表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
大学1年の日常2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

216/277

寂寥の柳通り

 藤沢駅へ向かって柳通りを歩くまどかちゃんと自由電子くん、つぐピヨと武道、そして私。


 夜が更けると、藤沢の街は少し静かになるらしい。といってもまだ21時。茅ヶ崎の開けっ放しの飲み屋では加速する下ネタが路上にドバドバ漏れ出すころ。藤沢も飲食店が閉まるにはまだまだ早く、閉め切った扉の内側はガヤガヤしているはず。


「こんど、まどかさんが作詞した曲も演奏してみたいです」


 車道側を歩く自由電子くんがまどかちゃんに言った。


「そうだなぁ、沙希に肩の力抜けってアドバイスした割に、自分は重い詩しか浮かばないんだよな」


「いいじゃないですか、重くても」


「あぁ、うん、まぁ、考えてみるよ」


 歯切れの悪いまどかちゃん。作詞をしているにはしているけれど、いい感じのが書けないといったところ。


「武道くん、ドラムの呑み込み早いね」


「沙希に誘われてなんとなくやってみたが、天職かもしれないな」


 高校時代、武道との進路に関する雑談で「なぁ、俺って、将来何になればいいんだろうな」と漏らされたことがあった。ガテン系の仕事が向いていそうなのでそう言ったら「力仕事は得意だが、俺とは気質の合わない人らの職ってイメージでな」と。


「天職! じゃあプロドラマー目指すんだね」


「ん? プロ目指してやってるんじゃないのか? 俺たち」


「そう、だっけ」


「あれ?」


「そう言われてみると、そうだったかも?」


「そうだ、そうに違いない」


「そうだよね。漫画家と両立できるかな」


「そのときは沙希と相談しよう」


 こんな感じで自由電子くんとまどかちゃん、つぐピヨと武道はそれぞれに会話している。私は空気と化して聞いているだけ。


 好きな人と想いを寄せ合えている。それだけでも贅沢だと理解はしているけれど、私もこうやって、ふたりで街を歩きたい。そんな侘しさが込み上げてくる。


 少し湿気た向かい風がふわり吹きぬけ、頬をぬるり撫でた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=50222365&si

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