1話
ニマルディア王国一の魔法使いである第二王子ハルトは、姉の王女サリーナが謁見の間で国王と話しているのを使い魔を通して見ていた。
ザルハーン王国の第一王子ジックとの婚約が決まりかけているのを耳にする
「......婚約、ね。姉上は渡さないってずっと言ってるのに。」
その夜。サリーナは自室にいた。
ハルトは転移魔法でサリーナの前に現れ、サリーナは驚いた様子で「ハルト...?!」
ハルトは一歩ずつ近づきサリーナの手を握る。ハルトの足元からすでに冷気が漏れている
「ザルハーンの王子との結婚なんて、俺は絶対許さないから。あいつが姉上を欲しがってる理由、わかってるでしょ。回復魔法が目当てなんだよ。姉上自身を見てるわけじゃない。」
ハルトの魔力が感情に連動して乱れ、窓ガラスがビリビリと鳴っている。
サリーナ「私はザルハーンの王子と結婚したいなんて思ってないよ、ハルト落ち着いて....」
口元だけ笑いながら「姉上の婚約の話し出てるのに落ち着けると思う?」
ハルトの魔力が暴走しかけている、部屋の温度が下がり床に霜が張っている
サリーナ「ねえハルト、決定じゃないから」
ハルト「……ずっと姉上のことが好きだった。姉弟だから諦めようとはした。でも血は繋がってないって知ったとき諦められなくなった。姉上のことが好き。」
それを聞いたサリーナはハルトのことを抱きしめる
「ハルト、私もハルトのことが好き」
「姉上……本当に?」
サリーナは抱きしめる力を強くする
ハルトの暴走しかけた魔力が落ち着いてくる
「俺、絶対に姉上を誰にも渡さない。姉上の婚約者になる奴は俺が氷漬けにしてやる。それと今日から俺、一緒に寝るね」
「え?一緒に寝るってどういうこと....?」
「そのままの意味だよ」
――城が寝静まった頃
ハルトが転移魔法でサリーナのベッドに一緒に入る。ハルトはサリーナの寝顔を見つめながら、
(毎晩バレないように姉上の隣に一緒に寝て、俺が誰よりも長く一緒にいるのに。取られてたまるものか)
サリーナの額にキスを落とす
いつもは朝にはハルトの姿がなかったが、この日からハルトは朝になっても離れなかった
朝、サリーナが温もりを感じる方に無意識にすり寄る
「ん、姉上」愛おしそうにサリーナの頭を撫でる
サリーナは起きるがまだ寝ぼけている
「え、ハルト....?」
「おはよう姉上、よく眠れた?」サリーナを抱きしめる
サリーナは状況が飲み込めない「なんで.....」
「一緒に寝るって言ったでしょ、カキ兄上に言って部屋同じにしてもらおうかな。もう姉上って呼ぶのやめる。さーちゃん。兄上のところ行ってくるから。待っててね。」
ハルトは転移魔法でカキのところへ行ってしまった
サリーナは思考が追いつかず固まったままでいた
カキ「―おいハルト、同じ部屋にして欲しいってどういうことだ」
「さーちゃ...、姉上と離れたくない。俺がそばにいない間にあのザルハーンの奴が転移魔法で姉上のこと攫うかもしれない」
「ここはニマルディア王国の城内だぞ。他国の、しかも王子が転移魔法で王女の部屋にくるわけないだろ」
「ザルハーンのあいつは転移魔法が得意なんだよ、俺も得意だけど。姉上の回復魔法に執着してる感じがする」
ハルトはなんとなくサリーナが攫われる未来が見えていた
カキは頭を抱えて
「わかった、許可する。ただし、結婚するまで手を出すな。まず表向きは姉と弟なのを忘れるな。血が繋がってないのを知ってるのは、国王と俺とサリーナだけなんだから。」
ハルトは嬉しそうに「ありがとう、兄上!」
「表向きは姉と弟だから婚約、結婚まで大変だと思うぞ。国民、貴族院、父上、全員を認めさせないとならない」
「わかってる!姉上に報告しなきゃ」
ハルトは上機嫌のまま転移魔法でサリーナの元へ行く。
「さーちゃん聞いて!……あれ、さーちゃん?」
部屋にいるはずのサリーナの姿がなかった―




