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非情な天使(改稿編)  作者: ドラキュラ
復讐代行編
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エピローグ:天使の涙

これにて復讐代行編は終わりです。


で、まだ続きます。


ただ、冷酷な戦乙女の方を完結させて・・・・まぁ、空いた隙を見て更新したいと思います。(汗)

依頼を終えてから数日が経過した。


あれから私は飛天から女の死に様を聞いたわ。


彼に玩具のように可愛がられて、手足をもがれたらしい。


その度に女は泣いて、喚いて、慈悲を乞うた。


だけど、彼に慈悲は無い。


ううん・・・仕事に関して言えば慈悲など捨てる。


特に女は小娘に近い性格。


彼に慈悲を持て、と言う方が角違い。


だから、玩具みたいに殺されて当然よ。


何れは2人も・・・・・・


とは言え、今は現在の幸福な時間を楽しまないと。


現在、私は彼の家に住んでいるの。


彼は居ない。


約束通り・・・あの婦人警官と食事に行っている。


恐らく婦人警官と一夜の火遊びをするでしょうね。


何だかんだ言っても彼だって男だもの。


嫉妬しないのか?


問われたらするけど、彼は帰って来る。


この家に・・・・家に居る私の所に必ず帰って来る。


だから、最終的には私が勝つの。


嫉妬なんて一時でしかないわ。


今の私にとっては・・・・・・・・・


それにしても・・・・・・


「殺風景な部屋ね」


無駄に広いのにあるのはこれだけ。


ベッド、本棚、暖炉、テーブル、ソファー。


これだけなの。


まぁ、彼の体格上・・・無駄じゃない位に大きい。


それらで部屋は多少狭くなるけど、やはり広いのよ。


私の部屋?


3LDKだけど、料理はしないの。


出来ないんじゃなくて、やる気が無いのよ。


私の部屋に比べて何て広いのかしら。


そうだわ・・・・・・


「引っ越しましょう」


ここに、ね。


そうすれば毎日、彼と顔を合わせて暮らせる。


もっと早く気付くべきだったわね。


でも、気付いただけ良いわね。


私達には無限と言える時間があるのだから・・・・・


そうと決まれば電話して荷物を取り寄せましょう。


それから部屋の間取りを決めて、彼の仲間にも挨拶しないと。


これから一緒に住むんだから当然ね。


なんて考えていると、身体を動かしたくなる。


ベッドから起き上がり、彼の家を見て回る。


先ず思った事は家の中は綺麗だった。


下手な使用人が掃除するより、ね。


後は料理道具が一通り揃っていて、冷蔵庫の中も材料が揃っていた。


お腹が空いたので、入っていた食パンとイチゴジャムを頂く。


ついでにコーヒーも頂きたいが、インスタントは無く豆と挽いてある粉があったの。


私の場合だと冷蔵庫の中は牛乳くらいしかない。


コーヒーはインスタントで十分だもの。


一々やるのは面倒だから牛乳で補う。


食事を済ませたら、また家を探索する。


そんな事をしている間に時間は夜になった。


どうしましょう?


彼は朝にならないと帰って来ないから、一人で時間を潰すしかない。


特にやる事は無いから電話して、明日にでも引っ越しの準備を取り敢えず頼む。


その後は銃の手入れと弾薬の点検をした。


パイソンを掃除しながら私は依頼を思い出す。


あんな奴らは昔から居た。


だけど、昔に比べれば遥かに増えたし、やり方も巧妙になってきた・・・・・・


私達は相手を罪に誘うが・・・そこからは人間の方法なのよ。


しかし、私達も変わり始めたのかしら?


どうも変だわ。


下っ端が変なの?


