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第14話苦労人スケラー

今回主人公は出てきません。

魔王サイドのお話です。

次回からは普通に主人公のお話ですので。


――魔王。


それは人類を破滅へと導く最悪の魔物、人類にとって最凶の敵、それが魔王である。

なぜ、魔王は人類を滅ぼそうとするか? そんな理由もの知らない。この物語では扱っていないのだ。


とにかく、その魔王とそして魔王が率いる魔王軍と人類は戦い続けてきた。何世紀も前から。

人類は武器や魔法といったすべで抗うが、それでも魔王軍の進軍は止まらない。人類はゆっくりとだが着実に破滅への道に追い込まれているのだ。

かつての大貴族クライン家が治める地クライン、貧困街スレイス、人類の重要拠点ペロペロバー……いくつかの街や拠点が魔王軍によって破壊、侵略されていた。


そしてここ、アスベルト城もその一つだ。かつては多くの民と温柔な領主によって栄えていたところだが、今は見る影もない。廃墟のような城に枯れ果てた木々、そして数多くの魔物がその地で暮らしていた。


その魔物の中に別格の雰囲気をもつ魔物が一人。

人骨の身なりにローブを羽織った魔物がアスベルト城の長い廊下を歩いていた。


彼の名はスケラー。リッチ一族のものだ。彼の見た目、佇まいは強者の風格を漂わせている。

実際、彼はこのブルベスト城を占拠している魔王四天王フェイザーの右腕としてこの地にいる。



だが


――ビュオン!


「ひいい! ……な、なんだただの風か」


彼はかなりのビビりだった。外で吹いている風の音にビビってしまうほどに。

スケラーは風の音や部下の笑い声にびくつきながら歩みを速めていた。

それは臆病だから早く通り過ぎたい、などという理由ではない。

急いで四天王フェイザーに報告しなければならないことがあったのだ。部下から聞いた重要な知らせ。


「最近姿を見ないと思っていたが、あのグレガス君がやられるなんて……」


スケラーは信じられないといった口調で報告すべき内容をつぶやいていた。



長い廊下を渡り重厚な扉の前。スケラーは扉の前で胸に手を当て、息を整えた。

そして、扉を二回ノックし、扉の向こうにいるフェイザーに確認をとる。


「フェイザー様、今よろしいでしょうか」


彼が何故こんな行動をするか? そうしないと心臓がとまってしまうのではないかと思うからだ。

実際、彼の体に心臓はないのだが。


「うぉい!! いいぞおお!!」


扉越しでもうるさいと感じるバカでかい声。その音にスケラーの体はびくっと跳ねる。


スケラーが怯えていた理由はこの声だった。

ビビりのスケラーにとってフェイザーのあほなんじゃねぇかと思えるくらいでかい声ははまるで耳元で風船を割られているような気分なのだ。

出来ることならフェイザーに会いたくない。というより声すら聴きたくない。

そう思うスケラーだが、今はそんなことを言ってられない。仕事はきちっとしなければならないのだ。

スケラーは扉を開け、中に入る。


「失礼します。フェイザー様。急ぎご報告したいことが」


「どおしたあ!! スクラ―!!」


名前を間違えつつ叫ぶ男の名はフェイザー。

鷹のような鉤爪の手足を除けば人間と何ら変わりのない見た目だ。

さきほども言った様に魔王軍四天王の一人である。


「……私はスケラーでございます。そ、それより、我が軍の特攻隊長であり、最高戦力の一人であるグレガスがやられてしまいました!」


グレガス……それはかつてこの作品の主人公であるノラが倒した魔物。賞金のついていた魔物である。


スカラーのおびえた声の報告にフェイザーは驚愕する。


「なぁんだとお!! あのフレガスがやられた!? 誰にだ!? 切り裂きジャックか!? グラス一家か!?」


しかし、それは部下がやられて悲しいというより、そんな強い奴がまだいるのかという歓喜の驚きだった。


「そ、それが名も知れぬ冒険者にやられたという報告です。それとグレガスでございます。フェイザー様」


「どおいう事だ!? 説明しろお!!」


「グ、グレガスは一人の部下と趣味の人さらいをするためにヘルメスへ。そこで好みの女冒険者を発見したのですが、援軍と思われる全裸の男冒険者にやられたようです。一緒に行っていた者は見つからず逃げ帰って来て報告をしてくれました」


「プレガスをやるたぁおもしれぁ!! その全裸の冒険者を探し出せ!!」


「はっ!」


スケラーは了承すると部屋を出た。最後フェイザーがグレガスの名前を間違えてたが、そんなこともうどうでもよかった。

もう彼の精神は限界だった。早くこの部屋から去りたかったのだ。


「……はぁ~。怖かったぁ。フェイザー様の声はほんと慣れないよ。せめてもう少し声のトーンを落としてくれたらなぁ。もう、魔王様に配属変更願でも出そうかなぁ」


スケラーはぶつぶつ文句を言いながら、命令に従うため歩き出した。









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