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断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい  作者: 花音月雫
第一章

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禁断の黒魔術恐るべしですわ

その後、アクアに移動魔法を使ってもらいダリル様をコスナー家に連れて行きました。直ぐにお医者様を呼んでもらって診察してもらいましたわ。

血だらけの私をコスナー夫妻が見て倒れそうになっていましたが元気だとお伝えするとお風呂に入れてもらいました。ついでにお医者様にも診てもらいましたが私は至って元気です。怪我は自分で治しましたし。


ダリル様は打撲や擦り傷などはありましたが大きな怪我は無かったようで安心しました。

大きな怪我があれば私が直ぐに治していましたけれど。


ダリル様はお父様のジョージ様と一緒に登城していたところを攫われたようでした。月に何回かジョージ様のお仕事を見て学びに行っているのだそう。将来は優秀な宰相様になられますわね!


私はアクアとエバンズ家に戻りました。

お父様はまだ国王様の所に行ったきりで帰ってきていませんでしたがお母様やマリル、使用人達が泣きながら抱きついてきましたわ。心配かけてごめんなさい。


私が消えた後、かなりの乱闘があったのが分かるぐらいお屋敷の半分が大破しています。


「俺がムカデと騎士を殺ったからな。少しの破壊は仕方ない。結局どっちも俺が殺ったんだぜ?ったく、使えねー奴ばっかりだ。ここの騎士はよー」


アクアが愚痴ります。

とりあえずお礼は言っておきますわ。

次の日までお父様は帰って来ませんでした。お昼過ぎにお戻りになりお疲れなのに私の元に駆けつけてくれて最初に私をギュッと抱きしめてから色々説明してくれました。


お父様は国王様に私から聞いた話をし、北のお屋敷を捜索したいと申し出たそうですわ。国王様的には自分が連れ帰ってきた姫がそんな事をしているなんて信じたく無かったようでしばらく渋っていたみたいですの。


そこにエレーネ様がやってきて自分が見た事をお話しすると態度を変え直ぐにOKを出したそうですわ。国王様はエレーネ様のお母様を溺愛していますのでね......。


お父様が聖騎士団を率いて北のお屋敷に踏み込んだ時にはもう私とアクアはアダン様を連れてその場を去った後でしたの。


そしてお屋敷中探し回って見つけたあのお部屋。鍵がかかっていなく聖騎士達が入って行くと。

ホルマリン漬けにされたピンクの眼球が魔法陣の中に並べられその中心にマーレ様が変わり果てた姿で横たわっていたようですわ。そのご遺体は獣のようなモノに食いちぎられていて着ていたドレスと髪の毛の色でマーレ様と断定しましたが体は殆ど残っていなかったそうです。


何人かの聖騎士達はそのご遺体の無惨な姿と眼球と臭いに耐え切れなく大変な事になったとお父様がおしゃっていましたわ。お気の毒にです。


そのお部屋では禁断の黒魔術「月と死者」が行われた事は確実ですが何故マーレ様がそのようなお亡くなり方をしているのかは誰も分かりません。

でも失敗した事は明らかです。


マーレ様は最後のコマ、すなわちダリル様の眼球のことですが、それが無いのと新月ではないのに儀式をしてしまったのですわ。聖騎士達が来るのが分かり追い詰められていたのでしょうか。


でも、もし全てあの儀式に必要な物が揃っていたとしても成功しないのです。

あれは禁断の黒魔術ですわ。

余程の力の持ち主が行わないと成功しないとあの書物に書いてありました。


中途半端に儀式をしてしまったマーレ様の元に戻ってきた愛しい人はもう人ではなかったのだと推測されます。外見は人でも中身が悪霊ですわ。

その悪霊にマーレ様は食い殺されてしまったのでしょう。


最後のコマが揃わなかった、新月ではない、その2つで失敗する事は分かっていたはずです。それでも逃げずに儀式を強行してしまったのは愛しい人にもう一度会いたかったのでしようか?それとも愛しい人に殺されたかったのでしょうか?真相は今となっては分かりませんが黒魔術は恐ろしい結果しか生まないのですわ。


さて、ここからですわ。お父様はジョージ様から私とアクアがダリル様を助け出してお屋敷まで送り届けた事を聞いたそうです。そして私が血だらけだった事もですわ。


「あの屋敷で何があったのか教えてくれるかな?私はアイラの事が心配で心配で眠れないよ?」


やはり全てお話しするべきですわよね。お父様は聖騎士の団長様ですし今後の為にも。ですが、あれは私が聖力で大人になりマーレ様と戦っただけですわ。


「な、な、なんだって!?聖力で18歳ぐらいにまでなってマーレ様と戦った!?アイラ......。なんという力なのだ!我が娘ながら誇らしく思う!」


お父様が泣き出してしまいましたわ。


「やはりアイラは大聖女様になる器だ!しかも歴代の大聖女様なんか問題にならないぐらい力がある!」


お父様が興奮してきましたわ。

歴代の大聖女様に失礼ですわよ?


「そうだとしても、ですわ。駄目です。アイラは大聖女様にはいたしません」


ピシッとお母様が言いました。


「何故だい?こんな強い力を持つ大聖女様など何千年に一度生まれるか生まれないかだよ?それが私達の愛しい娘なのだよ?」


「だからですわ。大聖女様が誕生すると魔王もやって来るのです。大聖女様の素質があってもその人物が大聖女様にならなければ魔王はやって来ないと言われていますわ。それはあなたもご存知でしょう?アイラに魔王と戦わせるの?もしアイラが魔王に攫われたら?この世界で魔王に勝てる人がいるかしら?」


お母様が無表情で淡々と語ります。

お父様が言葉に詰まりました。


「そ、そうだな。つい興奮してしまってすまなかった。アイラが魔王などに連れて行かれたら気が狂ってしまう......」


今度はメソメソ泣き出しましたわ。

忙しいお父様ですね。


「分かって頂ければ良いのです。アイラには普通に生きて欲しいのですわ。聖女にだってしたくはないのです」


お母様は聖女時代のお話は滅多にしません。嫌な思い出があるのでしょうか?

そんなこんなでダリル様を助けたのはアクアだという事にするらしいですわ。

でも、もし私が戦っていた姿をダリル様が見ていたとしたら?お父様とお母様が動きました。

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