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第13話 海蛇の成長と解放

 今回の二件の戦いを愉快にうまく踊って次女と四女が終わらせた。

 今後は二人ともアスタリアのケイオスには戻らずに、互いが手に入れた国の復興と成長に全力を尽くすことになった。

 その話をあれから3日後に次女のヒスタが聞いてため息をついていた。


 この世界では力でねじ伏せればその強者が正義になる。

 暴力でも財力でも知力でも、どんな手を使っても黙らせれば勝ちになる。

 大魔法使いのように強くても、だまして静かにさせれば今のように抑えられるということだ。

 それをして姉妹達がここから最南端と東を手に入れた。

 強いから二人にはそれが出来たけれど、海蛇のヒスタにそんなことが出来るだけの力は無い。


 その差を生まれて間もなくに見せつけられて悩んでいる。

 姉は自分達をこの世界にいさせてくれた優しい人。

 本来なら支配するか用済みになったら感情を戻したかも知れない。

 それなのに最初から名付けして自分から切り離してくれた。

 もはや四つ子と言えるような関係にしてくれた姉に自分だけが恩返しできていない。


 そう思ってる頃にこのケイオスに大魔法使いの二人がやってきた。

 2日前に使いが来てそれが決定したので、今も動けないアスタリアに変わってヒスタが対応することになった。

 だから、街の西側で二人を出迎えた。

 その相手は〈蜂のビーシス〉と〈鮫のカタルシア〉で魔王も連れずに歩いてやってきた。

 その立ち居振る舞いはさすが最強の大魔法使いの一角という感じで、二人とも放つプレッシャーが桁違いだった。

 それでもヒスタは怯むことなく挨拶した。


「ようこそいらっしゃいました。蛇が治めしケイオスは今主人が動けないので、代わりに私が相手することになりましたのでよろしくお願いします。ヒスタと申しますので出来れば覚えてください」


 精一杯礼儀正しくしようとする挨拶を聞いて2人も返してくれた。


「うちは〈蜂のビーシス〉だ。そちらと仲良くするつもりだったのにデルタが迷惑をかけたそうだから、この機会にそちらとの同盟に加わりたいと思ってきた。ヒスタさん、お姉さんの代わりは大変だろうけど今日はよろしく」


「我は〈鮫のカタルシア〉である!本当は来るはずではなかったが、かわいそうな海の子を誘いに来させてもらった。我はお前に用があるからちゃんと話をさせてもらう」


 2人は自己紹介と用件を伝えた。

 その内容の内、カタルシアの方に驚いたが平静を装った。

 そして、2人を案内してアスタリア邸の一階の応接室に案内した。

 その場に幹部達とケルタも参加しようとしたが、ヒスタへの試練としてアスタリアが1人で相手しろと言っていたので追い払った。




--------------------




 アスタリアはみんなからさらに新しい新築をプレゼントされて、二階もある豪邸に住むことになった。

 その豪邸の応接室の真上に和室があって、そこで魔法とかを使って様子を見ている。

 それに気づいてるヒスタは緊張しながら2人の対面の席に座った。

 洋風の部屋の窓側に2人を座らせて、自分はドアに近い席に座っている。

 そんな状況で2人に気を遣いながらヒスタが話を始めた。


「それでは、ビーシスさんの方からお話を伺ってもよろしいですか?」


 緊張で心臓をバクバクさせながらそう尋ねた。

 すると、ビーシスがちらっとカタルシアの方を見て、目線でそれでいいかを伺った。

 それに対してカタルシアはうなずいて見せた。

 それを確認したら最古参のロリより先に始めた。


「えっと、まずはこの間の件で手助けするはずだったのに迷惑をかけるだけになったのを謝るよ」


 そう言うと少女はちびっ子に向けて座ったまま頭を下げた。

 立場的に上な彼女は気を遣わせないために座ったまま頭を下げることにしている。

 2秒ほどして頭を上げると、ガチで真剣な目つきになって戦闘状態に入った。

 蜂の突き刺すような目線にヒスタは少しビビらされた。


「それじゃあ、ここからが本番だけどうちを同盟に入れて欲しい」


 戦闘状態と本番の単語。嫌な感じがしながらヒスタは先に進めることにした。


「ただ入れればいいわけじゃないんですよね」


「おっ、鋭いね。その通りだよ。うちには魔王デルタがいるからそこが問題なんだ。あんな化け物が背後にいる私を受け入れてもしものことがあったら悪いし、これが味方になるのは諸刃の剣を持つことと同義になる」


