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 とりあえず、エニシもパーティに加えて俺たちは一足先にゴブリン達の元へ向かった。

 森へ入り、そのままギルドの職員が言っていた区画へと進んで行く。


「騒ぎを聞いてない人もいると思います。どうしますか?」


「無視だ」


「わかりました!」


 コーサー並みに従順だな、このエニシ。

 普通、避難優先とかいうもんじゃないだろうか。

 まあ、そう言われても無視するけど。


「ぐむむ」


 エニシの隣で、コーサーがぐぬぬって顔をしていた。

 どうしたんだろう。

 ポジション奪われて嫉妬してるのだろうか?

 んなわけないか。


「グルルル」


「おっと、ローヴォの警戒網に引っかかったな」


 俺も少し遅れてローヴォの示す方向に何かがいることに気づく。

 最近、索敵勝負に負け越してるのでなんとかしたいものだ。


「便利ですね……」


「まあな」


 森へ入っているのでノーチェはしまう。

 そしてルビーは空へ。

 俺とローヴォとコーサーとエニシは身を低くして森を進んで行く。


 本来ならば、ゴブリンが生息していたり。

 集落が存在するのはもっと先だ。

 森の奥中頃まで行かないといない訳だ。


 だが、現状こうして目の前にたむろする大量のゴブリンを見てしまえば。

 ギルドが言っていたゴブリンの大きな動きを観測したってことが本当だってわかる。


 信じてなかったのかと言われれば。

 どっちでもよかったってところかな。


 結局──


「ど、どうしますか?」


「お、思ったより大量ですね」


「コーサー、そしてエニシ。ここへ来てビビってどうする。もう見つからないように逃げるのは不可能だぞ」


 ──真っ正面からかち合う予定なのだから。


「ワイズブラスト」


 補助スキルを全て重ねがけした後。

 重複詠唱でワイズブラストをダブらせる。

 さらに、詠唱もフルで行い威力も十分だ。


「!?」


「!!?」


 森の中から突然。

 巨大な力の奔流が二つ。

 固まっていた雑魚のゴブリン達はなすすべなく消滅した。


「……とんでもないですね……やっぱり……」


「エニシさん……本気を出せばもっととんでもないですよ……」


「やっぱりそうなんですね……」


 後ろでエニシとコーサーのそんな声が聞こえる。

 両者揃って呆れた表情をしているが、森を歩いていた頃とは打って変わって。

 良い関係性へと至れているので良しとしておこう。

 友達ができてよかったなコーサー。


「よし、そのまま正面から叩くぞ! 行けるか?」


「私はついていくしかないのでしょう?」


 コーサーがナイフを持ちながらそういう。


「当たり前だ。弟子だからな」


「わかりました。腕を磨かせていただきます!」


「え? 弟子? だ、大ニュースだ!」


 俺とコーサーの話を聞いてそんなことを言って狼狽えていたエニシにも聞く。


「お前には強制しないが……どうする?」


「…………もちろん。僕も物語の一人に入れるなら、なんだってやりますよ」


「いいだろう」


 物語ってのがどういうことか知らないのだが、やる気があるならその気概は買おう。


「ギャギャギャギャ!!!」


「ゲギャギャァッ!!!」


 いきなり攻撃を仕掛けてきた敵に対し、眉間にしわを寄せて激昂するゴブリン達。

 そんないきり立つゴブリン達を前に、俺は口笛を吹く。


 すると、


 ──ドゴンッ!!


 上からルビーが急降下して複数のゴブリン達を潰し殺す。


「今だ」


「はい師匠!」


「了解です!」


 俺たちに視線が向く状況での奇襲。

 一気にパニックになるゴブリンの集団。

 そこへ、俺は羅刹と六尺棒を手に持って一気に突撃した。

 一撃一殺。


「コーサー! 集団戦は片手で一人を確実に殺せ!」


「は、はい!」


「今までも見てきただろう。片手じゃ無理なら確実に一人ずつ仕留めろ!」


「わかってます!!」


 コーサーは、ナイフで攻撃を捌きながらゴブリン達に前蹴り。

 左右にいるゴブリンの顔を掴んで、叩きつけて仕留めていた。

 うむ、ゴブリンくらいならばどうとでもなるな。

 ここいらのゴブリンはレベルは高いがそれでも戦闘技術はあまりない。

 あるやつもいるが、この集団にはいないようだった。


「ストーンジャベリン!」


 エニシは杖を振ってゴブリン達を牽制しながら詠唱破棄した土属性魔法スキルをぶつけて行く。

 さらに陣縁を出現させて、周りの土を隆起させ、ゴブリン達の行く手を阻み。


「はっ!」


 その陣縁から外に向かって土の槍を複数隆起させて大量のゴブリンを仕留めていた。


「へえ、やるなあ」


「地味だけど堅実ですよ! 土属性は!」


 エニシは偽装スキルで万全に対策を取っているのか、鑑定を使ってもその能力が見えない。

 だが、戦闘を見ていれば強さがわかる。

 なんであのジュンヤくぅん達とつるんでいたのかは謎なくらい、なかなか強かった。

 陣縁魔法のスキルも持ってるみたいだし……。


 その時。


 ──カンカンカンカン!


 鉄と鉄を叩きつけたような甲高い音がなった。

 ゴブリンの相手をしながらコーサーが俺に尋ねる。


「し、師匠! これは、なんの音ですか!?」


「おそらく強大な敵が来たことを知らせるものだろう」


 自分らだと手に負えない。

 だから、応援を呼ぶのだ。


「なかなか頭のいい魔物ですよね! ゴブリンって!」


 エニシも会話に混ざる。


「そうだな」


 ここのゴブリンは人と変わらぬ知性を持っていると思ってもいいだろう。

 社会性を築き、さらにその中で役割分担を行い、子を育てる。

 うーん、繁栄されると厄介だ。

 人が忌み嫌って殺すのもなんとなく頷ける。


「さて、ここから本番だぞ」


 真剣な口調でそういうと、コーサーとエニシがゴクリと息を飲んだ。

 うむ、真剣に当たらねばこっちが足元をすくわれかねん。

 強い個体のゴブリンが、この戦闘に加わってくるはずだ。


 その後ろには、奴らも控えているだろうしな。

 気を抜くことは許されない。








更新遅れましたすいません。

別所で他のも更新してまして、そっちに時間取られてました。

でもまあ、GSOが毎日更新されるんですけどね!!!






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