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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
遠州・豊橋の旅

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会いに行こう

 沙希ちゃんとまどかちゃんに挟まれながら新幹線で読書時間。中央の座席は圧迫感を緩和するため窓側、通路側の座席より少し広く造られているそう。だからといって、窓や通路といった座席外の空間がある他の席より快適かといえば、私の体型では違う。


 ところで熱海駅で乗車したときには既に響き渡っていたタイピング音。その主はとある大企業の機密情報を画面に表示していた。


 日ごろ電車に乗るときもアニメの続編や出店計画など、機密情報を平然と表示している人を多く見かけ、この国は大丈夫なのだろうかと将来を憂いたり、裏アカでリークしちゃおうかなと思ったりもする。


 読書に疲れて薄らぼんやりしていると『会いに行こう』の車内チャイムに続いて女声アナウンスが2ヶ国語で流れた。列車は徐々に減速し、ホームに入ると私たちは席を立ってデッキで停車を待つ。停車直前に右側の通過線を後続列車が高速で通過。沙希ちゃんは「わお、止まる前に追いつくなんて凄い過密ダイヤだね」と驚いていた。


 校舎すると沙希ちゃんはいつものように(?)駅名標の下に立ったけれど「か・け・が・わっ」と、いつもより歯切れの良くない発声をした。熱海では‘あ’からなめらかに両手を広げて「あーたみー!」と言っていたけれど、ここ掛川かけがわでは段階的に広げた。


「ということで、やって来ました掛川ー! ここはサザン通りのお茶屋さん、小林園で販売している茶葉の産地! 茅ケ崎駅を出てから約2時間、あの名物、茶山サザンはこんなにも遠いところで栽培されているんですね!


 さてここ掛川は遠州えんしゅうと呼ばれる地域なわけですが、サザンオールスターズの『盆ギリ恋歌』の『盆義理』はここ遠州の、親しかった故人の初盆にお宅を訪問して会いに行く風習なのだとか。いつか訪れる大切な人とのお別れ。それは避けられないけれど、会いたくなったら新幹線に乗って『会いに行こう』を聴きながら、顔見せに行くなんていかがでしょうか」


 いつになくきれいにシメて収録を終えた沙希ちゃん。


「それで、ここから先はどうするの?」


 まどかちゃんが訊いた。


「まあまあ急ぎなさるな。次の列車に乗り換えるぞい!」

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