6歳になりましたわ
あれから王城でクソ野郎と会う事はなく日々が過ぎていきました。それにしても、まさかシャーロットがクソ野郎の侍女になっているとは思ってもいませんでしたわ。
あの日の夜中にアクアがお部屋に来て言いました。
「変態その2が王城に入り込んでるとはな。変態のくせに中々やるな。アレって王城でチビに何かあったら助けに行く為だろう?俺が居るからなんも問題ないけどアイツは俺が悪魔だって知らんからな」
最近全然シャーロット親子が遊びに来ないと思っていたらそういう事でしたのね。王城勤務になったら中々休みが取れないと聞きましたわ。シャーロットはまだ7歳なのに。
「ほんとうにわたしのためかしら?」
「まだ疑ってるのか?あの変態の目は確実にチビを狙ってる。それは俺が保証するぜ?お前を自分の物にする為ならなんでもするわな」
狙っている。そんな事を保証されましても困りますわ。
「チビの周りに居る変態どもはな、いつか自分の物になるのなら多少犠牲を払っても痛くも痒くもないんだよ。それが自分自身でもな。それ程チビは価値がある存在で人を狂わす存在でもあるんだ」
そうなのでしょうか?私の価値。
全然分かりませんわね。
「ま、狂うのは人間だけじゃねーけどな」
そして穏やかに日々が過ぎ私、アイラ・エバンズ6歳のお誕生日がやってまいりましたわ。
やっと6歳です。
前の人生ではこの6歳のお誕生日にプレゼントされた絵本で私の人生が変わりました。
「お誕生日おめでとう、アイラ。これからも可愛く可憐に育ってくれ」
お父様がニコニコしながらそう言ってプレゼントをくれましたわ。
この形、この大きさ。
包装紙を破らなくとも分かります。
あの絵本ですわね。
「ありがとうございます!プレゼント嬉しいです!」
6歳になったのでやっとまともに喋れるようになりましたわ!ふふ。
「おめでとう。これはお母様からよ」
お母様からもプレゼント頂きました!
「アイラ!おめでとう!また一つ大人に近づいたね!僕は待っているから。犯罪にならない年齢になる日を!」
......犯罪にならないとは?その年齢に私がなると何をする気なのでしょうか?多分ですがお兄様が私に対してやりたい事はどの年齢になってもやってはいけない事だと思いますけれど。両親の前で堂々と言えるお兄様を違う意味で尊敬致しますわ。
お兄様からもプレゼントを頂きました。開けるのが少し怖いです。
とりあえずお父様からのプレゼントを開けました。
絵本ですわ。でも前の人生の時に頂いたものと違います。
絵本なのですけれど内容が違うのです。
前は大聖女様が各地を回り沢山の人々を癒し、病気や怪我を治し、枯れた大地には緑をもたらし......といった私が憧れる内容でしたが。
今世で頂いた絵本は大聖女様がバリバリ戦っていますわ。敵とガンガン容赦なく。6歳の女の子に贈る絵本としてはかなり残酷描写が......。これ、大丈夫ですの?
「どうだい?気に入ってくれたかな?アイラは凄い聖力を持っているからね。絶対に今世紀最大の大聖女様になると思うんだ。今からイメージトレーニングするのも良いかと思ってね」
と、お父様がバチっとウィンクします。
うん。いい男ですわ。惚れ惚れします。ですが、私は大聖女様にはなりませんの。ごめんなさい。
「女の子に贈るプレゼントとしてはどうなのかしらね?それにアイラは大聖女様にはならせませんわ」
お母様がため息をつきながらちょっとだけお父様を睨みましたわ。
流石お母様ですわ!分かっていらっしゃる!
お母様のプレゼントを開けてみると可愛らしいお花の形をした髪飾りでした。
「真ん中の宝石はアイラの瞳の色と同じエメラルドです。綺麗でしょう?きっとアイラに似合うわ」
はい。綺麗ですけれどエメラルドの大きさに若干引きましたわ。6歳児にこのような高価な物を......。
でもありがたく頂きます。
そしてお兄様が次は自分のプレゼントを開ける番だと目を輝かせて待っていますわ。勇気を出して開けますわ。
え......と?これは何の液体でしょうか?綺麗な小瓶に入っている薄ピンク色の液体。香水でしょうか?
と、思っていたらアクアが一瞬でその小瓶を奪い私の手の中には何も無くなりましたわ。
「ちょっと!アクア!それをアイラに返せよ!手に入れるの苦労したんだから!」
「この変態ヤローめ」
アクアが小さく呟いてその小瓶をマリルに渡しました。更にマリルからお父様の手に渡りましたわ。
お父様はそれを見てニッコリ笑い無言で執事に破棄させていました。それが合図になったのか偶然なのか音楽が流れてきてパーティームードが盛り上がります。
お父様が泣きそうになっているお兄様を別室に連れて行ったようですわ。
あの小瓶は何だったのでしょう?
気を取り直して美味しいお料理を頂きまわ!
今日から6歳です。
前の人生でも分岐点になった年齢ですわ。今世では特に気を引き締めて生きて行かなければなりません。
その夜。いつもの様にアクアがお部屋に来ました。
そう、そう。あの小瓶についてですわ。
「アクア?お兄様のあの小瓶は......」
「気になるよなぁ?あれは媚薬だ。しかも変態兄貴専用のだ。あれを飲んだら変態兄貴以外は受けつけない。あいつだけしか助けれないように作られてる。最低な変態ヤローだ」
媚薬。前の人生でも18歳まで生きていたのでその知識はありますわ。
なんと!10歳児が6歳児に媚薬のプレゼント!
「でもお兄様は早く犯罪にならない年齢になって、とおっしゃっていましたのに。いま私が媚薬を飲んでしまったらお兄様が犯罪者になってしまうわ」
「あぁぁ、そこは自分しか助けられないから合法?とかなんとか言うつもりだったんじゃねーか?だけど変態兄貴が渡してるのを皆見てるからな。合法にはならん」
そうですわね。
「変態兄貴の馬鹿なところはチビ本人に渡した事だな。チビの飲み物にコッソリ入れればバレずに事が出来かもしれないのに。でも変態兄貴専用で作ってるからそこでこれまたバレるのな。そこら辺はまだ子供で頭が回らなかったんだろう」
「変態って色々と考えてきますのね。私も6歳になりましたので色々用心しますわ。そしてチビって言わないで下さいね」
アクアにニッコリ微笑みます。
「......っ!それ反則。襲うぞ?」
「それは大人になったらのはずでは?」
「......お前、絶対に中身6歳児じゃねーだろう!ったく!早く体も大人になれ!我慢する身にもなってみろ!」
アクアも欲望丸出しですわね。
何なんですか?私の周りの人達は。




