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とりあえず、コーサーファミリーはこれでペンファルシオも取り込んでテージシティに巣食うマフィアの中で、三大という高みに食い込むことができたと言う訳だ。
三大という割には、意外とあっさりクリアできたと言うか。
そこまで強かったと言うイメージは無かったと思うのだが俺以外の全員は満身創痍と言う状況だった。
だから休んでいいと告げて一人で相手した。
契約モンスター全てを動員して不幸も残像も空蹴も全てを利用してMPが尽きるまで戦った。
結果。
ペンファルシオファミリーのアジトは、トンスキオーネの時よりもさらにひどい有様になっていた。
「これってまさか、コンシリエーレがやったんですか?」
アンジェリックと下水道に潜ってちまちま戦い、そこから続く地下室にとらわれていたセバスチャンを助け出して戻ってきたコーサーが遅れて戻ってきて呟いた。
「クカカカ、誰もここまでやれとは言ってねぇけどな」
葉巻をふかしながらトンスキオーネが笑っている。
「急に下水道からペンファルシオの連中が引いていったから何事かと思いましたが、まさかこんなことになっているとは思いませんでしたね、トンスキオーネさん」
「俺としちゃあ、ペンファルシオを切り捨てたあの二刀流野郎をぶっ殺した時の戦いをお前に見せておきたいくらいだぜ?」
「え、どう言うことですか? コンシリエーレがペンファルシオをぶっ倒して終わったんじゃないんですか? っていうかそもそもの作戦だと、生かして脅してそっくりそのまま傘下につけるって話じゃなかったんですか?」
「クカカカッ! まあ、お熱が入っちまったんだよなあ、コンシリ?」
贅肉を揺らしながら笑うトンスキオーネに、隣にいたニシトモも苦笑いを浮かべていた。
途中ですっかり頭から抜けていたんだが……、当初の予定だとペンファルシオは生かしておく予定だった。
で、トンスキオーネと同じように契約はしないまでも配下につけておくことを検討していた。
そうしなければこいつが持っていた商会やら販路やらもダメになってしまうからな。
厳しい戦いを想定して、解決の落とし所を探っていたニシトモとトンスキオーネだが、ミヤモトが首を切り落とし、そして俺がそのミヤモトを倒しそして建物を倒壊にまで持って行ってしまった。
彼らが言うには、俺は想像の遥か上を行っていたとのこと。
でも元々空中から降下して行くときに使った石柱で三分の一以上はボコボコになってたと思うんだけどなあ。
最後の最後は単純にマフィアの最後っ屁って感じ?
「……えっと、わいが捕まってた時計塔の単独制覇とさらにペンファルシオファミリーのアジト壊滅。なんや、一人でやれることちゃうがな! どないなっとんねん!」
いきなり声をあげたカイトー。
周りの空気がサァーっと引いて白けて行く感覚が伝わってきた。
気の掌握で一切の気配を殺すのによく似ている。
プロ芸人は、実は武道を嗜む達人だったと言う都市伝説は本当だったか。
半世紀前以上前の芸人、さ○まは独特の笑い方を持った気功の達人で。
しん○けは組織を作るのが天才的に上手い話術の達人。
た○しはとにかくキレると危険な暗殺系古武術の使い手だったとか。
と、言うのは冗談だ。そうだったらいいなってだけだ。
「え、誰よこの売れない芸人みたいな奴。ってかペンファルシオの服装してるけど、まさか敵?」
容赦のないエアリルの一言。
「ガーン! って誰が敵やねん! ちゃいまんがな! あんさんちょっと経緯説明してあげて!」
「敵だ」
「ウフフフフフ、なら今回見せ場があまりなかった私にやらせてください」
「うそやん裏切者! って怖っ!? ねぇこの女の人怖いわ! 目に光がないって言うかすっごく深い闇を抱えとるって言うか深淵を覗いたわいがまさに今覗かれとるっちゅー」
「……闇が深いなら、照らしとくリットライト」
「せやねぇ、これでよぉ見えるようになりましたわ。あら、光が目に反射して一応形的には目に光が灯ってるーーってなんでですのん!!!!!!!!!」
「ふっ」
……初めてこいつが面白いと思ってしまった。
思わず吹き出してしまう。
「…………ローレント様が戦闘以外で笑う所。妾初めて見ましたわ」
「……私も」
「うふふ、私もです」
「珍しいこともあるもんよねえ?」
「エアリル、あと他のみんな。少しそれは失礼じゃない?」
いや、失礼すぎるだろう。
ちょくちょく笑ってるやんか、俺。
「いや、私もコンシリエーレが無理難題ふっかけてきて笑うところなら見たことありますが、こんな風に自然な笑いでは……いや、あれも自然な笑いなのか? ……ん?」
コーサー覚えてろ。
「クカカカッ! 俺からバズーカの一撃食らった時も笑ってやがったけど……なんかこれを見るとちげぇな! クカカカッ、俺ら裏稼業と同じ笑い方だぜ」
トンスキオーネの贅肉はちぎって焼肉トウセンで焼いて豚の餌にしてやる。
確定だ。
「まあまあ、皆さん。人は誰だって笑うものですよ、ねえ、ローレントさん」
「………………エナジーーー」
「おわああああ! ローレントさんちょっとここでエナジーブラストしたらダメです! レッドネームになっちゃいますって!」
問答無用で詠唱に入ったら、慌てて止めてくるブラウだった。
別にレッドネームになってもそこには楽しい日々が待ってるからいいのだ。
ミヤモトが物騒なことを言っていたように、そこにはVR業界に参入してきた達人の巣窟とかそんな感じになってるニュアンスだったから。
そこでみんなで笑いながら死闘を繰り広げてやるもん。
「いやだから! ちょっとニシトモさんも止めるの手伝って! っていうか元々あんたこっち側でしょうが! 常識持ってる側でしょうが!!」
「ブラウさん、常識なんか持ってても損するだけですよ」
「うごああああ! コーサー! 立ち位置変われえええええええ!」
「いや、俺、殺されてもレッドにならないし復活するんですよ? 契約で。無理ですって」
「なんや剣士のあんさん。なんだかわいとキャラ被ってへん?」
誤字脱字とか多くて本当にすんません。
多分地の文ではローレントはちょくちょく意気揚々としている場面がありましたが、だいたい戦闘場面だったんじゃないかなって思ってます。
まあ美味しいもの食った時とか、装備を新調したり得した時は笑ってますよ、心の中で。
芸人がどうたらのくだりは、単純に私がそうだったら個人的にウケるなあって思って適当に作ってあった設定から拾っています。
戦闘描写の練習で書いていたものが、私が投稿する唯一の短編で「タロイモが好きな格闘の素人は海洋戦闘民族で、そのパワフルな肉体を生かして格闘トーナメントで優勝をもぎ取る話。」という物語です。
これはもろマーク○ントとジェロ○レバンナの戦いを観戦しながら妄想して書いたものです。
そして次話ですが、こいつなんか怪しいなと思って皆さん感想で色々勘ぐってましたカイトーさんについて触れます。
あとがき小話。(読んだら負け)
どうでもいいことですけど、ツイッターのモーメントがローレントに見えました。




