量があるのてしょうか?自分でも分からないので少し怖いですわね。
「アイラ、本当に疲れていないのか?あんな沢山治療して......。しかも治療が早い。そして綺麗な聖力の色。もう神々し過ぎて途中で抱き締めたくなってしまった」
お兄様がうっとり顔で褒めてくれましたわ。でも抱き締め行為はミカエル様に全て阻止してもらいましたので良かったですわ。患者さんが驚きますからね?
病室から廊下に出るとユーリン様が小柄な女性とお話しをしていましたわ。
あっ!聖力のオーラが強いです。
この方はもしや?
ユーリン様が私達に気が付きました。
「アイラ聖女、終わりましたか?お疲れさまでした。今、休憩室に案内しますね」
笑顔で近づいて来ます。
私がチラッと一緒にいた女性を見ました。するとユーリン様がニッコリして紹介してくれました。
「この子は昨年教会を卒業した元聖女のカルネ様ですわ。今日は偶然この病院に入院している方のお見舞いにいらしてたようです」
私はカルネ様を見て頭を下げて挨拶をしましたわ。
「初めまして。アイラ聖女と申します」
「貴方が大聖女様候補の?街ではアイラ聖女様の噂だらけですわ!会えて光栄ですわ!あら、いけない!嬉しすぎてご挨拶が後になってしまいましたわ!初めまして、カルネ・ミルサーと申します」
カルネ様も頭を下げてくれました。
私の噂だらけとは......。
一体どの様な噂なのでしょうね......。
「アイラ聖女様ともう少しお話したいのですけれどこれからお仕事に行かないといけませの。またお会いできると嬉しいですわ」
カルネ様が残念そうに私を見て言いました。
「なら、今度時間のある時に教会へ来てはどうかしら?元聖女ですからわりと簡単に許可が出ると思いますよ?」
ユーリン様がそう言うとカルネ様は喜んで行っても良いかと私に訊ねてきましたわ。勿論です!と答えました。
「その時は教会へ入る手続きを申告してあげますので最初に私に連絡下さいね?」
ユーリン様は相変わらずお優しいですわ。お2人はまだ少しお話するようでしたので私は休憩室に案内なくても行けますと伝えてその場を離れました。
「あの元聖女様は結構聖力があったお人だ。今は確か治療院を開いて貧しい人にも治療していると聞いたな」
お兄様が休憩室に行くまでの間にカルネ様の事を話してくれました。
卒業した方の情報も頭に入っているのですね。流石お仕事はできる!変態ですけど!!変態なのが凄く残念ですけれど!
お兄様情報でカルネ様が貧しい人達にも分け隔て無く治療をされていると知って色々お話を聞きたくなりましたわ。
私はいつカルネ様が訪ねて来てくれるのかワクワクしながらお待ちしていたのですがカルネ様が行方不明になったと聞いたのはそれから間も無くの事でしたわ。
カルネ様の後、次々と元聖女様達が行方不明になっていくのです。後に言われる『元聖女様血抜き事件』の始まりでしたわ。




