↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/2

第2話 婚約破棄

 私は手に持ったシャンパングラスを一気に飲み干すと、テーブルの上に置いた。

 そして、まっすぐクロードの方へと向かって行った。


「クロード、クロード様 」

 私が呼び掛けると、クロードがこちらに振り返る。

「チッ、なんだ、エレナか?何の用だ?」

「 アリス様と非常に仲が宜しいようでー

 ですが、私以外のほかの女性と、必要以上に馴れ馴れしく接するのはお辞めください。


 そのような行為は不貞にあたりますよ」

 私はことさら冷静に、落ち着いて事実だけを淡々と説明した。


「硬いこと言うなよ。

 どうせ政略結婚なんだ。

 お前といると気が滅入るんだ。


 それに比べて、アリスは私の心を晴れやかにしてくれる。

 アリスは元気で前向きで、明るく笑顔が素敵な子なんだ。


 おまえのような、根暗で仏頂面な女とは違うんだよ。

 好きな相手と結婚できないなら、せめて恋愛感情を抱ける相手くらい他に作らせてくれ」


「そうですか?わかりました。それでは、今のクロード様の発言、私の伯父様に、バーミリオン家の方にも伝えておきます」


「何だと?」

「 あと、あなたとの婚約の方は、今日この時点を持って破棄させて貰います」

「 何ッ!! 」


 クロードが動揺した。

 クロードはエレナが、私が反撃してくるとは考えてなかったのだろう。


 今までエレナが自分に好意を持ち、命令に対して言いなりになる都合のいい女だと思い込んでいたからだ。


「あなたはそこにいる方、アリス・フォワード様と結ばれたかったのでしょう?

 それなら、お望み通り、邪魔者の私は消えて差し上げますわ」

 私は一瞬チラリとクロードの横で固まっているアリスに目をやる。

 私に威圧されたアリスは、小羊のように怯えている。


「 どうしたんだ、急に。

 お前は私と結婚したかったんじゃないのか?婚約の理由は我々王族からの強い要望によるものでも、結果的にお前は私に好意を寄せていたのではなかったのか? 」



「私が好意を寄せていたのは、自分の立場と地位を正しく理解している、誠実な人間です。

 今のあなたは 婚約者の私を裏切った軽蔑すべき人間です。

 ですから、私の方から婚約を破棄させてもらいます」


 そう言って、私は振り返ってこの場から立ち去ろうとした。

 その時、クロードは私の手首を掴むと、強引に自分のほうに振り向かせた。


「ま、待て、私が悪かった。

 これからは、アリスだけではなく、お前のことも愛する事にする。

 お前は私の事が好きなのだろう?」


 そう言うと、クロードは私の手首を引っ張って、自分の方に引き寄せる。

 そして、私の右胸を触って鷲掴みにした。

 ブチッ!!


 私の頭の中で、何かの線が切れる音がした。

 私はドレスシューズの踵で、思い切りクロードの足を踏みつけた。

「痛っ!!」


 クロードが私に踏まれた痛みで、私の手首と胸から手を離し、声を漏らした。

 さらに、私は胸を触っていたクロードの手首を両手で掴むと、力いっぱい捻り上げた。 

 バキキキィィイッ!!


 鈍い音とともに、クロードの手首がおかしな方向に折れ曲がった。

「ギャアアアー!! 」


 その直後、クロードが両膝をつき、手首を抑えて悲鳴をあげる。

 私がクロードの右手首の関節を捻り上げ、へし折ったのだ。

「ク、クロード様」

 アリスがクロードの名を呼んだ。

 ザワザワザワザワ

 高貴な上流階級たちの社交の場が、ざわめいた。


 貴族たちの視線が私達に向けられる。

「エ、エレナ、お、お前、王太子のこの私にこんな事をして、ただで済むと思っているのか!?」

 クロードが小物臭全開のセリフを吐いた。


 この男、ゲームではこんなクズだったか?

 いや、これが本来のこの男の姿なのか。

「ふっ!!」

 私は無様な王太子を見下ろしながら、冷笑した。



 クロードは、何も私の話を理解していなかった。

 この男は何も私の話を聞いていなかった。


 私がなぜ、婚約破棄を言い渡したのか?

 なぜ私の心が、クロードから離れていったのか?

 何一つとして理解していなかった。


 それどころか、私がまだ自分に恋愛感情を抱いていると思い込んでいた。

 そして、私の性愛を満たせばまた自分の思い通りになるだろうと信じ込んだのだ。


 私は深々とカーテシーを添えると、振り返ってその場から離れていった。

「 待てー!!エレナ!!近衛兵よ!!この女を取り押さえろー!! 」


 背後でクロードが、あのクズが何か喚き散らしていたが、私は無視して立ち去った。











 

数ある作品の中から、この作品を選んで頂いてありがとうございます。

☆☆☆☆☆

面白いと思っていただけた方はぜひ、好評価ポイントとブックマークをご活用ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。