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82話 誤解

「――魔物はダンジョンの前からいた!」


 さすがというべきかさくらは、僕とウィルが言葉にして会話をしている断片的な情報から答えを導き出した。


「そういうこと。で、それで作った武具がアーティファクトっていうわけ」


「ということは……お、俺が、アーティファクトを作んのか!?」


 カイトは目が飛び出るほど驚きながら言った。


「正確に言うとそれに近い物、になるかな」


「どういうことだ?」


「まずヘファイストスがアーティファクトを創っていた時に使っていたほどの素材が手に入らない。後は単純に、技術不足かな」


 素材がどうこうに関しては自分たちではどうしようもなく、この際仕方ないと割り切ることが出来るが、技術不足とキッパリと言われてしまっては比較相手がいくら鍛冶の神様――ヘファイストスであろうと、悔しいものは悔しいだろう。


 神様と人間の間には逆立ちしようが、天と地がひっくり返ろうが到底越えることの出来ない確かで不確かな隔たりがある。それは分かっているのだが“お前は未熟”だと言われれば唇を噛むほどの苦い思いを抱えるのは必然だろう。


「そっか……。作り方は分かるんだよな?」


 しかしカイトは悔しさを一切も滲ませずに淡々とそう答えた。おそらくだが、カイトの内には今にも吹き出しそうで、吹き出したら誰もが大火傷を負いそうなほどの圧倒的な火力を持つ情熱が渦巻いているのではないのだろうか。だから口から出たのは悔しさでも自分の無力にうちひしがれる言葉でもなく、ただひたすらに前を向いた言葉だったのだろう。


 そして、その言葉に満足げな表情を浮かべるウィルは首を縦に大きく頷き、


「行程が全部で七つあるんだけど、残念ながら僕はそのどれも知らない」


 意気揚々と頷いた割には帰って来た答えは予想とは違い、次の仕草もぱっと見では意味不明を極めているものだった。


「でも、分かってる人なら知ってるよ」


 ウィルはそう言いながら、人差し指を本来の使い方とは異なる少し斜め上に向けて差した。


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