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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
茅ヶ崎の道の駅

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245/277

道の駅ができたよ

「おや、こんなところに道の駅」


「白々しい」


「でも、いつの間に建ったんだろう」


「そうだよつぐピヨ、道の駅も、向かいのスポーツ公園も、いつの間にかできてたんだよ」


「ま、この辺りといえば一面畑のイメージだよね」


「そうよまどかちゃん。いまでもほら、畑たっぷりお野菜いっぱい」


 7月上旬のクソ蒸し暑い午後、私たちがやって来たのは最近新しくできた道の駅。私たちが住む海岸地区を通る鉄砲道てっぽうみち平塚ひらつか寄り末端、国道134号線、通称『エボシライン』と突き当たるデルタ地帯に建ち、その手前には広大な畑が広がっている。


「ところで、今回ここに来るにあたってちょっと調べてきたんだけど、道の駅を名乗るにはいくつか要件があるらしくて、二人とも何か知ってるかい?」


「駐車場が24時間無料開放」


「なぜ知ってる!? なんにも知らないと思ったのに!」


 さすがまどかちゃん。なかなか博学。


「当てずっぽう」


「当てずっぽうかい! えーと、そうなんです、道の駅は長距離ドライブの休憩所としての役割があって、駐車場は24時間無料で利用できるんです。ほかには何か思い浮かびますでしょーか」


「地域の情報を発信してる、かなぁ」


「当たりだよつぐピヨ! なぜ当たった?」


「今まで行ったどこの道の駅にも地域の情報コーナーがあったから」


「ふむ、そう言われてみれば確かに。ほかにも清潔なトイレや子育て応援施設、施設内、施設間のバリアフリー化などがあるぞい!」


 そんな道の駅の駐車場は満車、周辺道路は渋滞。容易に想像できた私たちはカンカン照りで蒸し焼きにされながらただひたすら鉄砲道を歩いてきた、と思いきや、15分歩いた地点の中海岸なかかいがんバス停に差し掛かったときにちょうどバスが来たから浜見平はまみだいら団地まで乗り、そこから更に7分ほど歩いて到着。ほかにも、本数は毎時1本だけど道の駅の目の前まで乗り入れるバスもあるぞい。


 とにもかくにも自家用車とか自転車で来ると停める場所がなくて余計に時間がかかる可能性が高いから、徒歩かバス、タクシーがおすすめ。周辺道路は渋滞中。


 指定通路を辿って満車の駐車場を突っ切り、建物の前に到着。テラス席を備えたガラス張りの建物の内外は多くの人で賑わっている。道の駅といえば音の割れたスピーカーからポップスが流れているイメージだけれど、ここでは高音質スピーカーからサザンオールスターズの楽曲が流れている。


 それでは私たちもさっそく建物の中へ。


 ダクト剥き出しの無骨な建物の中に入ると、まず目に飛び込んでくるのは右に雄三通り中央交差点にもあるアイスクリーム屋さん、左にミニトマトのコーナー。とりあえずミニトマトを観賞。こちらも一部は以前お伝えした『海辺の朝市』でも買えるぞい。


 ほかにもジャガイモ、えだまめなどなど地場産野菜が豊富に取り揃えられている。一部空になっている棚もあるから、野菜が目当てなら午前中の来駅がおすすめ。


 ほかにも梅干しやその関連商品、魚類加工品、味噌、生ラーメン、海鮮丼、弁当、パン、菓子類、ドリンク類、乳製品などなど、茅ヶ崎産を主体とした神奈川県全体の特産品や土産物がわんさか。


「それでだ」


 私の振りに「ん?」と頭上に首を疑問符を浮かべるまどかちゃん。


「私たちは茅ヶ崎や神奈川県について、だいたい知っているのだよ」


「故に新鮮味がない、と?」


「そ、そういうことは言っちゃダメだよっ」


 焦るつぐピヨ。


「そう、言っちゃいけないのはわかってるけど、ぶっちゃけここにあるものはだいたい知ってる。なぜなら生まれも育ちも湘南茅ヶ崎、産湯うぶゆはさがみの水、姓は白浜、名は沙希、人呼んでフルーツの香りがする夢のような女子」


「最後の茅ヶ崎も神奈川も関係ないだろ」


「まあまあ落ち着きたまえ。何はともあれ知ってるんだよ、海あり街あり田畑あり山あり、彩り豊かな神奈川県の、高品質な味たちを。私たちはその恵みを当たり前のように貪り食ってきた」


「そうだね、当たり前じゃないよね、美味しいものがたくさんある暮らし」


「そうさつぐピヨ、当たり前じゃないからな。そう、言うなればこの道の駅、神奈川県の日常をギュッと凝縮した空間なのだよ。ここに来れば神奈川がなんとなくわかる。小田原おだわら観光で買い忘れた蒲鉾かまぼことか梅も、帰りにここに寄れば買えるかもしれない。134《イチサンヨン》沿いだし圏央道もすぐそば。買い忘れ救済地点にもなる。そう考えると茅ヶ崎だけじゃなくて、県内全体のメリットを感じないかい?」

 

「ディスってつぐみに指摘されてマズいと思って上手くまとめた感あるな」


「まあまあまあまあ!! 後良し言葉ってことで!! それでも、やっぱり私ら地元民だけじゃ物足りないと思って、きょうはゲストをお呼びしました!」

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