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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
なつやすみ

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252/277

ヨコハマ読モ撮影

 晴れ渡る空、午前11時の横浜みなとみらい。


 沙希ちゃんとまどかちゃんが読モデビューするということで、私と巡ちゃんはその見学に来ている。


 撮影は小ぢんまりとしていて、ちゃぷちゃぷ波打つ港とランドマークタワー、パシフィコ横浜や大観覧車を背景に黒ずくめのカメラマンのお兄さんが一眼レフで撮影している。ほかにメイク、衣装担当がいて、スタッフは計3名。ひとしきり撮影すると、沙希ちゃん、まどかちゃんがカメラマンといっしょに撮影データを確認する流れ。


 私と巡ちゃんは海風にツインテールを揺らしながら、それを遠目に眺めている。


「いやあすごいわあの二人。黙ってればほんと美麗」


「ふふふ」


 返答に困る巡ちゃんのコメント。


 在庫を抱えた夏物や、炎天下で秋を先取りした長袖コーデも撮影。けれど二人はイヤな表情一つせず、単独でポーズを取ったり、ギュッと抱きつく沙希ちゃんの頭をまどかちゃんが柔和な笑みで撫でる尊い画を収めたりしている。


 まどかちゃん、プライベートなら絶対そんなことしない。これ大学で炎上するんじゃないかな。沙希ちゃんの命、あと何日持つかな。


 撮影が終わったのか、五人がこちらへ向かってきた。


「良かったら二人も撮ってみない?」


 カメラマンのお兄さんが私たちの前に来て言った。沙希ちゃん、まどかちゃんに背を向けて近寄ってきた時点からイヤな予感がしていた。


「え……」


 と声を発したのは巡ちゃん。私は瞳孔が締まって口角を上げ、引き攣り笑顔になった。


「おっ、いいじゃん! やってみなよ! 楽しかったよ!」


 沙希ちゃんがノリノリで慫慂しょうようしてくる。その後ろでまどかちゃんが「私は疲れた」というオーラを出している。


 あれよあれよとワンボックスカーで場所移動。着いたのは赤レンガ倉庫の前。倉庫という名を冠しているけれど、現在は改修され商業施設として人気のスポットになっている。


 私は神奈川県民役、巡ちゃんは地方から遊びに来た女の子役として撮影。服装は私は青を基調としたロングスカートコーデ、巡ちゃんは白と黒の地雷系コーデ。ピンクを取り入れていないところがポイントらしい。


「それじゃ、撮ってくねー」


 カメラマンの軽いノリで撮影開始。場所を勝手に占拠しているので迷惑を最小限に抑えるため速やかに撮影しなければならないという。


 カメラから見て赤レンガ倉庫を右手に、私は左手を巡ちゃんと繋いで歩く。カメラを意識しないようにして、視線は巡ちゃんに向ける。カメラマンは指図せず、連写した画から良いものを選ぶ。


 その後も港の見える丘公園や、山手やまてにある白いレトロなどを合わせ、四人それぞれ撮影した。


 気付いたころにはもう夕方になっていた。楽しかったー! きらきらー! となっていたのは沙希ちゃんと、意外にも巡ちゃん。私とまどかちゃんは脳内がぐわんぐわんして息が荒くなっていた。

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