それなら解るけど、余りに変すぎる。


今回の依頼も罪人が変だった。


あそこまで変わった罪人は少ない。


何だか・・・時代を感じるわね。


私は自嘲してパイソンをホルスターに入れた。


そしてシャワーを頭から浴びる。


身体が熱くなってきた。


やはり力を使い・・・彼に看病されたから女を感じたのね。


彼とは暫く寝ていない。


だから、彼に助けられた時に・・・・・・無性に熱さを感じたの。


小娘じゃあるまいし、馬鹿みたいね。


でも、私も女だ、と思い知らされる。


あーあ・・・・・・


「濡れてきたじゃない」


馬鹿・・・・・・

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どういう訳か・・・・・久し振りに夢を見た。


夢らしい夢。


この夢らしい夢、だけど・・・・夢とは思い描く世界を見るから夢なの。


だから、私が見たのは自分が思い描く世界だった。


そういう訳だから夢、なのよ。


夢の内容は血生臭い。


売女と小娘を私と飛天で・・・・嬲り殺しにする。


2人は泣きながら、私と飛天に懇願した。


でも、赦さない。


徹底的に2人を殴って、蹴って、火で焙り、刺して、絞めて、斬った・・・・・・ありとあらゆる手段を講じて痛めつけた。


私は気分爽快だったけど、飛天は違っていた・・・・・・・


ねぇ、どうして?


どうして・・・・・そんなに泣きそうな顔なの?


貴方が望んでいた結末でしょ?


それなのに、どうしてなの?


これでは私だけが楽しいじゃない・・・・・・・


私は貴方がやる事を手助けする。

それなのに・・・・・・・・・


何時の間にか場面が変化した。


あそこはここだ。


私が居る家---マルセイユの丘にある白い家。


私はソファーで一人、煙草を吸っていたけど、そこへ飛天が現れた。


瞼を閉じて眠る赤子を抱いて・・・・・・・


あれは・・・・・・・・・


『母親のくせに煙草を吸うなよ』


飛天は私を咎めて、煙草を取り上げる。


『良いじゃない。それより寝てるの?』


私は相変わらず文句を言っていた。


『あぁ。ほら、ママだぞ』


飛天が私に眠る赤子を差し出す。


『まったく・・・・・子供は苦手よ』


ピィーピィー泣くし、我が儘だし、甘えん坊だし・・・・・・・・・


『だったら何で産んだ?』


彼の質問に私は素っ気なく答えた。


『気まぐれよ。でも、貴方の子だから産んだのかもしれないわね』


子供は苦手だが、彼の子で彼も一緒に育ててくれる、と思えば・・・・・・産めるわ。


赤ん坊が眼を開き、小さな手を出す。


私似で我が儘そうね。


黙って指を私が差し出せば赤ん坊は小さな手で掴む。


けっこう強いわね。


・・・・・・でも、もっと強くなりなさい。


強く逞しく生きなさい。


赤子に私は語り掛ける。


自分だけど、自分じゃない気がした。


でも・・・これは夢。


自分の思い描く絵画をキャンパスに描き、歓声した絵画を見て、自画自賛・自己満足するのよ。


それが夢なの。


あれは私が思い描いたキャンパスで、それを自分自身が見ている。


これを夢と言わず、何と言うの?


夢でしかないのよ。


私が思い描く夢でしか・・・・・・・・・


そこで私は眼を覚ました。


「やっぱり夢、ね」


彼が眠るベッドには私しか居ない。


赤ん坊も飛天も居ない。


ただ無機質な部屋でしかない。


私一人が居るだけ・・・・・・・・・


でも、それで良いわ。


今は、ね。


赤ん坊はまだ要らない。


少なくとも彼と一緒に過ごす時間を・・・もう少しだけ独占したいのよ。


私と彼だけで過ごす・・・・・・二人だけの大切な時間を、ね


それに・・・あの二人を殺すのが先だもの。


夢の中でやったように・・・・・・それ以上の事をやってやるわ。


血の代償が如何ほどに重いか・・・骨の髄まで教えて上げる。


だから、夢で良かった。


だけど・・・・・・・・


「ちょっと惜しかったかしら?」


彼との子供・・・苦手だけど、欲しいのよね。


まぁ、妊娠した時は少なからず母親の自覚は持つわ。


持たないと彼に叱られそうだしね。


「・・・・はぁ」


何だか酷く疲れた気分になる。


夢なんて久し振りだし、現実味が有りすぎたわ。


それなのに私は願う。夢が現実になるように・・・・・・・・・


あの二人を殺して、彼の子供を妊娠して産みたい。


それを現実にするのは自分の力であり、夢は見せるだけでしかない。


他力本願では叶わない。


だから、結局は私が自分でやるしかないのよ。


知っていたし、叶える為に力を注ぐ積もりだけど・・・・・・・・・


馬鹿な乙女みたいに涙を流しながら・・・・・・私は夢が叶う事を願わずにはいられなかった。


                                   復讐代行編 完

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