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刊行記念で毎日更新がんばります!回数問わず!



 洞窟といえばいろいろあったんだよなあ。

 雪山に置き去り修行もそうだが、もう一つ恐ろしいのだ。


 中国、雲南省にある梅里雪山。

 地形や、気候が非常に厳しく。

 今でも未踏峰の数少ない山の一つ。


 さすがに年端もいかない少年をこんな山奥に連れていくことはなく。

 高校卒業したあたりでじじいに連れてこられた。


 まさにフィクションと言える。

 月明かりすら通さない森に、潜む猛獣の数々。

 そうだな、ハモンが修行地として使っていた。

 いつだか討議大会前に連れてこられたヤバい森に近い。

 それが現実だった。


「──ん?」


 急に頭上に落ちてきた何かを空中で掴み取る。

 上でカサカサ音を立てていたのでムカデかゲジゲジ、または蜘蛛の類かと思っていたが、巨大なムカデだった。


「なんだ、ムカデか」


「ムカデってひぎゃっ!? で、でっか! き、きもいい!!」


 一応噛まれないように頭の部分を掴んでいるのだが、確かにムカデの絡み鬱いて来る足の感覚は心地よくはないな。

 波打つような刺激だ、うん、ツクヨイ一理ある。


「食べれんことはないぞ、貴重なタンパク質だ。食うか?」


「──食べるわけねですよ!!」


 思いっきり肩パンされた。

 まあ、全然痛くないけど。

 でもあんまりやりすぎると迎撃許可が出ちまうぞ。


「おいおい、それよりおまえ鑑定してみろよ」


「ん?」


 トモガラの声に従って鑑定してみる。

 すると。




【ケイブセンチピード・ジュニア】Lv3

ケイブセンチピードの子供。クラス2。

レベルとともに大きくなる洞窟ムカデ。

まとまってコロニーを作る。




 ……これで子供なのか。

 しかもクラス2のレベル3でツクヨイの腕くらいの太さを持つ。


「なんか嫌な予感がしますが……」


 ツクヨイの言葉通り、暗闇の中でえらい音が響いてきた。


「グルルルルッ……」


 ローヴォの警戒を促す唸り声。


「嫌な予感、ばっちり当たってるみたいだぜ」


「これまた、大量ですね」


 まるで洞窟内を鉄砲水が流れるような音が響いてきた。

 視界はあいからわずゼロ。

 まったく見えない暗闇でも、足音でその量を察することができる。

 これは達人とかそう言うレベルじゃなくてもわかる。


 発狂するレベルのムカデの大群が押し寄せてきていた。


「──ひええええええええあああああああああああああ!!!!!!!!!」


 ツクヨイが発狂した。

 見えたんだろうな、ムカデの大群。


「とりあえずエナジーブラスト!!!」


 眼前に、音の方向へエナジーブラストを照射した。

 暗闇の洞窟が一瞬あかりに照らされて、そして見えた。

 ケイブセンチピード・ジュニアの大行進。

 向かう先は、もちろん俺らの方向。


「おいおいおいおい、ゴブリンとかオークのシークレットエリアよりも多いじゃねえか!」


「さっきの光線でも全然減ってませんでしたね、どうしますか?」


「どうしますかじゃなくて!!! 逃げるに決まってますですううううう!!!」


 幸い、エナジーブラストにて照射した時。

 そのあかりで洞窟の先まで見えた。

 洞窟の先は二つに分かれている。


 いや、普通に考えてきた道を戻ればいいものの、発狂したツクヨイがなぜかムカデがいない洞窟を選んで走り出した。


「いやああああああああ!!! こ、こないで!!! ムカデ! ムカデえええ!」


「ちょっと待てツクヨイ!」


「いやああああああああああ!!」


「錯乱してますね、後を追いましょう」


「お、おい! ムカデの音で道がわかんねぇよ!」


「なら俺の声を拾えトモガラ!」


 っていうかエナジーブラストを照射した時に地形くらい覚えとかんか。

 俺と同じ人種のモナカは、しっかり地形を記憶していたようで、険しい洞窟の道を巧みに歩いていく。


「ローヴォ! ツクヨイを止めろ!」


「ヴォン!!」


 狼であるローヴォは夜目が効く。

 ……あ。

 そういえば、俺も夜目きくんだったな、ローヴォとノーチェがいる限り。

 やっべぇ忘れてた。


 ツクヨイの試練だから灯禁止。

 だけど灯禁止でも別に大丈夫ですよって感じで無駄なことしてたわ。

 ちなみに夜目のスクロールは使用禁止だ。使おうとした瞬間消える。

 が、テイムモンスターや契約モンスターの能力引き継ぎによる使用はオッケーだって。

 ……なんでだろうな?


