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断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい  作者: 花音月雫
第三章

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神官様が違う意味でおかしいですわ

「何か質問はありますか?」


ユーリン様が私に訊いてきました。


「色々と経験してみないと質問自体も分かりませんのでその都度訊いていきますわ。一つだけ......。私が大聖女様の教育を受けて素質が無ければ大聖女様にはならなくても良いのでしょうか?」


「アザがあるかぎり素質が無い事はありません。アイラ聖女は大聖女様になりたくはないのですか?」


「いえ、そのような事は......」


「そう。良かったわ。だって神子様もそうですけれど大聖女様も暫くいなかったのです。全ての民は凄く喜んでいるのですよ?」


そうでしょうか?神子様や聖女様を憎んでいる民もいますけれど。


ユーリン様がお部屋まで案内してくれるようです。長い廊下を歩いていると神官様が前からやって来ましたわ。


「アイラ聖女!やはり大聖女様のアザがあったようだね!ああ!なんて事だ!私のアルミスの娘が大聖女様だなんて!」


今なんとおっしゃいましたか?

私のアルミス......?私の!?

私が動きを止めていると神官様がうっとりしながら話し始めましたわ。

え?え?そのようなお話をこんな廊下でしても良いのですか?


「アルミスとは幼馴染でね。私は8歳の時から彼に惚れている。ずっと好きで彼との接点を持つ為に色々絡んできたんだよ」


え?え?そのようなお話をこんな廊下でしても良いのですか?


「アルミスが聖騎士になると風の噂で聞いた時は嬉しかった。神官と聖騎士になってからはさりげなく彼の側に居るようにしたよ。だが気持ちを伝える前にアイラ聖女の母君と結婚してしまったのだがね。私はアイラ聖女の母君を憎んではいないよ?アルミスの幸せが私の幸せだからね!」


神官と聖騎士の関係になったのはかなり前からだと思われますがそんなに長い間、気持ちを伝えられなかったのですか?ずっと側に居たのに?そもそも気持ちを伝えるつもりだったのですね......。


「第一子のルネくんがアルミスにそっくりに育ってくれてこれは興奮したね。そして彼も聖騎士として教会に来てくれた!!」


そうですわね。お兄様はお父様を若くした感じでそっくりですもの。


「まだそのお話は続きますか?」


ユーリン様が神官様に訊ねていますが神官様は無視ですわ。


「若い頃のアルミスにそっくりというよりもそのものだったので私の心はギュンギュンしっぱなしだったよ!ある日、決心してルネくんを私の部屋に呼んだのだ」


え!?えーーー!お父様の時は長年タイミングを掴めなかったのにですか!?


「そしたらどうだい。ルネくんはアイラ聖女の事を話しだしてどれだけ可愛いか、どれだけ美しいか、どれだけ......兎に角アイラ聖女の事だけを語り続けて最後には愛していると叫んでいたよ」


お兄様......何故、私の話しなどをしたのですか?

しかも相変わらずの変態大爆発で。


「私はその時思いましたよ。血の繋がった妹を愛している、そんな変態は無理だと。いくら私のアルミスに瓜二つでもね......」


それ本気でおっしゃっていますの?確かにお兄様が変態なのは認めますわ。私は同性を愛する事に肯定も否定もしない派ですがそういった事を省いても神官様も違う意味で中々の変態っぷりだと思いますけれど?同類嫌悪なのかしら?


「そしてアイラ聖女、貴方を見た時に私の胸は高鳴りました!元々大聖女様マニアだった私ですがそれが......それがですよ?私のアルミスの娘が大聖女様候補になっていたのと貴方はリリー殿とも似ていますが私のアルミスともそっくりなのです!!」


ん、ん。何か嫌な予感しかしませんわ。


「そして、アイラ聖女、貴方は女性です!私とアルミスを阻む性別の壁は無いのです!なので私はアイラ聖女、貴方を狙います」


えっと。性別の壁ですの?今更のような感じもしますけれど100歩譲ってお父様の時はそうだったとしましよう。でも次にお兄様が良かったのならば神官様的には性別云々関係ないのではないですか?


「貴方は知っていますか?チラチラと貴方の仕草や表情に私のアルミスが見え隠れしている事を!それは、それは最高なのです!!」


ちょっと。神官様、その様な事を堂々とおっしゃって良いのかしら?結局のところ、今でもお父様の事が大好きなのですわね。

ツッコミどころ満載な神官様の愛(?)の告白を受けて私はどうしたものやらと考えていました。


「神官様?あのう、私とは年齢が違い過ぎませんか?」


一応、ツッコミしてみましたの。


「アイラ聖女?愛に年齢差など関係ないのですよ?」


ですわよね。分かっていましたわ。そう言ってくると。でもね、一応ね?何もツッコまないのもいけないと思ったものですから......。


「神官様。もう終わりましたでしょうか?」


今まであの変態告白をずっと静かに聞いていましたユーリン様が口を開きましたわ。


「おや?ユーリン殿、君はいつからそこに?」


「最初から居ましたが?神官様の思いは分かりました。しかし本来ならばその思いは自らの心におしまいになりアイラ聖女に対して他の聖女達と違いなく接しなくてはいけないのではないでしょうか?神に仕える者として。私は知ってしまった以上、神官様からアイラ聖女を守りますよ?聖女達を守り育てるのが私の役目ですからね」


ユーリン様が眉間にシワを寄せながら一気に言いました。


「神に仕える者は恋愛をしてはいけないという規則はこの国にはないよ?」


神官様とユーリン様が一触即発の気配ですわ。


「ユーリン様?お部屋へ案内して頂けますか?」


私は2人を落ち着かせる為にユーリン様に話しかけましたわ。


「ああ、そうでしたね。では神官様、また後ほど。アイラ聖女、行きましょうか」


私は神官様に深く頭を下げてからユーリン様について行きました。


「またね!アイラ聖女!」


神官様が叫びました。


「ごめんなさいね。神官様がまさかあのような気持ちを秘めていただなんて。しかも突然の告白なんて気持ち悪るかったでしょう?」


気持ち悪いって。仮にも上司に対してその様な事を。それにユーリン様も初めて知ったにしては冷静ですわ。流石と言うべきですわね。


「驚きましたが神官様は教会内では変な事はなさらないでしょうから大丈夫ですわ」


私はニッコリとユーリン様に言いましたわ。


「いえ、あの神官様ならやり兼ねません。何かをされたり身の危険を感じたら直ぐに知らせて下さいね。それとあの話は聖騎士団長様には私からはお伝えしないので必要になった時にアイラ聖女からお願いしますね」


「はい。お気遣いありがとうございます」


ユーリン様、なんて良い人なのでしょう。しかしあんな感じの神官様がクーデターなど考えているのでしょうか?誰が聞いているかも分からない廊下であんな変態的な告白を堂々とするような人が。私にはただの色ボケの頭がおかしい......いえ、失礼しました。兎に角様子見ですわね。あれはクーデターを誤魔化す為の演技かもしれませんものね。

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