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「ナイトビジョン! ──はわわわわ!!」


 ついに洞窟の中へを入っていく。

 薄暗い状況から完全なる暗闇へと移行するのだが、闇属性魔法スキルのナイトビジョンを使用したツクヨイが悲鳴をあげて俺の袖を握りしめていた。


「なんだいったい」


 その途端、俺たちが入って来た入口の方へ小さな生き物の群れがバサバサバサと飛び交う羽音が聞こえた。


「なんだコウモリか」


「くっせ、コウモリの群れの下ってクソだらけだろ? 感覚マックスにしてるとひどい臭いだな」


「まあまあ、そこもリアリティですよ」


 とばかりに、看板の内容的に仕方なく先導をかってでたツクヨイを追い抜いていくトモガラとモナカ。


「ななななんで平常心なんですかああ! こーもりですよ! こーもり!」


 ぶらっくぷれいやぁを自称するなら、コウモリとか完全に使い魔みたいなもんだろうに。

 いっそのことテイムモンスターにしたらいい。


「筋張ってるのが苦手なんですっ!」


 バッドパンダよりもいいぞ。

 ちなみにブラックパンダの次がバッドパンダ。

 そしてその次がデビルパンダらしく、順調にツクヨイのペットとして相応しいのか、ふわさしくないのかよくわからん成長をしているヤンヤンであった。


 最後はデスパンダとかかな?

 漢字で表すと死熊猫。

 なんか中国拳法使いそうな名前だ。


 仕込んでやりたい。

 ほら、演舞くらいだったらクマとかパンダって仕込めるし。


「──────ってか!!!」


 そんなことを思ってズカズカ前に進んでいると。

 洞窟いっぱいに響き渡るほどのキンキン声でツクヨイが叫んだ。


「私が先導するのになんで先に進んでやがりますかぁっ!!!!」


「ん?」


「あ?」


「へ?」


 俺、トモガラ、モナカのあっけらかんとした声がハモった。


「いや! 私は表情わかりますよ、この暗闇でも!? なんでお前何言ってんの? みたいな顔でこっち見るんですか! ってか、こっち見るって暗闇の中見えてるんですかーーー!?!?!?」


「まあな」


 とトモガラが手を腰に当ててツクヨイに答える。

 そもそも、暗闇だからといって歩行の制限にはならない。

 特に俺ら三人を相手にするには完全に無音。

 脈打つ心臓の音くらいしか聞こえない状況を作るか。

 もしくは聴覚を使えなくするかしかないのだ。


「はあ??????」


 理解不能そうにしているツクヨイにモナカが優しく教えてくれる。


「ツクヨイさん、世の中目が見えなくても自転車に乗れる人だっているんですから、暗闇で視界が塞がれててもそもそもなんら問題はありませんよ」


「だよな、まあ、面倒クセェ技術だけど」


 盲目の人が、音で物を見る技術。

 反響定位、またはエコーロケーション。

 反響した音の振動や周りの匂いを掴み危険を回避する手法である。


「いや、それって盲目の人ができるようになるやつじゃないんですか?」


「あまいな。目を潰されたら誰だって盲目だ」


 戦いとは命の奪い合い。

 その命を奪うという最終到達地点の前に、相手の攻撃力を奪っておく必要がある。

 四肢の他に言えば戦意もそうだし、急所は全て奪えば相手は死ぬポイントでもある。

 命の陣取り合戦だぁっ!


 そんな中で人間一番手っ取り早く奪いやすく、かつ同時に奪いやすい。

 または簡単にここを奪っておけば、後が楽だというものが……。


 指、腕、足、目の計五つ。

 俺はそこに耳を含めてもいいと思うのだが、脳にダメージを与えられない耳攻撃は気合で我慢する奴が多かったイメージ。


 そうそう、特に目だよ目。

 目潰しの技法は様々ある。

 よくあるじゃんけんのチョキ形で行う目潰しはまず当たらない。

 その前に俺なら指を折る。


 オーソドックスなのだと、顔したから鼻を固定しそれに沿って目を潰しにいく三本目潰し。


「ねこだましからの手首を捻って逆手三本だと決まりやすいから覚えておけよ」


「嫌です」


 ふむ、あとは目はデリケートな機関だから攻撃の合間に軽く触れてやるだけでもいい。

 それだけで十分相手の視力は使えなくなる。

 俺はアスポートを使って相手の眼前によく砂を散らして目潰ししていた。


「そう言うわけで、目ってのは常日頃から狙われやすい希少部位だ」


「狙われないです」


 一つかけても普通の人は距離感がつかめなくなり致命的。

 そんな場所を武術家が放っておくと、思うたか。


 サイ○人だって、尻尾が弱点だったら鍛えるだろ。

 弱点を鍛えて克服してないのは雑魚の証拠。


「ラ○ィッツの悪口は言うなよ」


「そうですよ。幼児にも戦闘力で一瞬負けたラデ○ッツのことには触れないであげてください」


「ん? すまんかった」


 とにかく、象なんかは足の裏に感じた振動で外敵の接近を察知すると言うし。


 同じように中国武術の関節技『擒拿』でも聴勁と言われる技法があり。

 皮膚感覚による重みや振動を察知する技術が昔から培われてきた。

 それは弱点を補うことと、もし失ったとしてもそれ以外で戦うための保険。


「何かが動けば絶対その振動は音となって伝わるってこった」


 俺の話が長くなりそうだと、トモガラが口を挟んでそう言葉を締めた。


「で、でもそれって盲目の人って視覚が使えないから脳が聴覚に特化するようになったんじゃ……」


 まーだ信じてない風なツクヨイに言っておく。


「だったら脳みそをそう言う感じに特化させればいい」


「ひ、ひえええ! く、暗闇で目が緑色に怪しく光ってますってば! ローレントさん怖いです! 怖いです!」


「あーこいつ、雪山だし洞窟だから過去のいろいろがフラッシュバックしてビンビンになってるわ」


 そう、ビンビンだ。

 気配察知もビンビンだ。







達人に近い生き物たちの独自理論武装回フィクションでした。

いったい洞窟ではどんなことが待ち受けているんでしょうか。

乞うご期待。

毎日更新再開します。

頑張って書きためました。




あとがき小話(飛ばしてもオッケー!)


みなさん、このあとがき部分を下へ下へとスクロールしていくと……。





なんと書籍版GSOの表紙が!

ついに、ついに出ました表紙です!



テラ「GSO!! GSO!!」



これからも何かあれば活動報告にてご報告とさせていただきます。

ぜひご覧くださいまし。



ってことで明日(約二時間後)も更新します。

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