突然の乱入者
結界が壊れた音で気が付いたのか、寝ている三人も飛び起きた。
「状況は分かりますね? ターゲットが現れました。ここで討伐します」
「ターゲットが侵入って、この結果を破ったの!」
カノンが驚いたように言う。
「ええ。皆さんは下がっていてください。ここは私が……」
「ダメだよ! カンバラさん!」
カンバラの声を遮るように言ったのはサリーだ。彼女の瞳は緑色に輝いている。恐らくゴクギを使用しているのだろう。
「そいつのステータス値は15674だよ! 規格外過ぎる! 戦ったら死んじゃうよ!」
カンバラは木の棒を懐から取り出して、魔物を睨む。
「だから? ステータス値が全てではありません。ステータスはあくまで武力と能力値を測ったもの。相手のステータス値が自分より高い場合、技量や潜り抜けた戦いの数などの見えないステータスで補えばいい」
たしかにカンバラさんは強い。でもこのままあの人だけを置いて逃げるのは違う。
「カノン! エリー!」
「分かってる!」
「はい!」
二人に声をかけると気持のいい返事をしてくれる。
「カンバラさんはああ言うけど、僕らのステータスじゃ話にならない。だからサポートに徹しよう。カノンは空から攻撃。エリーはあれ? 何のスキルだっけ?」
そういえば聞いてなかった。僕が早く聞いておくべきだったと後悔している間に、カノンは宙を舞い、空から攻撃を開始する。
「そういえば言ってませんでしたね」
エリーは、はあーと息を吐く。するとその息が徐々に鳥の形を成していき、氷の鳥が造られる。
氷の鳥は上空へ飛び去って行った。
「私のスキルは氷です。氷を操って色んなものを造れます」
たしか、カノンのスキルで操れるのは火と水と風と土だ。カノンが操れない氷を操作できるのは大きい。
「じゃあ足場を凍らせて、あの化け物を——」
「へー。言われた場所に来てみれば……みぃーっけ」
その声は僕の頭上から発せられた。
大木の枝にその男は立っていた。肩まで伸びた青い髪に、白い肌が特徴的。美形だがどこか危険な雰囲気が漂う男だ。
男を見たカノンの形相が怒りの色に変わる。
「お前ェェェェ!! 火の聖霊よ! エルフの仇を焼き尽くせェェ!」
カノンは魔物なんかそっちのけで男に攻撃を仕掛ける。彼女が召喚した紅蓮に燃え盛る炎の槍は真っ直ぐ男に向かって飛んで行く。
対して男は槍に向かって手をかざす。すると手のひらからは炎が出た。その炎は槍、それから、カノンを飲み込む。
まる焦げになったカノンはそのまま地面に落ちていく。
「カノン!」
カノンの発言。それから炎のスキル。あいつはまさか……
「おっかしいなー。エルフはあのとき皆殺しにしたはずなんだけど」




