第8話 第2の米?
「次に行く村は究極に貧しい村よ」
「またあなたが高い税金を奪い取ってるんでしょ?」
小百合! 覚えてなさいよ。
「そんなことするわけないじゃない?」
「じゃあ、今までの村は何だったのよ」
う!
「今回は違うわ。土地が痩せているため作物があまり収穫できないのよ」
だから税金もあまり奪えないのよね?
「若者もかなり減っているようよ。みんな前回行った街に行っちゃうみたい。きっと仕事が多いからだと思うわ。だから村の人口の50%以上は高齢者よ」
「いわゆる限界集落ね」
「限界集落って何?」
「ふう」
何よそのため息は?
まるで『本当にマリーって知識がないわね』って感じじゃない?
「限界集落ってのは高齢者が多くて村として成り立たなくなってきている村のことだよ」
「何で小学生の芽依が説明するのよ!」
私たちが村に着くと若者たちが威勢よく作物の収穫をしていた。
「マリー、かなり活気にあふれてないか?」
四朗の言う通りね? いったいどうなっているのよ?
城には米はあまり採れませんて報告されているはず。
これはどういうこと?
とりあえず調査よね?
「この辺りの権力者の家を教えなさい」
近くにいた青年を捕まえて聞いた。
「権力者? 庄屋さんのことかな? それならこの道をまっすぐに行ったところにあるよ」
「庄屋って何よ?」
「百姓をまとめる地主さんだよ」
「だから何で一番年下の芽依が答えるのよ!!」
私たちが庄屋の家に着くと小太りの老人がいた。
「この村は作物が採れないので貧困に苦しんでいたんじゃないの?」
「マリー、ちょっと単刀直入に聞き過ぎよ。失礼じゃない?」
小百合の言葉に老人がにこやかに答えた。
「いえいえ、構いませんよ。この村は、かつては土地が痩せておりまして今日食べる米もありませんでした。しかしコメの品質改良が進み今ではかつての5倍の米がとれております」
ご、5倍―!
「ちょっと、それじゃあ城には嘘の報告をして儲けてたってこと?」
庄屋は私の問いかけににやりと笑って答えた。
「城に収める税金はその年にとれた米を売ったお金の20%となっております」
「その通りよ」
「この村で採れる作物は品種改良が進んでおりまして、米とは全く別の原料を米そっくりに改良したものになります。それを売ったお金は税として納めなくてもいいことになります」
「え?」
「こちらが学者による品種改良の証明書です」
「そんなの屁理屈よ!」
「なんか日本のビール業界みたいだな?」
四朗が頷きながら言った。
「何よビール業界って?」
「日本ではビールにかかる酒税が高いため第2のビールを作って税金対策をしたんだよ」
「芽依は説明しなくていいわよ!」
許せないわ。代官所に乗り込んで規定通りの税を納めさせて見せるわ。
私たちは代官屋敷に乗り込んだ。
「何奴?」
ここまでは当然の流れね?
この後ひと暴れして王家の紋章を見せれば。
「あなた様はピピプル様!」
どうして速攻で私の身分に気付くのよ!
「大変失礼いたしました。まさかこのような片田舎にピピプル・クレタ・ビチャ・シッコ様がお見えになっているとはつゆ知らず・・・・」
「それはお姉ちゃんよ! ってこの展開はもういいわよ!」
「ところで、この村は随分と都合のいい理屈をつけて税金を滞納してるようね?」
「お言葉ですが、私共は何も法に触れるようなことは致しておりませぬ」
「何が米に似た作物よ? 米に似てれば米よ」
「これに関しましてはお城の議会で認められております」
「え? そうなの?」
でも、これっておかしいわよね? そうだわ。
「なら法律を変えるわ。それなら文句はないでしょう?」
「でしたらその旨を議会にけていただく必要があるかと思われまする。そののち国中に通達していただきませんと」
「意外と民主的なのね?」
小百合が呟いているけど、そんなの関係ないわ。
「私が法律よ。つべこべ言わず税を払いなさい!」
とんとん。ん? 誰なの私の肩を叩くのは?
「マリー、帰ろうか?」
「え? どうして?」
こうして私は小百合と四朗に両腕を抱えられて強制退場させられるのであった。




