068 恋敵登場!?
今回までポーニャさんが暴走します。
要求を伝えてくると、今まで手遊びしていた襲撃してきた冒険者のタグをテーブルの上に置いた。私はそれを手に取り判定刻印にかざす。
「念のために、何故この人の情報を知りたいかを教えて頂いても良いでしょうか?」
さっきまでの残念な態度が嘘のように、丁寧な口調に切り替わっている。冒険者ギルドと冒険者は切っても切れない縁だ。そんな冒険者の情報を開示要求しているのだから間違いなく厄介事が起きてる。下手に情報開示しようものなら、逆恨みをして冒険者ギルドを襲撃されても困る。
「さっきの、若い受付嬢にも言ったんだけどね。開示根拠は、その人のパーティーに昨夜襲撃を受けたの。その時の見張りがダーシャ君で、索敵と同時に夜襲を食い止めたのよ。そして、襲撃者から身の証明の為にそれを預かっているので開示しても・・・。」
「タダムさんですね。」
情報を吟味した結果、悪いのは襲撃者だ。タダムさんはまだあいつ等から良いように利用されてるのでしょう。ダーシャ君って言うんだ。素敵な名前。名前だけで知的な感じがするわよね。そして、夜襲を食い止めたですって。EランクがCランクの夜襲を退けるなんてさすがです。新婚旅行で野営する時も守ってもらえるわね。でもその後に私の夜襲を受けて、きゃーーー。どうしましょ。
「それで、彼らが今回受けている依頼の詳細は?」
「申し訳ないですが、分かりません。」
「は?」
「残念ながら、彼は冒険者としてギルドに登録されています。しかし、ある時からこの街の代官専属として拘束されていて、依頼というより任務って形で活動しているって聞いてます。」
「他に6人居たんだけど、そいつらも子飼いの冒険者かしら?」
「誰が居たかとか分からないので何とも言えませんが、状況から考えるに同じ境遇の者でしょう。」
「何か情報は無いのかしら?」
「ハッキリと断言して言える情報は残念ながら有りませんん。」
私の言葉にダーシャ様が落ち込んでる。ごめんなさい。でも本当に何も情報がないの。そもそも、ギルドに顔を出さなくなった冒険者の情報が残ってるだけでもすごい事なのよ。私を見捨てないでね。
「タダムさんなら、猫の歩廊亭に泊まってるよ。昨日から緊急依頼で2~3日留守にするって言ってたけど、すぐに帰ってくるはずさ。」
気がつくと、ダーシャ君の横に10才位の子供が立っていた。そこはプライベートの私の場所なのに、勝手に取るとはこの泥棒猫!!
「アンナ、良かったら教えてもらえるかい?」
ダーシャ君はアンナの頭を撫で、視線の高さを合わせて聞いていた。アンナは生意気にも頬を染めながら「うん」って応えていた。
「じゃぁ、ギルドでもらえる情報は無さそうだから宿に言って教えてもらいましょう。ポーニャさんありがとうございました。」
役立たずの称号をもらった冒険者ギルドは、何も言えずに3人を見送るしかできなかったのです。次からはダーシャ君の為に何でも応えれるように情報屋から色々と絞りとっておかなきゃと心に誓いました。
ポーニャさん書いてると楽しいのは、私の心が歪んでるからでしょうか?




