1・悪役令嬢の義母に転生しました
「──これを以って、王太子アルフレット・ローゼ・シーリアと、ルナマリア・マグノリス公爵令嬢の婚約を承認させていただきます」
「………………え……?」
何、これ──!!
大司教が二人の婚約を認めた瞬間私の中に流れ込んでくる、膨大な記憶の波。
私ではない誰かが見た私の、まだ経験したことのないその記憶に押されるように、私の意識はぷつりと切れた。
***
愛らしい子供たちが白い麗服に身を包み、大司教の前に立ち、緊張した面持ちで二人は婚約式を終えた。
そう、それはさっきまで見ていた出来事。
5歳になった私の息子アルフレットと、同じ歳のルナマリア・マグノリス公爵令嬢の婚約式。
そして今もまだ次々と流れ込んでくるのは──私の、前世の記憶だ。
暗闇の中、冷静さを取り戻した脳内で、私は自分の置かれた状況を整理する。
前世の私は日本に住む一般人で、アニメや漫画が大好きなごく普通のオタ──OLだった。
最後の記憶は、出社中の車の中、前方から逆走して突っ込んでくる軽自動車。
きっとそのまま逝ってしまったんだろう。
ごめんよ、前世の両親。幼き妹。
でも死んじゃったものは仕方がない。
それにしても、タイトルは忘れてしまったけれど、私が夢中で読んでいた本とこの世界は同じ世界のようだ。
王太子はアルフレット。その婚約者となったのはルナマリア。
シーリア王国という聖女信仰の厚い国。
うん、間違いなくあの本の世界だ。
ただし私が知るあの物語の10年以上前になるのだろう。
アルフレットは5歳でルナマリアと婚約したのだから……。
巷で大流行りしている婚約破棄や悪役令嬢ものの一種ではあるけれど、この物語は少し違う。
なんと、悪役令嬢と婚約破棄せずに結婚まで致すのだ。
だけど冷酷悪役令嬢と言われるルナマリアは、結婚式のその夜から離宮へ幽閉されてしまう。
代わりに側妃としてアルフレットと結婚するのは、ボニー男爵の庶子で平民上がりで男爵家に迎えられたリリス。
彼女とはアルフレットが18の時にお忍びで出かけた町で出会って、その後すぐ男爵家に迎え入れられたリリスと社交界で再会し、運命の恋だと二人で盛り上がっちゃうのよね。
それならば早々にルナマリアを解放してあげれば良いものを、ルナマリアを邪険に扱いながらも結婚するアルフレットは、普通にクズだと思う。
本当、親の顔が見てみた──……ん?
ちょっと待って。
さっき私が婚約式を見守ったのは自分の息子のもの。
息子の名前は……アルフレット。
ということは私は悪役令嬢の──……。
「義母ぉおおおおおおおお!?」
「!?」
声を上げて飛び起きた私の周りでどよめきが起きる。
はぁ、はぁ、と激しい動機を落ち着かせようと、ゆっくりと息を吸って吐くと、次第に視界がクリアになって、視界の端に小さな男の子が映った──。
本日から連載開始でございます!!
皆様、よかったら作品ブクマの方、よろしくお願いします!!
楽しく書いていきますねぇぇええっ!!




