97話 料理
「どうぞ!」
さくらの万全ではない体調と僕の料理スキルの都合を考え、消化に良いことと水分を取れることから病み上がり良いとされるお馴染みのあの料理を作った。
材料は比較的に簡単に手に入ったのであまり苦労はしなかったが、一年に一回ぐらいしか料理をしないが故にあまり手際良く調理が出来たとは言えない。
しかし、それほど滅多に作らない頻度だが、僕は同じ料理を幾度となく作ってきたので、他の物を作るよりかはスピードも味も少しだけ自信があるのは否定しない。
「これっておかゆ……?」
僕が出した料理を見たさくらは、まるで狐につままれたかのような驚きの表情をしていた。それも無理ないだろう。今目の前にあるのは食材が売っている市場を見ていないさくらからすれば、想像だにしない料理なのだから。
「そう!市場でお米にそっくりの物があったから作ってみたんだけど……」
先ほど一年に一回の頻度で料理をすると言ったが、その料理の名は何を隠そう――おかゆだ。何故その頻度かというと、さくらは大体一年に一回の頻度で軽く体調を崩し、ブラックホールもかくやと言うほどの食欲を持つさくらの胃袋が鳴りを潜めるその度に、僕がさくらの家に行って看病をしていた成り行きでおかゆだけは唯一作れるようになったのである。
「それじゃあ、いただきます」
さくらは恐る恐ると言った様子で、地球で作っていたおかゆと見比べても見た目は何等遜色のない異世界産のおかゆを口にした。毎回毎回誰かに、と言っても十中八九さくらなのだが、そのさくらに料理を作るのはとても緊張する。口に合わなかったら、と考えるとおかゆさえ喉が通らなくなるほどだ。
「――――」
しかしそんな不安はどうやら杞憂だったようで、おかゆを口にしたさくらは嘘偽りのない純粋な笑顔で、
「おいしい!」
と声に出し、次々におかゆを口に運んだ。




