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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
大学1年の冬

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会津蕎麦の店で

「はいはーい、お呼ばれしました作詞作曲マシーン白浜沙希でーす!」


 日曜日、雄三通り中央交差点で沙希ちゃんと落ち合った。沙希ちゃんの背後には加山雄三デビュー60周年を記念したモニュメントがある。上部は周辺地図、下部は海を背景にした加山雄三の肖像画が油絵調で描かれている。


「そういう呼び方をしたのはスマンかったと思っている」


「いいや、寧ろそれくらい音楽が溢れてくるという意味で光栄に思っているよ。それにしてもきょうはぽかぽか陽気で風が強い! 春一番かもしれないね。山ではきっと杉の木がヘドバンしまくってるよ。子孫を遺すぞー!! うおおおおおお!!」


 きょうの茅ヶ崎は暑いくらいのぽかぽか陽気。砂か花粉か、空気がざらついている。


「猪苗代、来るかい? 緑いっぱいの磐梯山ばんだいさんからの乾いた風が一帯に吹いてるよ」


「緑いっぱいの場所は好きだけど、いまはやめておこう。ていうか雪は降ってないの?」


「降っていたり、いなかったり」


 春先、雪国である猪苗代の風も意外と乾燥している。花粉を避ける目的での来訪は絶対に控えるべき。森、森、森、森がもりもり雪が融けて花粉どっさり。残雪や土がいくらか花粉を吸着しても、木の数が都市部の比じゃない。


 雄三通りの鉄砲道より南側は、駅に近いとは思えないほど急に静かになる。なのに街の息吹を感じる不思議な道を海方面へ歩き出し、近くの会津蕎麦の店へ向かう。福島のことは福島と関係のあるところですると捗る気がした。


 2、3分歩き、小ぢんまりとした佇まいのお店に到着。カチャンとガラス張りの戸を引き、ドア風鈴がチリンチリン鳴る。店内に入る。白を基調としたカフェのような内装。お一人様から数人組まで老若男女でほぼ満席。


 しばらく待って、注文したメニューが続々と運ばれてきた。


 私は鴨つけそばに茅ヶ崎産柚子胡椒トッピング、沙希ちゃんはオリーブの実が散りばめられたおしゃれパスタのように小さなビネガーそばとしらす丼のセット。加えてオリーブオイル入りのオムレツと麻婆豆腐を二人でシェア。


 無言でそばを啜る二人。少し粉っぽいのにつるっと喉越しの良い会津蕎麦を、遠く離れた湘南の地で食べられる幸せ。柚子胡椒がつゆを締めて華やか。


 オムレツは福島県では有名な伊達玉子を使用。濃厚で口当たりなめらか。ナイフとフォークで切り込むと、中からとろ〜り溢れ出て、オリーブオイルと溶け合う。


 麻婆豆腐は甘辛く、やさしい味。中華料理店と辛くて爽快な麻婆豆腐に対して蕎麦屋の麻婆豆腐はこうなのかと勝手に納得した。

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