第八章(2) 温かい二人の気持ち
「リンゼイ、朝から何事だ・・・・メイさん!」
「お父さん!今、ドアのところで座ってたの!ベッドに連れて行ってくれる?」
ああ、私は迷惑をかけてしまっている。
ただ、死のうと思って、屋敷を出ただけなのに。
もしかしたら、あの場で、死んでおいたら良かったのかもしれない。
「メイさん、ここ一ヶ月近く来なかったから、心配してたんだよ」
そんな事を思っていると、店長がそう話しかけてきた。
「も、申し訳ございません」
「謝ることじゃないよ。こうやって、会えているからね」
この人達は、私が戻ってきてくれたことを、喜んでくれている。
「わ、私・・・・」
「詳しいことは、メイさんが話したくなった時に話してくれたらいいよ。私達は戻ってきてくれただけで、嬉しいからね」
私は、もう、ここには戻ってこれないと思っていた。店長さんも、リンゼイさんも、突然お店に来なくなった私を忘れているのではないか、と。私は奴隷として働きに来ていたから、来なくなったら死んでしまったのだと思われているのだと。一ヶ月以上も経ってしまったから、忘れられていると。
「メイさん!これ、布団・・・・って、お父さん!メイさんに何を言ったの!?メイさん泣いてるじゃない!」
なのに二人は覚えてくれていた。
会えているだけで嬉しいと言ってくれた。
「申し訳、ご、ございません」
「メイさん、父がごめんなさい!何を・・・・」
「ここに戻ってこれたのが、嬉しくて・・・・」
「メイさん、それを言うなら、私もよ。嬉しさでそんなに泣かれたら、私も、泣けて、くるじゃない・・・・」
私達は目を合わせて、笑顔で泣いてしまった。




