初夏の湘南と今治タオル
6月のジメジメした朝7時。洗面台で顔を洗って、2階の自室に戻る。カーテンを開けると、梅雨だが晴れていた。鉄砲道や高砂緑地あたりでは青やピンクの紫陽花が華やぐ季節。
酒好き父は肝硬変で入院中、アバズレ母は蒸発したけど、生きているならどこかで股を開いているだろうし、死んだなら地獄でケツ穴に槍でもブッ刺されているだろう。
つまるところ私は昨夜から一人暮らし。いや、普段からまあまあ一人暮らし。酒呑み畜生も帰ってこない日がよくある。
だけど、独りじゃない。私には新たな家族がいる。
「アオダイショウ、きょうも可愛いなあ」
床に置いたゲージの中でとぐろを巻くアオダイショウに目尻が下がる。4月に芹沢の柳谷から付いてきたアオダイショウは健在。日々の暮らしに潤いを与えてくれる大切な相棒。アオダイショウには生玉子を割らずにそのまま与え、私はその横の座卓でパックごはんに生玉子と醤油をかけて食べる。小林園で買ったインスタントしじみ汁を添えて。
朝食後は自室でアオダイショウを構いながら30分ほどだらだらして呼吸を整え、半ズボンジャージとティーシャツを着用、ラチエン通りと浜辺のサイクリングロードを経由して藤沢の鵠沼海岸まで走る。これより先は観光客でごった返す江ノ島の観光エリア。高湿度な初夏の浜辺は砂まじりの潮風がべたついて、気持ち良いとは言い難い。
往復40分ほどで帰宅すると、シャワーを浴びて全身を清め、今治タオルでからだを拭く。肌触りがふんわりしていて、水をよく吸う。
昼は近所のコンビニでカップ麺と塩むすび、生玉子を買ってきて、自室でアオダイショウとともにランチタイム。中華そばはカップでもつるつるした麺に鶏ガラスープが絡んで美味い。
愛しの相棒と何もしないで過ごす、幸せな時間を噛み締める。ああ、なんて素晴らしい日だろう。
こんなこと、人前ではなかなか言う気にならないけど。




