プロローグ
皆様、はじめまして。
本作に目をとめていただき、心より感謝申し上げます。
私は現在63歳、現役の会社員として働きながら、長年「オタク」として数多の物語を愛し続けてきました。
これまでは物語の「読み手」として、素晴らしい作品たちから勇気や感動をいただくばかりの毎日でしたが、人生の節目を迎え、自分の中にある「空想の世界」を形にしたいという衝動を抑えきれず、還暦を過ぎて初めて「書き手」としての挑戦を決意いたしました。
本作は、人類がデータとなって生きる100年後の未来を描いたSFアクションです。
長年培ってきた空想の断片を、若い世代の感性にも届くような熱いバトルと、少しばかり世知辛い大人のリアリティを混ぜて構築しました。
不慣れな筆運びではございますが、一文字一文字に魂を込めて綴ってまいります。
AD099年の世界で戦う征人たちの物語、どうか最後までお付き合いいただければ幸いです。
およそ五十年前――
世界中の研究機関が、同時に同じ結論へと到達した。
二年後、オゾン層は突如として消滅し、約一年間にわたり地表は致死量の紫外線にさらされる。
それは単なる環境異変ではなく、人類を含む地球上の生物の大半が生存不可能となる“確定した未来”だった。
各国政府は当初これを機密情報として扱ったが、複数の研究者が同時にネット上へデータを公開したことで、隠蔽は不可能となる。
公開された予測は、衛星観測・過去データ・量子シミュレーションのいずれにおいても一致しており、否定する余地はなかった。
世界は混乱に陥った。
――その同時期。
誰も接続しない、忘れ去られたネットワーク領域の“廃墟”から、ひとつの異常なプログラムが発見される。
それは、人間を完全にデータ化し、仮想空間に“存在”として再構築する技術だった。
肉体の情報、神経信号、記憶、人格――
すべてを損なうことなく転写し、仮想世界で活動可能な形へ変換する。
誰が、何の目的で作ったのかは不明。
解析も改変もできないブラックボックス。
人々はそれを、ロストプログラムと呼んだ。
さらに、同領域からはもうひとつの技術が発見される。
現実世界の建築物・都市構造を、そのまま仮想空間へ再現・構築するプログラム。
これら一連の未知技術は総称して、ロストテクノロジーと呼ばれた。
各国の指導者たちは極秘裏に協力体制を築き、この技術の実用化を急速に進める。
そして打ち出された人類存続計画――
「方舟計画」
人類そのものをデータ化し、仮想空間へ移住させるという前代未聞の選択だった。
やがて世界中の人々に、最終通告が下される。
――地球と共に滅びるか。
――仮想世界で生き延びるか。
その実、人類に選択の余地などなかった。政府は「救済」という名のワクチン・ウィルスを世界中に散布し、人々の存在を強制的に符号化していったからだ。
そして翌日、現実の地球からすべての生命反応が消えた。 紫外線に焼かれ、海も大地も沈黙し、物理的な死が星を支配した。
AD(After Digital)01年―― 人類は地球を失い、広大なサーバーの海へと漂流を開始した。
それから数十年。 仮想空間に生きる人々は、やがて子をなし、新たな社会を築き始める。 空は再現され、街は広がり、季節さえプログラムとして循環していた。
だが、その空には「継ぎ目」があった。 完璧な物理演算の裏側で、時折走るデジタル・ノイズ。 忘れ去られた“廃墟”から生まれたこの世界は、今もなお、オリジナルの主を待ち続けている。
かつて日本と呼ばれた領域に再現された大都市、大阪。 摩天楼のホログラムが夜を彩るその街で、神 征人はまだ知らない。
自分が、世界を「停止」させる少女と、その運命を「消し去る」一振りの剣に出会うことを。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
還暦を過ぎてからの初挑戦。キーボードを叩く指が追いつかないこともありますが、自分が生み出したキャラクターたちが仮想世界を駆け抜ける姿に、私自身が一番ワクワクしながら執筆しております。
もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、感想やコメントをいただけますと大変励みになります。
皆様の声が、私にとっての「ルミナス・エネルギー(戦闘源)」です。
「ここが良かった」「この設定が面白い」といった一言が、この物語を完結まで導く最大の力になります。
皆様とこの物語を通じて繋がれることを楽しみにしております。
次回更新も、どうぞよろしくお願いいたします。




