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月の滴  作者: あれっきーの
袖の触れあいは一期一会
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042 山村の温泉

今日は嫁さんの実家から投稿

そして今から出社です!!

 あれから4日ほど、ただ歩くだけの日々が続いた。途中で食べられる野草や薬草を教えてもらいながら採集し、夕食に食べ味を覚えた。 燻製もうまくできており、食事の度に俺達の口を楽しませてくれた。

 食に関しては何も心配いらない旅だろう。


 そして今、山村にたどり着いた。門番というか、近所のおっさんが交代制でやってますよ的な詰所に顔をだして、村に入る手続きを取る。毎回手続きを取る必要が無いのだが、今回は俺に色々教えるからと、サヤーニャは面倒臭がらずに手続きしてくれている。


「あんれ まぁ、あんた方みたいに丁寧な旅人さひさすぶりだぁ。」


 独特のイントネーションを話す門番に今晩の宿になりそうな場所を教えてもらう。意外な事にこんな山村なのに宿が5件もあった。


「さて、ダーシャ君。どこの宿に泊まりたい?」


「何故ここは宿が多いんだ? ぱっと見た感じはのどかな山奥の村なんだが。」


 規模的に考えると、1世帯4人暮らしで40世帯あればいい方だ。村の男衆が狩りや木を切り倒して薪を作って生計を立ててるんじゃないだろうか。


「見たら一目瞭然なんだけど、この村っていたるところで湯気が出てるでしょ。」


「ああ。」


 指摘され改めて村を見ていると、サヤーニャの言うとおりいたるところで湯気が出ている。


「そして、その湯気の側に宿屋があるのよ。」


「湯気の数と宿屋の数が合わないがどういう事だ。」


 ぱっと見まわしても湯気の数は20本程ありそうだ。


「そんな細かい所にばかり気がつくんだから。余分な湯気は、住んでる人たちが使ってるからよ。」


「湯気があって、宿が5件もあって、村人も使う。」


 こんな辺鄙な場所に宿が5件もあるということは、それだけ様々な人が訪れると言う事である。逆を言えば、この辺鄙な村はそれだけの吸引力がある。そのヒントが湯気というなら答えは一つしかない。


「温泉か。」


「ぴんぽーん。さすがダーシャ君。というわけで、温泉宿で1週間ぶりのベットで寝たいと思います。」


 ずっと地べたで野宿だったので、その誘惑には俺も抗えそうにない。


「じゃぁ、さっそくチェックインしましょう。」


 門番のお勧め ―門番の親戚らしい― の宿に行き、さっそくチェックインする。勿論門番の紹介があった事も忘れずに伝えると、受付嬢は門番の姪っ子だった。「この宿で一番良い部屋ですよ」と3階の角部屋に案内してくれた。個人的には1階の方が相棒(バディ)と一緒に居れるから好きなんだけどと交渉してみたが、1階は家族の部屋ということで却下されてしまった。その代わりに、相棒(バディ)も部屋まで上がる許可をもらえた。ただし、一度体を洗ってからという条件は付けられた。


 旅の途中で手に入れた熊の毛皮や燻製を売りたいのでどこに行ったらよいかと聞くと、村長の家か万屋だろうと言われた。通常の行商だと村長の家に挨拶してからと面倒な手順を踏まなければいけないが、俺たちは行商ではない。最悪何も売れなくてもかまわないのだ。まだ次の旅程で必要な食料になるのだから。


 そうは思いつつも、波風を立てて歩きたいわけでもないので、受付嬢に村長の家の場所を教えてもらった。この村では大きな建物は全て宿屋らしく、村長の家は村はずれの小さな小屋だった。村長の威厳を考えるなら、もうちょっと大きな家に住んでもよさそうな気がするが何かこだわりがあるのだろう。


 トントントンン


「村長さん いらっしゃいますかー?」


 しばらく待つとドアが開き、老紳士が俺たちを出迎えた。


「こんにちは、山奥の温泉村スパ・ディリエーヴニァにようこそ。」

やっと話が進み始めました。

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