018 初めての炭鉱
間違えて本日(7/27) 2話投稿しています。
前話を読まれてない方はご注意ください。
予約ミスは痛恨の一撃!!
炭鉱奴隷を選んだのは理由がある。
僕が抱えた借金を、真面目に勤めあげたら20年で返済ができるからだ。否、最長で20年で出れるように、父が奴隷雇用してくれた。
借金は金貨30枚に対し、月の給料が銀貨20枚。返済は16年と半分で終わるところだが、利息分を入れるときっかり20年になる。
通常の借金であればこんな長期にわたった場合は更に同じだけの返済期限が伸びるだろう。かなり破格の待遇である。
それに加えて、発掘した鉱石の中に希少金属が含まれていた場合は色をつけて手当てを弾んでもらえるようにも計らってもらえた。
運を味方につければ、借金返済期日を減らすことができるのだ。
こんな契約ができたのは、働く鉱山が父の領地内ということがある。つまり、父の管理する鉱山、いずれは僕が管理する領地だ。
奴隷として働くが、労働者の立場で物事を考える視点を身につけることもできるし、領民の考え方も理解できるようになる。
20年という今までの人生の倍の時間を、鉱山という過酷な環境で過ごさなくてはならない。しかし、その経験は何事にも勝ると理解していた。
母は、最後まで僕達の契約に反対した。しかし、父は僕の選択を尊守してくれた。
「ダーシャ。君の選択を僕は理解し、応援するよ。でも、つらくなったらいつでも言ってほしい。君はたった一人の僕たちの子どもなんだからね。」
旅立ちの日、父はそう言うと、僕のおでこにキスをくれた。母も僕にキスをし、バディのお腹を名残惜しそうに撫でていた。」
「しかし、父上。バディを連れて行っても本当にいいんですか?。」
バディを同行しなさいと父から言われたのは昨夜のことだった。てっきり僕は家に置いていくつもりだったので、母に世話を頼みこんでいたのだ。勿論母は即決で了承してくれたのは言うまでもない。
そのバディが僕と同行すると聞いて、母はこの世の地獄に落ちたかの形相をしていた。
「最愛の息子が2人も同時に旅立つのはさみしいけど、ダーシャも一人じゃ寂しいもんね。バディちゃん、くれぐれも変なもの食べたりしちゃだめよ。」
母の最愛の息子は、間違いなくバディな気がすると思いながら、2人ともいなくなることを申しわけなく感じた僕は、背中から抱きつき、行ってきますと告げた。
「ダーシャ、分かっていると思うが、この馬車に乗った時から、君の名前は剥奪される。借金をすべて返済した時、君は1人の市民として開放される。それまでどんなことがあっても貴族の矜持だけは忘れず、自分に恥じない生き方をしてほしい。」
「はい、父上。いえ、ご主人さま。これより長期に渡りよろしくお願いします。」
こうして、家族と決別し馬車に乗り込んだ僕は、バディを抱きしめ、声を押し殺して泣いた。
なぜ僕がこんな目に会わなきゃいけないのか。
-僕は悪くない-
勝手に仕事を受けた奴が悪いんじゃないのか。
-自分の利益だけを考えた奴が悪い-
仕事を放り出した奴が悪いんじゃないのか。
-自分の保身を考えた奴が悪い-
逃げ出して責任を放棄した奴が悪いんじゃないか。
-責任を放棄した奴が他人に迷惑をかける-
寂しさと悔しさが同時に胸を締め付ける。
-誰か助けて-
両親の前では笑顔でいれただろうか。
せめて母様の前で泣いたら、きっと苦しめる。
それだけはしたくなかった。
いつも笑顔で天真爛漫な母のそんな顔を見たら、僕はきっと潰れてしまう。
1日でも早く帰れる様にがんばる、僕は家族の笑顔に賭けて誓った。
馬車で揺られること1ヶ月。ようやく炭鉱の町にたどり着いた。
俺はすべての甘えを捨て去った。
やっと、炭鉱にたどり着きました。




