第13話 これぞ異世界
ロールプレイングゲームのような町にやって来た。広場には鎧に身を包んだ戦士が大剣や弓矢を持って歩いている。
「これだよ! 芽依が望んでいた異世界は」
「お前はゲームばかりしてたからな」
私たちの進行方向に武器屋が見えてくる。
「だから何なのよ! この武器で何を倒そうってのよ!」
私は思わず叫んだ。
「異世界だからモンスターに決まってるよ」
「モンスターなんているわけないでしょ!」
それにしても領内にこんな町があるなんて知らなかったわ。
「とりあえず食事にしましょう。お腹がすいたわ」
私たちは店らしきところでパンらしき物を買おうとした。そこで現金を出すと、
「姉ちゃん、これはおもちゃかい?」
と笑われた。
どういうことよ。まさかこの地方特有のお金があるの? いくら辺境の地だからって勝手なお金を作るなんて許されないことだわ。
でも、これってもしかしたら私たちは今無一文ってこと?
「姉ちゃん、お金を持ってねえのか? だったらクエストをするといいぜ」
「クエスト?」
「芽依知ってる。いろいろな課題を達成するとお金が貰えるんだよ」
「何でそんな面倒なことしなきゃならないのよ!」
その時、私のお腹が鳴った。
「仕方ないわね。で? 何をすればいいの?」
「こっちに来な」
私達は酒場のカウンターへと案内された。掲示板にはたくさんの貼り紙が貼られている。「これなんかどうだ? 結構いい金になるぜ」
「白い奴から手紙を受け取り黒い奴に届ける? 何なのこの簡単なクエストは!」
「結構、ハードな内容だと思うぜ?」
「手紙渡すだけでしょ? どこがハードなのよ!」
「白い奴も黒い奴も山羊族なんだ」
「手紙を食べちゃうのね」
小百合がぼそりと言う。
「微妙に落ちがわかるあたりなんとも言えないわね」
「モンスター討伐なんてどうだ?」
「何でモンスターがいるのよ!」
「ラットット退治だったら初心者にはもってこいの相手だ。無事倒せれば23アイアンが貰える」
「え? 無視?」
店主がモンスターの絵を見せる。
「可愛い!」
何とも愛らしい小さな生き物が描かれている。こんなの退治しなくてもいいじゃない。
「どうだい? やるかい?」
このタイミングで、またまた私のお腹が鳴る。
「やるわよ」
「じゃあ、町の外れにある森に行きな。そこで『チュッチュッチュ』と言うと近寄ってくる」
「本当に初心者向けのクエストなのね」
私達は言われた通り町外れの森に行くとさっそくラットットを呼び出すことに成功した。
『ラットットの体当たり』
ほとんどダメージを受けない。
「芽依、こんな可愛いモンスターを倒すなんて無理だよ」
「倒さないと何も食べられないのよ!」
芽依の攻撃力が上がった。
『ラットットの噛みつき』
ほとんどダメージを受けない。
『ラットットの頭突き』
ほとんどダメージを受けない。
「これでとどめよ!」
『ラットットの窮鼠猫を噛む!』
ウワー! 私達は全滅しかけた。
「どこが初心者向けのモンスターよ! 凄い破壊力じゃない!」
しかし、『何か食べたい!』という芽依の執念がモンスターを上回った。どこまで食い意地が張っているのよ。
私たちは仕留めたラットットを持って酒場へと向かった。
「退治してきたわ。報酬をちょうだい」
「ああ、これが報奨金の23アイアンだ」
「これで何か食べ物を買いたいわ。お腹がすいて仕方ないの」
「これだとこの小さなチョコレート一粒だな」
「どういうことよ!」
「アイアンと言う単位はゴールドの下のシルバーの下のブロンズの下の単位だからな」
この後、私はこの酒場で大暴れをして警察的なところに連れて行かれるのであった。




