第11話アイエエエ! ヘンタイ!? ヘンタイナンデ!?
「えっとーさっきのどういうことですか? というか、あんた誰?」
ギルドに設置されている椅子に座った俺はテーブルを挟んで同じように座っているさっきの金髪美女に問う。
ちなみにウルは横で注文した肉料理を食べている。
「申し遅れました私はフラム・グラスと申します。先ほどのは口が滑っ……いえ、言葉のあやの様なものです。簡単に言うと私をあなたのパーティーに入れてほしいのです」
フラムと名乗った金髪美女は丁寧な口調で目的を話す。
パーティーに入れるのは良いが、言葉のあや? 何でご主人様や奴隷って単語が出てくるんだ……。
なんかこの人あかん人な気がする。一応面接みたいな感じでいろいろ聞くか。
「えっと、なんで俺のとこに? 正直、俺より強い冒険者なんてごまんといるだろうに」
「実を言いますと私この街には一昨日来ましたの。そして、ある噂を聞いてあなたのところに……」
お、噂? やっぱりグレガスの噂を聞いて俺のところに来たのかな?
俺は噂と聞いてグレガスのことで少し有名になったことを思い出し、少し鼻が高くなる。
「ここにはすごい変態の冒険者の方がいると聞い――」
「ちがーうっ! あの噂は色々尾ひれが付いてるから! どうしようもならない理由があったから!」
俺はフラムの口から飛び出た意外な話題に身を乗り出し、大声で否定する。
しかし、それのせいで周りの目はこちらに向けられる。
「……あっ、すいません」
俺は小さな声で周りに謝ると席に戻る。そして、いつもの声量で
「あの噂は半分デマみたいなものですから。気にしないでください」
と言った。
てか、噂ってそっちかよ……。なんでその噂を聞いて俺のところに来ようと思ったんだよこの人。意味わかんないよ。
俺はフラムのことを怪訝そうに見るが、フラムは何事もなかったかのように続けて話す。
「いえいえ、そんな謙遜なさらくてもよろしいですよ? 私は街でこの子にご主人様と呼ばせているところを見て確信し――」
「それもちがうっ! あれはこいつが面白がって言ってただけだから!」
俺はまたもや身を乗り出し、大声で否定する。
そして、やはり先ほどのように周りの目はこちらに向けられる。
「……何度も、すみません」
俺は再び小さな声で謝り席に戻る。そして、いつもの声量で
「いや本当アレも違うから。普段はこいつもちゃんと名前で呼んでるから」
と横で必死に肉にがっついているウルを指さしながら言った。
てか、ウルさんあなたすごいね。何にも動じないね。すごい肉に夢中だね。
俺は話題に出ても騒がしくしても肉をがっついているウルを見てそう思った。
というかそれより、この人をどうするかだよ。今までの反応から、というより最初からうすうす気づいていたが……この人変な人だよ! 変態さんだよ! 俺と違ってオープンな変態さんだよ!
……あっ、違う違う。俺は変態じゃなかった。ちょっと人より性に関心があるだけだ。
そんな自分自身への説得をしているとフラムが
「それで、ノラさん。私のご主人様と奴隷どっちになっていただけますか?」
と身を乗り出し問い詰めてくる。
いや、どっちと言われても、まだ仲間にするとは言ってないんだが……。
というか、やっぱりその二択が出てくるんだ? この人の要望って仲間ていうよりむしろこっちだよね?
