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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
大学1年の日常2

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らーめんのある日常

 年季の入ったウッディーな店内に入ると、武道と自由電子くんが入って左奥のカウンターで二人ならんで食事していた。サッポロ軒と同様にエイティーフォーポイントセブンのラジオが流れている。手前の武道は山椒辛味噌もやしらーめんのだい、チャーシュー大量トッピング脂多め、奥の端にいる自由電子くんは武道が幅を取っているからか誰もいない左側に身を傾け、味玉もやしらーめん塩のちゅう、メンマ、バター、ネギトッピングを頼んだそうで、二人とももう食べ終わるところ。


 私たち四人は武道の後ろ、店内左側の座敷に通された。臭みのない鶏ガラ豚骨、茹でた野菜の瑞々《みずみず》しい匂いがほんの微かに漂っている。これが食欲をそそるんだなぁ。


 券売機で各々好きなメニューのボタンを押す。私は味玉もやしらーめん醤油の中、まどかちゃんはマー油まぜそば、つぐピヨは特製らーめん塩あっさりタイプ、巡ちゃんはつけ麺の中。


「それじゃあな」


「お先に失礼します」


 食べ終わった武道と自由電子くんが「ごちそうさまでした」を言ってから私たちに挨拶をして先に店を出た。私たちは「へいほーいまたね」などと返事をしつつ手をひらひら振ったりした。


 武道と自由電子くんがいた席には外で待っていた別の客が座り、私たちの前にらーめんが着丼したのはそれから数分後。


「ひゃっほーい、いただきまーす」


 私以外は普通に「いただきます」を言って食事を始めた。


 まずは適度に盛られたキャベツとモヤシから。ちょっぴりタレがかかっていて食べやすい。


 野菜を半分くらい食べ進めたら、次はスープ。鶏ガラ豚骨のまろやかな風味が口に広がる。


「うん、うまいうまい。うまいらーめんを近所で食べられる幸せよ」


「ごちそうが身近にあるって、当たり前じゃないんだよね〜」


 らーめんが美味しいからか、いつになくほんわかしているつぐピヨ。


「それなつぐピヨ。この状況、当たり前じゃないからな。特別な日に食べてもごちそう足りうるし、なんでもない日に食べてもいい。らーめんのような音楽を、私はつくりたい」


「食べる、音楽?」


「そうそう。あぁきょうも疲れた元気が出る音楽食べたい。お、ちょうどそこにアナログレコードあるやんいただきまーすパクパクって、そうはならんやろ!」


「そうかなぁ」


「うーん、そう言われるとわかんないなぁ。物理的に食べられないことはない」


「いや食わんやろ!」


 ツッコミ不在となり延々と続きそうな漫才を巡ちゃんが一刀両断。おかげで以後食事に集中できた。まどかちゃんは私たちを完全無視で黙食。


 残っていた水を敢えて先に飲みきり、最後にスープを飲み干して、ごちそうさまでした。

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