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月の滴  作者: あれっきーの
炭鉱奴隷への転落
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016 ワインの味は未来の味




それから僕は、飛行機(サマリオート)の資料を読みあさった。

 幸い書斎2階部にある縦積みされた資料の中から、飛行機(サマリオート)の設計図が大量に発掘された。


 『こんなに眠らせてもったいない』と思いつつも、大量の資料を用意してくれたご先祖様に感謝をした。


 さすがに前時代の設計図であり、魔法力学には一切触れていない。魔法が忌避されながらも発展した時代なだけはある。その代わり、航空力学とか空気抵抗とか揚力とか、今まで聞いたことが無い言葉がたくさん出てきた。


 普段なら、鍛冶屋の親方や木工屋の親方に相談するところだ。しかし、前時代の物を悪しきものとする輩もいるため、代々集めた資料は極秘書類扱いされる。


 自分で理解し、噛み砕いてから、親方達に伝えて作ってもらう。


 開発工程で自分にできるのはそれだということを理解しているので、どうしようもなく分からない所は父に見てもらうしかない。


 偏った時でもバランスをとれるように2mの垂直尾翼と水平尾翼を取り入れた。それぞれの先端に空間魔法の刻印を掘りこみ、基準となる水平座標を記憶させる。さらに、垂直尾翼は先端と付け根に垂直時の座標も刻みつけた。


 これで傾きが出た事を制御具が判断し、ずれた傾きを反重力魔術で元に戻すことができる。

 今まで失われていた技術に新たな魔法技術を使うことで、いくら荷物を偏りさせて載せても、搬送具自体の傾きが無くなるようにすることに成功した。


 設計上はと但し書きが付くが・・・。


 さっそく親方の所に新たな設計図を持っていき、新たな機構の説明をした。垂直・水平尾翼は熱による伸縮・曲がりが出ないように乾燥した木で作るこを依頼し。また、積荷が偏ることを考慮して、床板を軽めの合金で作るように依頼した。


 それぞれの親方は自分の腕の見せ所と、飲みかけのウォッカを徒弟に渡すと、さっそく材料の選定に移った。


 2週間後、両親方は自分達の仕事を完遂した。


 垂直・水平尾翼は乾いた樫の木を使い、魔素コーティングしているので雨にぬれて湿気を含まないし崩れることがない。


 床板も、特殊な合金を同じく魔素コーディングし、熱伸縮や歪みが発生しないように処理されている。


 それぞれに、新たな刻印をつけ、組み立てる。従来の馬車の同様に幌を付け繋留用の専用錨も標準搭載させた。


 後は、運用テストをするだけだ。


 都合よく、近日中に他の魔具の納品がある。訪問先はここから3日程で到着する港町(ベレズニキ)だ。納品後魚の干物や燻製を買ってきてもらい、馬車としての運用のほかに、添えつけ法具の「冷蔵庫(ハラディーリニク)」の様子を見てみよう。


 さっそく、お抱えの法具行商班を集めると、使い方の説明や注意事項を3時間かけて事細かに説明した。


 全員の顔が新しい法具に対する期待と、僕の説明にうんざりした頃に扉をノックする音が聞こえた。


「ダーシャ様、夕飯の支度が整いました。」


 この数年で一気によそよそしくなったマーシャだった。


「うん、わかったよ。あと、だいぶ前にベレズニキの商人ギルドからもらった葡萄酒(ワイン)があったよね。今日は祝杯だからそれも準備してよ。」


 めでたい日だから、今後の領地繁栄を祈願して、とっておきの葡萄酒(ワイン)を出してもいいよね?駄目だったら、バディの肉球で陥落しよう・


「かしこまりました。」


 扉の向こうで返事をすると、足音だけが遠ざかって行った。


 法具行商班にはここで解散を告げ、親方達と食堂に向かい、いただいた葡萄酒(ワイン)を3本も開けてしまった。といっても、まだ 10才なので飲んだのは1杯だけで、残りは親方達がどんどん呑んでいた。


 僕はまだ葡萄酒(ワイン)の味が分からないけど、この領地が有名になる日は近いと考えながら飲む葡萄酒(ワイン)の味は格別だった。

飛行機とイメージした荷馬車ができました。

可能であれば、イラスト投稿したいけど時間が・・・orz

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