アトラシア第20章 岩戸の地暮らし
戦いの果てに辿り着いた静かな土地。
少年と少女は、見習いを卒業し、新たな日々を歩き始める。
第20章 岩戸の地暮らし
夕暮れが、岩戸の地を優しく包んでいた。
それから半年の時が流れた。
ナギの力で守られた岩戸の地は、今では小さな工房と交易拠点が築かれた静かな集落となりつつあった。
ソウタは理術の研究を続けながら、訪れる旅人に理術を教えたり、術式装置の整備を請け負ったりしている。
サナは焔術による鍛造や加工を行い、火縄銃や槌などの修理・製作を担当していた。
半年の間に、ソウタは理術士の試験を受け、サナも焔匠の試験を受けた。
二人とも、無事に合格していた。
二人はそれぞれの師から正式に認定され、見習いを卒業していた。
彼らの技術と働きは、すでに多くの人々に知られ始めていた。
その夜、焚き火の前で、ソウタとサナはナギと向かい合っていた。
「ところで……ソウタ、お兄ちゃんも、サナも、もう見習いじゃないよね」
ナギがぽつりと言った。
「え?」
「合格おめでとう」
サナが焔管をくるくると指で転がしながら笑う。
「……そう言われると、ちょっと照れるね。じゃあ、今日から私は焔匠ってことでいい?」
ソウタも笑った。
「理術士、か……まだ全然自信ないけど。頑張るよ」
二人は静かに火を見つめた。
それは見習いという殻を破った、小さな誓いだった。
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