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96話 腹の虫

「ただいまー」


 帰還の挨拶と共にさくらが待っている部屋に入ると、大人しくするという約束を律儀に守っているさくらはいつのまにか帰って来ていたみゃーこを、お互いの身体に障らない程度に撫で回していた。


「あ、真冬、おかえりー」


 さくらは僕が帰ってきたことに気が付くと、優しく撫でていた手をおもむろに止め、気持ちよさげに喉をごろごろと鳴らしていた時とは一点、少しだけ不満そうな顔をしているみゃーこの恨みがましい視線を受け流しながら、僕に尋ねてきた。


「そういえばなんだけどさ……みゃーこちゃんってなんで話せるようになったの?」


 初お披露目と言っては何だが、先刻フランさんとみゃーことダンジョンに潜り、カイトに家に帰って来た時にみゃーこが喋れるようになった件について多少のやりとりはあったものの、詳しい理由まではその他に話さなければいけないことがあったため有耶無耶になって中途半端で終わってしまったので、気になっていたんだろう。


 しかし“なんで?”と問われても僕も詳しく知らないのが正直なところだ。みゃーこから聞き出すにしても、ナビーに説明して貰うにしても、時間が多少掛かりそうだからご飯を食べながらにでもしよう。

 本人は全くと言って良いほど気が付いていないが、お腹の中にいる虫たちが空腹の大合唱をしているので早く食べさせてあげないと、色々まずそうだ。


「とりあえずその話は後にして、お腹も空いたしご飯にしようか」


 僕がそう言った後、お腹の虫の大合唱が止むのと、さくらが自分のお腹が鳴っていると気が付いたのは寸分の狂い無く同時のことだった。


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