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カーラ・シモネット-05

 と、そんな会話をしていると、駆け足でやってきたカーラさんが「リッカ!」と手を振っている。



「オヤ、そっちのおフタリは」


「お久しぶりですカーラさん。私の事を覚えていらっしゃいますか?」


「オゥ、――とと、彩斗さんの秘書をされていた、明石三郷さんですよね。以前彩斗さんを私の動画にご出演頂けるように図らって頂き、ありがとうございます。所で」


「ええ、私が彩斗です。素顔は初めてお見せしますが」



 三人は顔見知りなのか、と聞こうとした所で、確か彩斗はカーラさんの番組に出演した事があるし、その際のスケジューリングは、おそらくミサトさんの仕事だろう。



「やはり貴方が彩斗でしたか。顔は分かりませんでしたが、多分可愛い女の子なのだろうなとは思っていました」


「おや、私が女であると分かっていたのですか?」


「料理を手伝っていただいている時の動きや、身体の動かし方で何となくですが。私、何となくで結構分かっちゃうんです」


「ゲームの方もそうですが、カーラさんは本当に感覚で色々分かっちゃうんですね。それにしても、今はフランス語でお話をして頂いているのですか?」


「ええ。私の日本語は拙いので」


「んー、けど私は、貴女の日本語好きですよ? なぁミサト」


「ええ。一生懸命日本語で話そうとする意欲が伝わるようです」


「そうですか? ……デハ、ニホンゴでシャベるコトにしますっ」


「そうそう。そのカタコト日本語が可愛いんだ。カタコト萌えって昔は必ずどのアニメとかにもあったんだけど最近は少ないなぁ」


「彩斗ってアニオタだったの?」


「流石にツクモさんの知識には負けるけど嗜んでいるよ。というかゲーマーには多いんじゃないかな、アニメ好き」



 それは確かに。今までオレが知り合ったゲーマーの四割はアニメとか好きだった気がする。



「では、私達はこれで」


「イっちゃうんデスか?」


「何分今はミサトとのデート中なので。彼女の機嫌を損ねると夜が怖い」


「彩斗」


「おお、怖い怖い」



 彩斗の言い分に、少々顔を赤くして睨むミサトさん。しかし、そうしてデートを優先しようとする彼女には嬉しそうにしている。



「あぁそうだ。リッカ、最後に一ついいかな?」


「どうした?」


「近々エリさんとも一度お会いしたい。今彼女はどうしているかな?」


「エリは今バスラ農村越えた先にある瘴気の谷攻略へ、ツクモと一緒に出てるけど」


「そうか。ならば一度ツクモさん経由で連絡を取ろうかな」


「あれ、彩斗とツクモって会った事あるっけ?」


「君がいない時に少しだけね。内容は大人の秘密だ」


「何だそれ」


「ではまた。行こうかミサト、私向こうの通りにあったワインとチーズのお店に入りたい」


「まだ飲むのですか?」


「何せ今日は現実世界だったらミサトと交際記念日だしね」


「もう」



 そうして彩斗達と別れたオレ達は、仲睦まじい二人を見送った後、アルゴーラの門へと向かって歩く。



「サイトとミサトは、コイビトだったンですネ!」


「オレも初めて聞いた時は、ちょっとビックリしました」


「フタリともトーッテモいいコたちなので、おニアイですっ」


「カーラさんには、恋人いないんですか?」


「イタらサスガにFDPへログインしてナイかもデスねー」


「そりゃそうだ」


「デモデモ、ニジューになってVirginは、チョットハズかしーです」


「ぶっちゃけますね。でも恥ずかしい事じゃないですよ。カーラさんで恥ずかしかったらエリやツクモはどうなるんです」



 エリは二十八で処女公言してるし、ツクモなんか三十路超えてるのに未だ童貞だと言ってた。


 確かツクモが三十になった時に『魔法使いになれると聞いて三十まで童貞貫いてたのになれていなかった。訴訟も辞さない』と言ってたから面倒くさくて『心は魔法使いだよ』と適当に返したら『その発想は無かった』と感心されてコイツアホだなと思ったものだが。



「でもカーラさんなら引く手数多でしょう?」


「ンンー、ワタシあんまりオトコのヒト、キョウミなかったんデス。コドモのコロからリョーリニンをメザしてましたシ、オトナになっても、リョーリにドーガトーコーに、ってしてたら、いつのマにかヒトリミでーす。


 ア、でもニッポンのコドモたちから『結婚してくれ』ってメッセージはいーっぱいキマしたよ!」


「それは日本流の誉め言葉ですね。普通にマジで言ってそうな奴もいそうだけど」


「リッカはワタシとケッコンしたいデスか?」


「え、出来るならしたい位ですけど」



 綺麗で可愛くて料理も美味しくて気遣いも出来てオッパイ大きい人で、唯一の欠点が日本語がカタコトな事くらいだけど、オレだってフランス語は少ししか喋れないのだからこっちが土下座してお願いしないと世界中のファンから許されないレベル差だ。



「むふふー。ワガコはクチがウマイですねーっ」


「嘘では無いですよ。そのチャンスはオレに無いと思ってるだけで」


「……チャンスはありマスよ?」

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