第2話 これが私の役目よ
私がなぜ世直し旅をしているかって?
そんなの簡単な話よ。
黒の国をより住みやすいところにするためね。
隣にはライバルの白の国もあるわ。差をつけるのも目的の一つかしら。
決して某副将軍のマネじゃないわ。
もちろんここは異世界。
自動車もなければ電車もない。
それをプリンセス自ら歩いて世直しをしているのよ。
なんて素敵なプリンセスなのかしら?
それに四朗との婚前旅行も兼ねているの。
でも、余分な邪魔者がついてきたため、なかなかうまくいかないけど。
私はため息をついて後ろを振り向いた。
「ちょっと! 何3人で腕を組んで歩いてるのよ!!」
「小百合が俺の左腕に腕を絡めてきたら、対抗して芽依が右腕に」
「そんなの嫌がりなさいよ!」
まったくどいつもこいつも。
「四朗、あなたは私の婚約者なのよ。もっと自覚しなさい」
「あら、四朗君の恋人は私よ」
「過去の話でしょ?」
「私は四朗君と別れたつもりはないわ。だからあなたがいくら頑張っても四朗君のフィアンセなんかになれないの。わかる?」
「あなたは国王の権力が分かってないみたいね?」
「ねえ、お兄ちゃん。この2人が戦ってどちらも倒れてくれたらお兄ちゃんは芽依のものだね。こういうのを漁夫の利って言うんでしょ?」
「よく勉強してるな」
「えらい? 頭なでなでして」
なでなで。
「こらー! なに兄妹でいちゃついてるのよ!」
本当に気が休まらないわね。
「マリー、そろそろ日が暮れそうだけど、次の村までどれくらいあるんだ?」
「今、調べるわ」
私は地図を取り出すと位置情報の黒魔術を唱えた。
地図上に私たちがいる場所が示される。
これは黒魔術よ。決してGPSなんかじゃないわ。
「随分と距離があるわね? この分だと夜までにつくのは無理かも?」
「本当にマリーって計画性に欠けるわよね?」
小百合の奴ここぞとばかりに言ってくれるじゃない?
「仕方ないから今夜は野宿ね」
「こんな所で野宿するの? 芽依怖いよ~」
「大丈夫だ。芽依は俺が守ってやるから」
「本当。お兄ちゃん」
キュー。
「こら! どさくさに紛れて四朗に抱き着くな!」
「今回ばかりはマリーの意見に賛成だわ。芽依ちゃん、わざとやってるでしょ?」
テントもない野宿ってなんか不安よね?
私たちは森の入口で焚火をしている。
まさか一国のプリンセスがこんな所で寝ることになろうとは?
「ここって猛獣やドラゴンは出てこないよね?」
芽依は小さいから怖いのね? ここは安心させてやることにするわ。
「大丈夫よ」
「どうしてそんなことが分かるのマリーさん?」
「もし猛獣やドラゴンが出ても私の黒魔術でやっつけてあげるわ」
「ええ、マリーさんの黒い魔術って薬缶を降らすだけで何の効力もないじゃない。ドラゴンをやっつけるなんて絶対絶対絶対無理だよ」
「芽依、城に帰ったら死刑ね」
「焚火の火は消さない方がいいわ。獣除けになるし。交代で火の番をしましょう」
小百合が仕切ってるわね。
実に気に入らないわ。
「じゃあ、最初はマリーお願いね。2時間したら私を起こして」
「ちょっと待ちなさいよ。プリンセスに火の当番をさせるつもり?」
「普段何も役立たないんだからこれくらいしなさいよ」
「小百合、あなたも城に帰ったら死刑よ」
結局、小百合と言い争ってる間に夜が明けてしまったわ。
後ろを振り返ると兄妹の仲睦まじい姿が。
「って、どうして2人より沿って寝てるのよ!」
本当にこの旅、先が思いやられるわね。
こうして私たち一行は前途多難な旅を続けるのだった。




