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月の滴  作者: あれっきーの
袖の触れあいは一期一会
63/136

063 依頼完了

久しぶりの2000字超え。

「ライフ・オブ・シャドー」のかるかん先生っぽく言うなら2キーノ分の執筆量です。


※1キーノ=普段の私の投稿量=1000文字




 カッポ カッポ カッポ カッポ・・・


「止まれ、止まれってば!!」


 馬は聞く耳を持たずに、自分のペースでカッポカッポ優雅に歩いている。


「ふぉっふぉっふぉ。ほれ、貸してみろ。」


 カッポ カッポ ピタ!


 老紳士(アブさん)の指示にはピタリと従う。端から見ると同じような指示を出しているのだが、一体何が違うのだろうか?


「ふぉっふぉっふぉ。まだまだ勉強することはたくさん有りそうじゃな。」


「二の句が継げませんよ・・・。」


 あの後、大通り沿いに馬車を進めた。街道とは違い、人の往来が激しく走らせるような事はしなかった。しかし、歩くのは歩くのだが、止まらない。何をしても止まらない。手綱を引こうが、喚こうが、ニンジンを見せてもダメだった。

 この馬は老紳士(アブさん)以外の言う事は聞かないのではないだろうかと勘繰っても俺のせいではないと思う。


「それじゃぁ、馬車を見てて。私とアブさんで依頼の完了してくるから。あと、ダーシャ君のタグも持っていくから貸してね。」


 俺の首からタグをひったくると、老紳士(アブさん)と一緒にギルドの中に入って行った。残された俺と老淑女(ジーナさん)はおとなしく馬車をギルド側面の馬装場に移動させた。もちろん、御者席ではなく引っ張って連れてきた。

 馬装場に着き、馬車との連結金具を外してやり、水と飼葉を与えた。一通り終わって額の汗をぬぐっていると、老淑女(ジーナさん)からカップを手渡された。


「はい、御苦労さま。」


「いえいえ、お粗末さまでした。」


 今回の旅で使った馬と馬車はギルド所有の物らしい。冒険者だけでなく、必要とあらば今回のように馬車をレンタルもしているらしい。勿論、専用の業者がと比べると割高らしいのだが、老夫婦(アブさん夫妻)はいつも使っている馬と馬車の方が安心できるらしい。ついでに言うなら、ギルドで冒険者を雇うのだから、その分割引とか有っても不思議ではない。


「お!、えらいぞ少年。」


 声の方に振り返ると、老紳士(アブさん)とサヤーニャがこっちへ歩いて着た。


「依頼完了よ。」


「うむ。少年の初任務としては問題ない働きだった。」


 「ほれ」と手渡されたタグは俺の名前とEの印があった。


「あれ? 初任務の割に、冒険者ランクが上がってるみたいなんだけど・・・?」


「それは、アブさんからあなたへの評価もあるのよ。」


 老紳士(アブさん)に目をやると、少々恨めしがましい目でサヤーニャを見ていた。


「ここで言うとは、少々無粋かのぉ。しかし、まぁいい。少年の華々しい活躍は無かったが、襲撃時の的確な対処。命に対する姿勢。仕事に対する態度等を加味してギルドに完了申請したんじゃ。」


「通常なら、任務5回受けなきゃ上がらないランクなんだけど、拘束日数と仕事量だと10回分だってアブさんが引きさがらなかったのよ。」


 途中で説明を引き継ぐと、老紳士(アブさん)が受付でがんばったんだと教えてくれた。


「じゃぁら、無粋じゃと言うのに。ほれ、剣舞士の名が今後出た時に、いつまでも見習いのままじゃ辛かろう。お前さんはやればできる。その姿勢を崩さず、今後もがんばるんじゃぞ。」


 老紳士(アブさん)から握手を求めらえた。勿論応えて右手を出し、しっかりと握手をした。


「まだ甘いの。」


 いきなり俺の手を引き、バランスを崩した俺は宙を舞った。


「剣舞士ならぬ、軽業師かのぉ」


 投げ飛ばされた俺はかろうじて脚で着地できたが、なんて爺さんだ。


「ふぉっふぉっふぉ。こんな爺でもそんな事ができる。ワシがしてやれる餞別はその位じゃ。後は少年、うまくやれよ。」


 そう言い残すと、老淑女(ジーナさん)と手をつないで帰って行った。


「まだまだ、これからか・・・。」


 予想外な突っ込みに戸惑いつつも、冒険者としての心構えを学んだ気がした別れだった。


「アブさーん。ジーナさーん。また会いましょう~!」


 振り返った2人は笑顔で手を振り返してくれた。

 最後まで色々教えてくれた老紳士(アブさん)は、この依頼の最中色んな事を教えてくれた。老淑女(ジーナさん)はいつも笑顔で、思えば最初に会った時から笑顔しか見てないのではなかろうか。温泉で何となく出会い、初めての依頼で再開した。自分に足りないもの、冒険者としての姿勢等を指導何気なしに指導してもらえた気がする。

 今回の依頼で護衛として働いたって思い出すのは、昨夜出会った冒険者集団との一幕だろう。

 自分達の失敗を謝罪し、タグを預けて身の潔癖を証明しようとしたタダム。同じ仲間内であっても(タダム)だけは一般的な礼儀を身に着けていた。

 身を美しくすると書いて(しつけ)と言う古い国の言葉にもある。自分を厳しくしつけて、この2人にまた会う事があっても恥ずかしくないように成長したい。

 この素敵な依頼人夫妻にいずれ会った時に「成長したな」って言って欲しい。冒険者でいれる時期は本当に短い間だろう。しかし、それまでにできる事は努力する。


 そう心に刻み2人の姿が見えなくなるまで手を振り続けたのだった。



2000文字超えたのは久しぶりな気がする・・・。

もうちょっと執筆量増やせるように努力しなきゃな。

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