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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
遠州・豊橋の旅

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234/277

サザンの産地、掛川

「はい、続いて掛川駅の外に出てみました。風光明媚な感じで、えーと、えーと……」


 アカン、言葉に詰まった。


 小さなロータリー、ぽつぽつと雑居ビル、新幹線車内からは駅前に民家が見えた、茅ケ崎駅前よりもだいぶ控えめな感じの掛川駅前で撮影。人通りまばらで撮影しやすい。同時季の茅ヶ崎より気温が高く、やや暑い。


「遠州といえば掛川はお茶、少し西の磐田いわたには捕獲禁止の絶滅危惧種、ベッコウトンボが棲息、浜松はままつは餃子、そして浜名湖の天然うなぎはあまりにも有名! ということで、これから天然うなぎを食べに行くぞい!」


「マジで? カネあるのかよ。私はないけど」


「だいじょぶだいじょぶまどかちゃん。内部留保はこういうときに使うもの」


「そうかなぁ」


「そうだよつぐピヨ! ちゃんと動画配信と私のアルバイトとまみちゃんに貸し付けたお金の利子で得た収入から出すから大丈夫だぞい!」


 掛川駅前での撮影を終え、ローカル単線、天竜浜名湖てんりゅうはまなこ鉄道に乗車。1両編成のディーゼル車で古びた感じはなく、平成以降に製造されたと思われる。車体には紫色を基調とした萌えキャラクターのイラストがラッピングされている。


 ボックス席が多めに配置された車内。私たちは進行方向左側のボックスに座った。今度はつぐピヨが進行方向を向く窓側、私がその正面、まどかちゃんはつぐピヨの隣。


 掛川駅前の住宅地を抜けるとすぐ次の駅に停車、ここから既に緑の多い車窓が広がっている。更に進むと田園地帯、年季の入った駅舎、天竜浜名湖鉄道の車庫や転車台、そして目の前に雄大な浜名湖! 湖面がぴちゃぴちゃ波打っていて海に準ずるものを感じる。ウナギも魚もたくさんいそう。


 ふむふむ、舘山寺かんざんじ温泉というのが近くにあるのかい。こんど行ってみたい。


 列車はブーン、カタンカタンと浜名湖沿いの左カーブをゆったり進む。駅で入れ違う列車は殆ど何かしらのラッピングが施されていた。


 目的地までの所要時間は先ほどの新幹線の乗車時間より長く、列車が進むに連れて乗客は減る一方。ついには私たちのみになった。


「そういえばまどかちゃん、ヘビちゃんは置いてきちゃって大丈夫なの?」


 ペットを置いての旅行、誘ったのは私だけど、いまになって心配になってきた。


「日帰りならね。ゲージに玉子を適量置いてきた」


 まどかちゃんが飼っているアオダイショウ、基本はゲージで大人しくしているらしいけど、たまに抜け出してお腹を膨らませて帰ってくるらしい。ちゃんと帰ってくるから偉いね。


「玉子かあ、最近高いよね、物価の優等生」


「そうなんだよ、店でいちばん安い玉子を与えてるけど、チリツモで段々カネがなくなってきた」


「そっかあ、まあ一先ず今回はほかならぬ私たちがステージやら配信やらで稼いだお金で旅行だから、なんとかこう、楽しんでよ」


「うん、そうする」


「なんだか私たち、会社やってるみたいだね」


 と、つぐピヨ。


「確かに。活動費は自分たちで調達してるし、会社みたいだね。年商2兆円くらいになりにけるかも」


「大企業並みだね、頑張れ沙希」


「まどか社員からは収益に対する覇気が感じられないなあ」

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