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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
大学1年の冬

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世界レベルのオタクの洗礼!

「え、入れないじゃん。っていうか会場まで辿り着けないじゃん」


「入場時間に余裕を持って来たんだけどね」


 電車を降り、エスカレーターは割り込まないでと私も日ごろから思っていることを言ってくれた駅員さんの叫びを聞き、壁面にサブカル関連の広告が掲示されたエスカレーターを上がってこれまたサブカル関連の大きな垂れ幕が吊り下がった改札口を出場、青空の下に放たれ遥か先に逆三角形の建物が視界に入るもそこへ伸びる長蛇の列! しかも1列や2列ではない。横にも広く伸びている超長方形の列が、何本も形成されている!


 即売会は入場時間指定制。現在10時半。予め購入しておいたチケットの入場指定時刻は11時。これではとても11時には入れそうにない!


「滞る、オタクの群れや、野晒しの」


 雪国育ちの私でも、乾いた風が頬を刺して少し寒い。それでもきょうはいくらか気温が高い。


「オタクだけじゃないよ。付き添いの非オタとか、転売ヤーとか、オタク兼転売ヤーとか、世界中から色んな人が集まってるよ」


「転売ヤー滅ぼせばいくらか混雑緩和するんじゃね?」


「巡ちゃん、チャカってどうやってつくるんだっけ。サイレンサー付きで」


「つぐみちゃんの口から……チャカ……!」


「私もね、滅べばいいって、思っているの」


 い抜き言葉を使わない、外国人が日本市場向けに描いた漫画のような丁寧な口調。


 結局、私たちが入場したのは12時過ぎだった。


 建物の中に入っても人人人、人成らざる転売ヤー。


 メインの即売会場は真冬なのに汗の擦り付け合い! 天井を仰げば人間から出た水蒸気の雲! 世界レベルのオタクの洗礼! 磐越西線の満員電車で押しくら饅頭は苦行でしかないのに、これはアドレナリンが戦意を沸騰させる。戦争やワーカーホリックは恐ろしいと、芋洗い状態で想う狂気。


 一旦つぐみちゃんと別れ外に出て並ぶ、長蛇の列! 最後尾の札を受け取ったも束の間、すぐ次の人に渡す。次の人もすぐ更に次の人へ、その繰り返し、やがて前も後ろも数え切れない人人人! しかもほとんど落ち着きのない男!


 数度折り返すぎゅうぎゅう密密の清潔感皆無な列に並び1時間後、ようやく手にした戦利品!


 事後通販で良くね?


 ものによっては確かにそう。急がず本だけ買うならそれでもいい。しかし会場限定グッズなどがあってだな。入場料を払ってでも欲しいものがある。最近は入場券を買って豊橋駅のホームで看板の写真を撮るのが流行っているだろう? オタクとはそういう生きものだ。


 無事に戦利品をゲットしたら、今度は会場内を当てもなく見て回る。外周は相変わらず芋洗い状態なので島中を巡る廻谷巡。


「ふぅ、ホックホク」


「燃え尽き症候群……」


 ほかの棟にある企業ブースも回り、つぐみはまだ余裕、私はぐったり。まだ電車に乗って帰らなければならない。


 もちろん帰りのりんかい線も満員電車。


 大崎駅では乗り換えまで時間があったので女子2人、駅そばを1杯ずつ。天玉そばって美味しいんだね。


 食べ終えて乗った特別快速はなぜか男子学生や外国人で混雑。満員電車。唯一の癒し、学〇スの広告が見えない。


『この電車、総武快速線での異音感知の影響により、本日に限りまして西大井、新川崎、保土ケ谷、東戸塚にも停車いたします』


 車掌の放送。


「マジか、辻堂しか飛ばさないじゃん、快速より遅いじゃん……」


「今年は、最後まで例年よりつらい……」


 満身創痍、茅ケ崎駅に到着。


 その後、いつもの回転寿司店でテイクアウトのお寿司を買って帰り、つぐみちゃんを招いて開封の儀を執り行った。


 私史上、最高に刺激的な年末だった。

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