エリーの告白
情けない話だが、カノンになにも言い返すことができないまま店を出た。
それから馬車に乗り王都へ向かった。馬車の中は流石に気まずかったが、カノンが馬車酔いしてダウンした。
数時間程度で王都に着いた。カノンがぐったりしていたので、僕とエリーでなにか冷たいものを買いに行くことになった。
王都は僕がいた街の十倍以上はある。そして、広い場所にはそれだけ人も集まる。広くて人混みも多い王都で王都初心者の僕らが迷子にならないわけがなかった。
「エリー、ここさっきも通ったような気がするんだけど」
「そうですか」
エリーは笑顔だ。
「何で楽しそうなの?」
「だって好きな人と一緒になれたんですもん」
エリーは僕の腕に絡みついてくる。やめて。柔らかいのが当たってる。
「ていうか聞いてくださいよー。王都来る前、カンバラさんとサリーと私で歩いてたら家族と間違われたんです。お似合いだって言われました」
「ふーん」
「それだけですか?」
「何?」
「嫉妬してくださいよ」
ぷくっと頬を膨らませてエリーが怒る。
「めちゃくちゃ嫉妬してるよ」
「うっそだー」
今日のエリーはいつもより明るい。何かいいことでもあったんだろうか?
「カノンとなにかありましたか?」
「え?」
僕は思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
「当たりですよね?」
「はい」
エリーにはなんでもお見通しらしい。もしかしたら僕を元気づけるために明るく接してくれているのかもしれない。
「大方カノンに言いよられて困ってるんでしょう?」
マジでなんでもわかんじゃん。この人エスパー。
「カノン、戦いが終わったあと泣いてました。ウロナさんの前では平気に振る舞ってたみたいですけど、やっぱり仇を逃がしたことが悔しかったみたいです」
そうだったのか。僕の前ではそんな素振り見せなかったのに。
「あの子ああ見えてあんまりメンタル強くないから、今日は弱い部分を見せたんだと思います。……私はウロナさんのことが好きです」
いきなりの告白に僕は動揺してしまう。
「でも今嫌いになっちゃいました」
「え?」
エリーは僕の腕から手を離す。
「だからあの子を支えてやってくださいね」
彼女は明るく笑う。
そうか。エリーは僕のために……
このときからだろうか。僕はエリーを……
その後なんとかカンバラたちと合流できた。