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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
なつやすみ

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地ビール館と道の駅

「馬刺うまっ」


 赤みの濃い馬肉。さくらともいう。コシのある肉をニンニク醤油にちょびっと浸していただく。


 コテージ風で開放的な地ビール館。オーソドックスな対面テーブル席と、横並びで大窓に沿ったカウンターテーブル席があり、私たちは後者を選んだ。広大な緑の田んぼとその向こうに会津磐梯山あいづばんだいさん。大きなスキー場があって山の広範囲が禿げているのも特徴。


 ここで最初にいただいたのは名産、会津の馬刺。ドリンクはふたりともコーラにしておいた。


「会津に来たら馬刺食べて行きなんしょ」


「この方言覚えてる。前回来たとき、さっきのお店のおばあちゃんが言ってた」


「すっかり都会のレディーになっちゃったけど、たまには方言も思い出さなきゃねっ」


 馬刺うまい、バーニャカウダの野菜はちょいと苦味が強いけど新鮮な証拠! お、生ハムもうまいですぞ!


「なんで黙るの!?」


「あぁ、いやぁ、会津の食べものはおいしいな〜って、夢中になっちゃって。眺めも良くて、なんかホッとする」


「この時間帯はお客さん少ないから、静かでいいんだ〜。私もね、一人になりたいときたまに来るの。ここは観光客向けだから知り合いに会いにくいし」


 行儀良く、同一方向へなびく緑の稲、会津磐梯山の頂上付近に掛かった雲もゆったりと流れてゆく。


 いいなぁ、静かな時間。


 またしてものんびりまったりした時間を過ごし、バスの時間が近付いてきた。


 ほかの乗客が一人しかいないバスに乗り、なぜか往路で乗ったバス停の一つ手前で下車した。


 道路を渡って歩道を辿り数分。


「お、これはもしや」


「そう、猪苗代の道の駅」


「おー、みーちのえきー!」


 ここでも笑顔でバンサイ!


 広大な田園地帯の中にどっしり構える道の駅。横に長い平屋で、2階建ての茅ヶ崎の道の駅より広く見える。


 大勢の客で賑わう館内には土産品の菓子類や名産品、地場産の野菜や乳製品などがぎっしり! 道の駅オブ道の駅! フードコートとレストランもある!


 巡ちゃん、色々買い込んでるな。ままどおる、天ぷらまんじゅう、べこの乳などなど。


 会計して、私と巡ちゃんは一旦外に出てべこの乳を飲んだ。適度に濃厚でさらっとした口当たりの牛乳。


 再び館内へ戻り、レストランの窓際席に着席。巡ちゃんと向かい合わせで盛りそばを食べた。つるつるで、のどごしなめらか。


 福島に来てからうまいの連続。桃から食べっぱなしで、食が進む。このままじゃ太る。茅ヶ崎に帰ったら運動しよう。


「福島はうまいものだらけだけど、地元の人たちはそれが当たり前で魅力に気付いていなかったりするのかもしれないね」


 茅ヶ崎、サザン通りのお茶屋さんも言ってたけど、地元住民は地元の魅力を見落としがち。


「そうだね、特に野菜は安くて新鮮が当たり前だから、茅ヶ崎に越してから物価の高さにびっくらこいた」


「茅ヶ崎はラーメン以外はだいたいお高めだからね」


 いつの間にかそうなっていた。ちっちゃいころはもうちょい安かった気がする。


 道の駅を出て、ミルクソフトをぺろぺろしながら来た道を戻る。


 そしてなぜか、廻谷家の前を通り過ぎた。


「おや、お家に帰るんじゃないの?」


「きょうは別のところに宿を予約してるんだ」

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