表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月の滴  作者: あれっきーの
袖の触れあいは一期一会
56/136

056 招かざる来訪者

今日は短め




 ―ドゥキューン・・・


 耳を塞いでも鼓膜を大音量で揺さぶる爆音が、付近の静寂を吹き飛ばす。空へ撃ち放ったサヤーニャお手製の刻印だ。


「さて、敵襲よ。篝火の準備はおわり。戦いの太鼓も鳴らした。後はバディ、あなたの遠吠えで敵を吃驚させちゃって。」


 活き活きと伝える戦乙女(サヤーニャ)の凛とした言葉を聞くと、相棒(バディ)は馬車の上に飛び上がり、これでもかと言う大声で吼えた。


 ―アォーーーーーーーォーーーーーーーーーン・・・


 いつもは甘えてくる可愛い毛玉なのだが、今の相棒(バディ)はとても凛々しい。こんな時に不謹慎だが、下から焚き火に照らされた相棒(バディ)のシルエットは、冒険譚に出てくる狼のそれと相違無かった。


 相棒(バディ)の咆哮に襲撃者の動きは固まった。原始の恐怖心を呼び起こす、絶対強者の咆哮は普段側にいる俺でも多少ビビる。





「無駄な抵抗は止めて出てこい。こっちはお前たちを包囲している。」


「この人数差に勝てると思うなよ。」


 咆哮の衝撃から回復したのか、遠くから好き勝手な声が聞こえる。


「人質を解放するなら、命までは奪わないぞ。」


 あれ、何か今・・・?


「そこの犯罪者! 聞こえているのか!?」


 犯罪者って・・・あれ?


「なぁ、サヤーニャ。」


「ん? なぁに?」


「あいつら、僕らに犯罪者って言ってないか?」


「言ってるみたいね。」


 襲撃をかけて、俺達を犯罪者呼ばわりする。人質を解放しろと言う。


「何か意味が分からないんだが。」


「せっかくの盛り上がりに水を差された気分ね。無粋な襲撃者だわ。」


 2人で話していると、襲撃者は散会した。いわゆる鶴翼の陣を作り、僕らを包囲するつもりだろう。


「何を持って、私達を襲撃した!? その理由如何では反撃も辞さないわよ。」


 戦乙女(サヤーニャ)は先程までの活き活きとした声と逆に、心底面倒くさそうな声で叫んだ。


 襲撃者のリーダーも仲間を呼んで何か話し合いをしている。


 もしやこれって・・・


「今からそっちへ行く。念のため武器は持つが話し合いが目的だ。襲われない限り攻撃の意思は無い。良いか!?」


 襲撃者のリーダーがこっちへ叫ぶ。


「分かった。私もそちらへ向かう。仲間に手を出したら、お前達全員の命は無い物と思え。」


 そう返すと、俺の方を向き


「そんなわけだから、ちょっと行ってくるわね。」


 そう告げると、片手に山刀を持ち、散歩する方へ襲撃者の方へと歩いて行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