 そこで間を少し開けてニヤリと笑った。

 ビーシスはここで最低な提案をするつもりでいる。


「だから、私が味方になるからもしもの時はあの子を殺してかまわない。その前に互いに手を出さないことを誓わせる。これでどう?」


 最強で危険な魔王を押しつけるつもりでいるのが伝わってくるが、敵に回るときが来なければいるだけで全てを近寄らせないように出来る。

 ヒスタは少し考えてこのケイオスの利益になる答えを導き出した。


「いえ、同盟に入れるにあたってあなたと魔王デルタに条約を結んでもらいます。あの方は国を持っていて、その裏にあなたがいるのは分かっています。姉妹に手を出してもいいですが、ここに手を出せば4国と即時戦争状態になる。そういう条件を呑んでもらえるなら仲良くさせてもらいます」


 余裕を持ってニヤニヤしていたビーシスに大きな一撃が入った。

 アスタリア似の最悪な思考回路と自分が上と思っている傲慢な態度は、ビーシスのデルタを好きにしていいで通せると思った考えを一刀両断にした。

 さっきまでの緊張をどこかに置いてきたヒスタは、蛇の獲物を恐怖させるあの目で蜂を見つめている。

 そう、たった一瞬で形勢が逆転した。そのせいでビーシスの立場が危なくなった。

 さっきの一撃で崖の近くまで連れて行かれたと考えれば、ここでミスれば今度は突き落とされて全てが失敗に終わる。

 他の大魔法使いの前でアスタリアに近寄ると言ったので、ここで追い払われるのも完全敗北になる。

 焦ったビーシスは冷や汗をかきながら仕方なく条件を呑むことにした。


「わ、わかったよ。しょうがないからそっちの条件を呑む」


「では、数日後に条約締結と同盟入りをするために魔王デルタと共にお越しください。それで、もう用がなければ次が控えてますので、早急にお帰りください」


 この短時間の勝負はヒスタの勝ち。

 ビーシスはもう少し考えればやり返せたかも知れないけれど、長女似のやばいオーラを出したりするヒスタとは覚悟も実力も差があった。

 少し前に言ったけど、この世界はどんな手を使っても勝てばいい。だから焦った時点でビーシスの負け。

 冷静さをなくしたビーシスは焦って席を立って逃げるように部屋を出て行った。

 その背中を見送ってからカタルシアが口を開いた。


「エグいことするな。ビーシスが泣きそうな顔になったの400年ぶりくらいだぞ」


 〈鮫のカタルシア〉は敗者の肩を持つようにそう言った。

 それに対してヒスタはお返しした。


「この世界は勝つか負けるかです。どんな手を使ってもいいのだから、私が威圧して黙らせたとしても許されるはずです。メンタルを鍛えるべきでしたね」


 冷淡なところまで長女に似たヒスタのその発言にカタルシアは苦笑いになった。




--------------------




 ヒスタとカタルシアは5分ほどの休憩をしてから、双方にとって大切になる話を始めた。


「さて、我はあいつと違ってお前を迎えにきた。海蛇がいつまでも陸にいるべきじゃない」


「そう言われても、私は生まれて間もないですからね。しかも、四姉妹の中で1番戦えません。そんな私が海に行って変わるんですか?」


「変わるとも!だから、我は13番目の魔王を迎えに来た。お前の才能をこんなところで腐らせる必要はない。我に任せてついてこい」


 その言葉と姿に魅力を感じたヒスタは、お疲れの姉には悪いけれど自分のために出かけることにした。

 水色ツインテールのカタルシアは立ち上がって手を差し伸べているから、ヒスタも立ち上がってその手を取った。

 その瞬間カタルシアは満面の笑みになった。


「では、今から私の北西の住処に案内するぞ。いいな?」