俺がフラムの質問に困っていると俺を呼ぶ声がどこからか聞こえる。
「おーい、ノラー!」
その声の主はエルザだった。
そして、エルザは俺のところに駆け寄ってくる。
「やっぱりギルドにいたのね。ダニエルが頼みがあるから……ってこの人は?」
エルザは要件を伝えているとフラムに気づき、首をかしげる。
それを見たフラムはその場で、すっと立ち一礼する。
「私フラム・グラスと申します。実は今ノラさんにパーティの参加を申し込んでいたのです。あなたが噂の……裸のノラさんを連れまわしてた方ですね?」
フラムの自己紹介と質問を聞き、エルザは無言で俺に掴み掛る。
「ちょちょエルザさん!? 今回のは俺知らないよ! 関係ないよ! この人が勝手に言っただけだよ!?」
「……ってフラム・グラス? あなたもしかして有名なグラス一家の人!?」
エルザは俺の弁解を無視し思い出したかのようにハッとすると、俺を掴んだままフラムに質問する。
その質問にフラムは、はいと短く頷く。
「え? なんでグラス一家の人がこんなところに……?」
エルザはフラムの返答に驚き、わなないている。
だが、俺にはエルザが何でそんなに驚いているかわからなかった。なので、エルザに質問する。
「グラス一家? なんだそれ? そんな有名なのか?」
「嘘でしょ!? ノラ!? グラス一家を知らないの!? 魔法の超エキスパートの家系で様々な伝説がある最強の魔法使い一家!!、この世界で一番有名と言っていいエリート一家よ!?」
エルザは俺の質問に大声で答えてくれる。
しかし、その声に周りの視線はまたもやこちらに向けられる。
そんな状況で
「ふぅー食べた食べた、ご馳走様っす。……ん? なんで、周りの人達こっちを見てるんすか?」
ご飯を食べ終えたウルは素っ頓狂な疑問を俺達に投げかけた。
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ギルドではまともに話ができないと思い、俺達は街のはずれにある空き地に移動した。
そして、空き地に着いて早々エルザは人差し指を立ててフラムに忠告する。
「フラムさん。悪いことは言わないわ。この男に近づいたらダメですよ。この男とんでもない変態ですから」
エルザさん、それ逆効果っす……。
「まぁ、やはりそうでしたのね! 素晴らしいですわ! やはりパーティーに入るならここしかありませんわ!」
やっぱりな……。
エルザはフラムがとても嬉しそうに決意しているのを聞き呆然とする。
そして、そのままの表情で俺を見る。
エルザが説明を求めていると感じ、俺はどこかのニンジャのように答えてあげた。
「フラム=サン、変態。つまり、エルザ=サンの忠告、無意味。いいね?」
「アッハイ」
ネタを知らないはずのエルザだが、礼節どうりに答える。
「……って、どういう事よ! 普通避ける要素じゃない!?」
が、すぐにいつも通りのエルザに戻り、頭を抱える。
そこにウルが割って入り質問する。
「というか、なんでパーティー申し込みするんすか? 確かグラス一家の人って家族でパーティーを組んで魔物を討伐するんすよね?」
ウルの的を得た質問にフラムはハッとなると、俺達に説明してくれた。
「そういえば、お話ししていませんでしたわね。実は今、私は修行中の身なのです。グラス一家ではある試練をクリアしないと一人前と認められません。それは家を離れ、パートナーと言っても過言ではない強い絆を結んでくること」
「それって、つまり……」
「はい! 私のパートナーにはノラさんがぴったりだと思うのです。というか、ノラさん以外考えられませんわ!」
フラムは輝くようなまぶしい笑顔をみせる。
そして、それを見たウルは
「別、パーティーに入れてあげればいいじゃないすか。悪い人じゃなさそうっすよ? それにグラス一家の人が入るとなると戦力もかなりあがるっす」
と提案する。
いや、まぁ確かに断る理由はないんだが。美人だし、巨乳だし、それに強いなら文句なしだ。ただ、エルザが何と言うか……
と俺はエルザのほうをちらりと見る。
「いや、フラムさんが良いなら、別良いんだけど……」
とエルザは少し口を尖らせながらも賛同する。
それを聞いた俺はフラムに手を差し出しこう言った。
「よし、わかった。二人とも良いみたいだし、俺達はお前をパーティーに歓迎するよ」
「はい! よろしくお願いしますわ!」
フラムは勢いよく答えると俺の手を取った。
そうして、俺達のパーティーには伝説の魔法使い一家のフラム・グラスが入ったのだった。




