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月の滴  作者: あれっきーの
袖の触れあいは一期一会
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058 蜂蜜の香り

昨日は更新できずすいませんでした。

季節の変わり目の所為か、謎の体調不良で死んでいました。

お蔭さまで昨夜から14時間程熟睡をして現在食欲も旺盛でモリモリ食べています。

そんなに体は強くない方ですが、完結までは日刊でいける所まで行きますので応援よろしくお願いします。


私信:活動報告にコメント頂いた、寿まひろ様・ちびろ様。お蔭さまで復帰しましたので、これからも温かい目で見守ってくださいませ。





 首にかけていたドッグタグを外し、サヤーニャに渡す。


「これで身の潔癖が証明されるなら問題ないさ。」


 後ろの仲間にも渡すように言うが、難航している。


「バカヤロー。鍛冶の街(キゼル)なら顔パスで移動できるが、それ以外の街に行く可能性もあるのにホイホイと渡せるかよ。」


「そうだ。タダムのを渡してるからそれで良いだろ。」


 盗人猛々しいと言うか、反省の色が無いと言うか、まとめ役であろうタダムの苦労が覗える。


「あーもう、面倒だから雑魚(その他大勢)の分は良いわよ。じゃぁ、照会が終わったらギルドに預けておくから取りに来てね。」


 心底面倒になったのだろう。タダムのドッグタグを持つとこっちに戻ってきた。タダムも仲間の元に戻り、ここから離れて行った。仲間の一人が「誰が雑魚(その他大勢)だ!」といかにも雑魚っぽい文句を叫んでいた。ああいう大人にはならないように気をつけようと心に刻んだ。


「だ、大丈夫だったか?」


 この騒ぎで寝床から起きてきた老夫婦(アブさん夫妻)がサヤーニャに声をかける。


「平気よ。あんなの子供の悪戯と変わらないわ。」


 ぺロリとベロを出して笑顔を向ける。護衛対象《アブさん夫妻》を不安にさせない為のリップサービスなのか、本心なのかは分からない。しかし本心であれを子供の悪戯と言うのであれば、サヤーニャの片鱗が理解できる気がした。


「予想外のお客さんでしたが、もう大丈夫でしょう。気分転換にお茶でも飲んでから寝ましょうか。」


 焚き火にかけていたヤカンはシュウシュウと音を立て、ゴポポポと沸騰していた。ジーナさんが「とっておきよ」とくれた茶葉をヤカンに入れ、焚き火から離し、タオルにくるんで蒸らしている。良い香りが漂ってくると、ヤカンの中身をカップに注いで回った。

 みんなに注いで回ると、蜂蜜の瓶が回ってきた。紅茶に入れろって事だろう。蜂蜜からは桜の匂いがした。


 深夜のお茶会が終わると、老夫婦(アブさん夫妻)は寝床に戻った。サヤーニャは焚き火の側から離れずに俺を見ている。


「さっきのお茶、何かあったの?」


 先程のやり取りが嘘のように、優しい目をして俺を見ている。


「あんなやり取りがあった割に、お茶してる時の目が優しかったからね。何か琴線に触れるものがあったのかなって思って。」」


「蜂蜜。」


「うん?」


 それだけでは要領得ないだろうが、うまく説明できない。あの匂いを嗅いだ時に嬉しくなったんだ。


「蜂蜜の匂いかな。」


 あの匂いが幼い日々を思い出させてくれた。そして今そこに向かって1歩づつ進んでいる。日々の移動でぼやけていた目的を明確にしてくれた。それの所為だろう。いや、おかげと言うべきか。そのお蔭で、殺伐とした空気を味わった直後だか、ストレスすらなくリラックスできたのだ。


「うん、蜂蜜だ。」


 訳が分からないと言う顔のサヤーニャ。だが、理由がある事に安心したのか「お休み」と言い残し、寝床に帰ったのだった。

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