「えぇ、役立たずだと思っていた私が変われるなら、少しの間は好きにしてください」


 カタルシアは楽しそうにヒスタの手を引いてテレポートした。

 一瞬の移動だけど、ヒスタは心の中で行ってきますとみんなに向けて言った。

 当然、上の部屋で様子を見守っていたアスタリアは突然ヒスタとカタルシアが消えたから驚いた。でも、動けないので仕方なく行かせた。



 一瞬で到着した場所は隣の国との国境に近いが、とても綺麗な海が近くにあるログハウスだった。

 潮風で少し傷んではいるが、かなり頑丈な作りになっていて築200年となってるから魔法もかけているのだろう。

 この海を見てヒスタが感動していると、カタルシアが服を脱ぎ捨てて水着姿になった。まぁ、スク水みたいな感じだけど。

 そのカタルシアが思い出したようにヒスタの手を引いて中に入り、自分のコレクションの中からチビのヒスタでも着れる水着を探して手渡した。

 それを受け取って着替えた。カタルシアは一応外に出て待った。

 しばらくすると、ピンクの小さなビキニを着たヒスタが出てきた。


 カタルシアはそれを見て可愛いと思いながらヒスタの手を引いて海に向かった。


「さて、私はこれから泳ぐけどここからは自分で選んで、海蛇として海に入るか、ここでやめて私が上がるのを待つか」


 浜辺まで来てカタルシアがそう尋ねた。

 ヒスタには他の姉妹にはないものがあるから我慢できなかった。

 だから、答えは決まっている。


「海に入りたい!泳ぎたいよ!」


 今までの堅苦しさ無くなって純粋な気持ちを伝えた。

 それにさらに素敵な満面の笑みを浮かべてカタルシアが答えた。


「なら、一緒に行こう!我の支配する大陸の近海へ!」


 そう言いながらカタルシアは両手を引いて一緒に海に入った。

 そこから少し進んで潜った。

 2人は水中特化の魔法を持っていて〈水中呼吸〉〈水流操作〉〈水圧操作〉それと互いの固有魔法で鮫の〈海王の海〉と、海蛇の〈水中を歩く者〉もある。

 あの姉妹達と違って水中こそがヒスタのいるべき場所である。

 だから、ここに来て良かったと思っている。

 それに、この海に入って条件を満たしたのでヒスタも進化して〈海王ヒスタ〉になれた。

 13番目の魔王と最古参の大魔法使いのコンビ。もうここから帰りたくないと綺麗な海を見てヒスタは心底そう思った。


「カタルシアさん、ありがとう。出来るなら私を愛してこのまま可愛がって」


 水中で魔王になって素直になったヒスタはこの海のように広い心で告白してしまった。

 それに対して彼女は驚いたが、互いに一目惚れしていたのですぐに付き合うことになった。


「お前を救えて良かった。我は無限の時を残さずお前に渡そう」


 幸せそうに2人は両手を合わせて愛を誓った。

 この世界での誓いも大きな意味を持つ。

 だから、海中の生き物全てが2人の海の支配者を祝福した。

 当然のように鮫と海蛇も辺りを回っている。


 簡単に一緒になった2人で海を出ると、あのログハウスに戻った。

 そこでどう過ごすかを考えて、カタルシアの数少ない配下にアスタリアへの手紙を出すことも考えた。

 もう戻らない。あそこで無理して生きることを考えるより、自分らしく生きる方がいい。

 だから、姉には感謝してるけど切り捨てることにした。


「今までありがとう。さようなら」といった感じの内容を手紙に書いてカタルシアの配下のうみねこに無理してもらって運ばせた。

 これで最強の海のカップルが誕生して、アスタリアは姉妹の全員を自分より遠くに見送った。

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