浜降りの日にモデルデビュー!
ワッショイワッショイワッショイワッショイ!
茅ヶ崎市内が浜降祭で盛り上がる『海の日』。祝日ひゃっほい。
浜降祭は周辺の神社の神輿を担ぎ、朝焼けを浴びながら海の中に入る茅ヶ崎の伝統行事。
当日の0時になるとパンパンッ! と軽く花火が上がり、眠っていると起こされたりする。
7月に入ると市内の道路には横断幕や紙垂が吊るされる。
そんな浜降りの日、身辺に祭りの関係者がいない私たちは普段と変わらぬ休日を過ごしていた。
普段と変わらぬ休日とは、具体的にどういうことか。
いつも同じことはしていない。なんにもしなかったり、散歩したり、私は一人で音楽活動をしたり、何かとお金が必要だからアルバイトをしてみたり。
つぐピヨは本屋さんで順調にアルバイト。私は巡ちゃんのV-tuber プロデュース、まどかちゃんは小売店で商品の陳列をしていたらクレーマーおじさんに絡まれて「上等だテメェこの野郎ケツの穴掘ってやるから裏来いや」と捲し立てたところ、とても喜ばれたのにクビになったらしい。
奨学金という債務を抱えている私たちはどうにかしてお金を稼がねばならないけれど、つぐピヨと動画以外には収入源がほぼないのが痛いところ。つぐピヨの収入はもちろん私たちの活動ではなく、彼女自身の用に充てている。
そこで私は、私とまどかちゃんの収入について考えてみた。
接客は不向き。私はある程度ならやり過ごせても限度を超えたり不機嫌だったりすると「は? 死ねよクソが」などの言葉が反射的に出るし、まどかちゃんは手足が出る。
そこで思い至ったのは、読者モデル。
私が大学近くの谷戸で言った『いいこと』はこれである。
県内、都内のスタジオや屋外で撮影が行われ、私とまどかちゃんはそれに応募し、つぐピヨと巡ちゃんは見学者として付いてきた。




