第3話 これよこれ!
小さな村で私たちが目にした光景は酷いものだったわ。
村人全員が痩せこけて全く覇気がないの。
これは怪しいわね。
「この村は全て自給自足になっております。旅の方に食べ物をお出しする余裕はありません」
丁度お昼時だったから『この辺に食事ができるところはない?』って聞いたら、この返答が来たわ。
これは早速聞き込み開始ね。
「お困りのようですがどうかされたのですか?」
「ちょっとー! 何で小百合が聞くわけ? ここは主人公である私が聞くとこでしょ!」
私は小百合と村人の間に割り込んだ。
「ねえ、そうでしょう?」
私は笑顔で可愛く首を傾げて言った。
私の可愛さ爆発のこの表情にハートを射貫かれない男なんていないわ。
「男の私としては美人な方に言っていただいた方が嬉しいですけど」
村人は小百合を指さしている。
「どういう意味よ! まるで私より小百合の方が美人みたいじゃない! 芽依、何を無言で頷いてるのよ!」
私は四郎の方を見る。
ここで四朗が頷いていたらこのパーティーは3人になって棺桶を一つ引きずって進むことになるわ。
四郎はなぜか下を向いて顔を手で覆っている。
体が小刻みに震えているのはなぜ?
いったい何してるのよ?
「それで何を困ってるの?」
「はい、ここ数年の日照りで作物があまり採れません。今日食べるものもないくらいです」
「きっと年貢の取り立てが厳しすぎるのね?」
小百合はわざとらしく頷いている。
「話をよく聞いておいてねマリー」
なぜか小百合が私の肩をポンポンと叩く。何なのよいったい?
ここは私の出番ね。
「悪代官による年貢の取り立てに困っているのね。私に任せてあなたたちを助けてあげるわ」
私は村人に核心をつく言葉を浴びせた。
これで安心するはずよ。
「悪代官て何ですか?」
あれ?
「この地方を治める領主のことだよ」
芽依がそっと村人に教えている。
これよこれ! 私の求めていたシチュエーションはこれよ。
「さあ、悪代官を懲らしめに行くわよ」
私たちはこの地を治める領主の館に乗り込んでいった。
「お前達は何者だ!」
兵士達に私たちを取り囲まれる。
ここは一暴れしてから正体を明かすべきよね。
日本のテレビ番組で見たことがあるわ。
「四郎、小百合、芽依。やっておしまいなさい」
しかし、黒魔術が使えないお供3人はいとも簡単に捕らえられてしまった。
もう、使えないわね!
「無礼者! 私を誰だと思ってるの? 次期国王ピピプル・クレタ・ビチャ・○ンチよ」
兵士達の動きが止まった。
領主が私の顔を凝視する。
そして慌てて土下座をした。それを見た兵士達も一斉に頭を地面につけて土下座している。
う~ん。何て気持ちがいいの。
私はこのためだけに世直しの旅をしているようなものよ。
「大変失礼いたしました。まさかこのような地にピピプル・クレタ・ビチャ・シッコ様がお見えになっているとはつゆ知らず・・・・」
「それはお姉ちゃんよ!」
私は吹き出している小百合を見逃さなかった。
こいつ絶対首にしてやるんだから。
「ところで随分暴利な年貢を農民から取っているようね?」
「年貢?」
「税のことだよ」
芽依がそっと領主に教えている。
「いえ、私どもは取り立てた税の5パーセントしかいただいておりません。残りは全て城に納めております」
「・・・・・・・・」
「おい、マリー。まさか村人が苦しんでいる原因て・・・・」
こうして今日も世直しをしていく私たちなのでした。




