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アトラシア第10章 闇の市

闇市にて、理術士の扉が開かれる。

第10章:闇の市


ウルクの外れの倉庫裏手に口を開けた地下通路。 そこが“闇市”と呼ばれる、法の目が届かぬ市場だ。


ソウタは、理術工房で使っていた工具を懐に忍ばせ、薄暗い階段をゆっくりと下っていった。


そこには正規の商人などいない。 創世記の工具、魔物の素材、盗まれた術書、失われた技術。あらゆる違法品が無造作に並べられ、怪しげな人々が目を光らせていた。


「……ナギの手がかりが、どこかにあるかもしれない」


だがその直感は、すぐに別の危機感に塗り替えられる。


背後から近づく足音。気づいたときには、黒衣の男が道を塞いでいた。


「理術士見習い、か……。お前がソウタだな?」


「ナギを知っているのか!?」


その男は、黒衣の袖口から柄杓を取り出し、地面に水を撒くようにして呪文を描いた。柄杓によって水の筋が光を帯び、床に陣が浮かび上がる。


黒衣の男は答えることなく、柄杓で描かれた陣から多数の傀儡を召喚した。


傀儡たちが剣を抜き襲い掛かって来る。


「チッ……!」


ソウタは筆を手に取り、即席で防御陣を描く。だが相手は予想以上に強い。防御陣が砕ける寸前、視界が歪み、頭の奥に“何か”が囁いた。


『……ソウタよ、心を開け』


世界が静止したように感じた。手が勝手に動く。

複雑な数式と幾何学模様が、空中に描かれていく。


それは、理術士が数年かけて習得する高等術だった。


光が弾け、傀儡が停止し解体されていく。


ソウタは、息を切らしながら倒れ込んだ。


「な……なんで、ぼくは……」


再び、あの声が微かに響く。


『私はモリヤ、ソウタよ、私を信じるのだ』


ソウタは、床に手をつきながら顔を上げた。


「アトラシアの創造主……?どうしてぼくを助けるの?」


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

どうぞ、続きを楽しみにしていてください。

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