これからの方針
【仲間であるスケルトンの名前がネラになりました。】
とりあえず、骸骨さんの名前が決まったところで、俺は【念話】を使ってネラさんに話しかける。
『ネラさん、名前があることが念話を使うことの条件の一つなんです。もし名前を得たことで今使えるようになっていたら念話で話してみてください。』
俺の時は名前が決まってもすぐに念話を使えるようにはならなかった。なのであまり期待していなかったが驚いたことにネラさんから返事があった。
『ええ、さっき【頭の中で念話を習得しました。】って聞こえたわ。今念話で話しているつもりなのだけれど、聞こえるかしら?』
『驚いた、もう念話が使えるんですね。俺の時はすぐには無理だったので、正直もっと時間がかかると思ってました。ちゃんと聞こえますよ。』
ネラさんが【念話】を習得したことで俺たち3人は改めて自己紹介をしあうことにした。
『俺の名前はカヤイ。もともと違う世界で人間だったが一度死んでこの世界で蟲人という種族として生まれ変わっている。能力は主に虫を仲間にしたり生み出したりすることができる。仲間になったり虫や生み出した虫は俺の命令に忠実で、今もこの拠点を作ったり食べ物を集めてもらって虫たちがそうだ。』
『私の名前はソフィアです。ここから離れた街で生まれ育ち、研究者を目指しています。今のうちに色々な場所を旅し、生き物の生態などを調査したいと考えています。カヤイさんにはこの森でゴブリンに襲われているところを助けてもらい、その後お願いしてご一緒させてもらってます。特に大したスキルはありませんが強いて言えば自然やモンスターの知識がそれなりにあります。』
『私はネラ。私もカヤイと同じね。こことは違う世界にいたのだけれど一度死んで今はスケルトンとして生まれ変わったみたい。生まれ変わったと言っても気づいたら森の中にいて最初は混乱したわ。数日間さまよっていて、たまたま使われていない小屋を見つけた後はそこに引きこもっていたの。カヤイにあった時、最初は驚いたけれど私と同じような人がいて救われたわ。能力というと、私は死体を自分の仲間にできるようね。何となくやり方とかがわかるの。不思議なものね。』
一通りそれぞれの自己紹介が終わったところで、これからの方針について話し合う。
『俺はとりあえず、ソフィアのいた街に行ってみたいんだが、もう少しここで強くなってから行ったほうがいいと考えている。とりあえず、今いる拠点を中心に活動してレベルを上げたりして道中や街中での安全性を高めてから街に向かいたい。』
『私はカヤイさんといると比較的安全に森の調査ができるので、これからも一緒にいられるとありがたいです。もちろん街に行くときも同行して案内などしますよ。私の顔見知りもいるので私といたほうが街で信用も得やすいとおもいます。』
『私はまず、この骨だけの体を何とかしたいわ。何か方法を探してもとの人間みたいな体がほしい。今だと食事もできないもの。食べ物がなくても生きられるのはありがたいけどあまりにも味気ないわ。とりあえず私も二人についていく。死体から仲間を作ることができるし、なにか役には立てると思うわよ。』
『ソフィア、ネラさんはスケルトンという存在らしいんだがもとに戻る方法というのはあるのか?』
俺はソフィアに彼女の願いが実現可能なものなのか聞いてみる。
『ええと、そうですね。確かスケルトンという存在はアンデット系の下級モンスターやネクロマンサーにより使役される存在というのが一般的な認識です。それでモンスターは進化というものがありまして、レベルが上がるとより上位のモンスターになることができます。アンデット系のモンスターで人間らしい存在というとヴァンパイアがいますね。もし可能性があるとすればそれでしょうか。』
『なる!なんでもするから私ヴァンパイアになるわ。レベルを上げて進化すればいいのね。レベルってどうすれば上がるの?』
どうやらネラさんはソフィアの話に強く興味を持ったようだ。食い気味で質問するネラさんソフィアさんが答えていく様子を見ながらそう思う。
とりあえず、これで方向性は決まった。俺は強くなるため。ソフィアは研究のため。ネラさんは人間らしい身体を手に入れるため。目的は違うがお互いこれから協力してしばらく拠点を中心に活動し、強くなってから街に向かうことになった。
この日は残りの時間を3人で念話を使い、お互いのことについて話したり、ソフィアからこの世界の常識について教えてもらったりして夜の時間を過ごした。その時わかったがどうやらスケルトンとしての身体を持つネラさんは睡眠や食事が必要ないようだ。なので俺やソフィアが寝る時間になるとネラさんはゴブリン3体を連れて夜の見張りに加わった。モンスターを見つけ次第倒してやると息巻いていて、どうやらモンスターを倒すことでレベルが上がることを知ってから少しでも多く早くモンスターを倒したいようだった。
俺は寝床につき、これからのことについて考える。
(街に行くのにはどのくらいの強さが必要なのだろうか。とりあえず、あのジャイアントリザードを倒せるくらいになれば大丈夫か?。ネラさんもいるし、意外と時間がかからずジャイアントリザードが倒せるようになったりしてすぐ街に行けるようになるかもな。一応明日ソフィアに聞いて街の冒険者の平均的な強さについても聞いてみよう)
俺は新しい仲間が、それも俺と同じように戦力が増やせるスキルを持ったネラさんが仲間になったことで少し気が緩んでいたのかもしれない。いつもより少し楽観的になっていた気がする。いつの間にか眠りについていた。
真夜中、何やら周囲の騒がしい音と【念話】による頭に響くソフィアの声により目が覚めた。
『カヤイさん!カヤイさん!盗賊の集団です!。20人以上はいて逃げ場がありません!どうしましょう!?』
驚いて起き上がり、周囲を確認すると近くで仲間の虫たちが短刀や槍などの武器を持った人と戦っているのが見えた。少し離れたところでは盗賊にやられてしまったのだろう、すでに倒れて動かなくなった仲間の死体が複数見える。
どうやら盗賊の集団に寝込みを襲われ、しかも囲まれてしまったようだ。