「……ツクヨイ! 落ち着け! 一人で進むな!」


 今まで見えない感じ装ってて、またなんか言われるかな?

 とりあえずノリに任せて見えてない振りしとこう。


「ひえぇっ!?」


「わぁう?」


 後を追っていると前方でツクヨイの短い悲鳴とローヴォの疑問の声が上がっていた。

 後ろからはセンチピードの子供たちがわらわらと追っかけてきている。

 その脅威以上に、ツクヨイの前に何かが立ちはだかったのだろうか。

 いやそれだったらローヴォが吠えているはず。


「わっ、前方で反響の音に大きなばらつきがありますねー」


 もう見えているのでモナカを見ると、走りながら耳を向けて前方を確認しているようだった。

 かなりのスピード、そして後ろからは大量のムカデの大行進音。

 時たま洞窟の出っ張りや凹みに足を取られているが、そこは柔術家。

 神業に近い重心配分でコケる勢いを自分の推進力へと変えていた。

 できる。


「あいた! ったくよぉ! ごはっ! 苔があんぜまったくなんで光もないのにっておまえらまてよー!」


 トモガラは後ろから転びながらついてくる。

 スキルによって身体が圧倒的に頑丈になっているから大丈夫そうだ。


「みなさん止まってください! 止まって止まって!」


「ん?」


 ツクヨイが手を振っている。

 見えてない設定なのに手を振っても意味ないと思うのだが、先頭を走っていたモナカがその声を聞いて止まる。


「なんでしょう?」


「ここ、大穴が開いていて進めないんですよ! だから引き返した方がってムカデまだ追ってきてるーー!!」


 そりゃそうだろ、錯乱してて気付かなかったのか?

 もしくは目の前の大穴に落ちそうになってそっちの恐怖で上書きされたかのどっちかだな。


「ちょ、ローレントさん! モナカさん! ど、どうするんですか!!」


「うーん、飛びます?」


 すぐ目の前に大きく開いた穴。

 モナカがツクヨイにとりあえずそう尋ねる。


「飛べるわけねーです!!」


 そう言うが、引き返したとしても後ろはムカデの大群だぞ。

 それに、この道を選んだのはツクヨイだ。


「おらあああああ!! 何止まってんだ早く先に進めやああああ!!」


「アホタレ! 話聞いてなかったのか!」


 後ろからトモガラが猛ダッシュしていた。

 どうやら、一番ムカデの足音が近かったせいでツクヨイの声が聞こえていなかったらしい。


「ああん? 何がだよ──おっ?」


 そんな軽い声をあげながらトモガラは再び足を躓かせて転んだ。

 そしてその勢いでゴロゴロ転がって俺の方に向かってくる。


 俺は避けた。

 モナカも避けた。

 だがツクヨイは避けきれなかった。


「──ほえ? ほええええ!」


 落ちゆくツクヨイはローヴォの尻尾を掴んだ。


「わほぉんっぅ」


 情けない声を出したローヴォは、モナカの袖を噛んだ。


「ぴっ?」


 そしてモナカは隣にいた俺の手をつかもうとする。


「いや、俺はちょっと──む?」


 袖口をつかもうとするので小手を返すとさらに返され絡め取られた。


「さすが柔術の達人。みごと」


「んなこと言ってる場合じゃねーですよおおおおおおおお────……」


 仲良くみんなで手を繋いで。

 真っ暗な穴の中に落ちてった。










水泳回ありませんでしたが、とりあえず雪山修行編でツクヨイがちょっとあれな感じになるのは確定です。

ツクヨイがあれします。

あれっていったらあれです。

むふふなやつ。





あとがき小話(読み飛ばしてオーケゐ)


漁師がどうとか最初は言ってたんですが、実のところマップの海から離れた位置がゲームの開始位置でして、海までの距離が遠いんです。

すっごく遠いんですが、なんとか漁師できないかと思っているところです。



そんなことより伊勢海老食べたい。

レア食材目指して三重にでも行きますか。




ってことで刊行決定記念更新です。頑張りますね。


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